欧米では規制の対象に 「BPAフリー」の意味とは?

海外製のベビー用品やアウトドアグッズなどでもよく見かけるようになった、「BPAフリー」のマーク。この記事では、言葉の意味や素朴な疑問、それにまつわる意外な問題点と打開策をまとめた。

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2020.08.11
SOCIETY
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「BPAフリー」とは

日本でも、7月からレジ袋が有料化され、ますます脱プラスチックな生活を意識する人が増えている。そんななか、「BPAフリー(BPA Free)」というマークが気になる人もいるのでは?

そもそも「BPA」とは、ポリカーボネートやエポキシ樹脂などのプラスチックの原料となる化学物質、ビスフェールAのこと。「BPAフリー」はそれを含まない製品を指す。

「BPA」は、生産が容易で丈夫、安価なため飲料や食料品などで大量に用いられてきた。しかし、その成分には女性ホルモンのエストロゲンに似た作用があり、環境ホルモンとして働くことが研究などから徐々に明らかになってきた。

環境意識が高い欧米では、人体や動物への健康への影響を懸念して脱「BPA」の動きが活発化した。それは、国税庁HPなどを見ると、「BPA」が米国カリフォルニア州やフランスで規制対象になっていることからもわかる(※1)。

現在は、アメリカのコーヒーチェーン店のタンブラーに用いられるなど、欧米では「BPAフリー」の商品は生活に浸透。その波が、日本へも波及してきたところだ。

「BPAフリー」=安全とは限らない

国内では、とくにベビー用品などで目にすることが多い「BPAフリー」のアイテム。安心だから、よさそうだからと安直に手を伸ばす前に、いまいちど立ち止まってほしい。

「BPAフリー」をうたう商品には、代替品である「BPS(ビスフェノールS)」や「BHPF(フレオレン-9-ビスフェノール)」を用いた商品もある。

これらについては、研究段階で詳細なデータは待たなければならないが、米シンシナティ大学医学部の研究で「BPS」も「BPA」と同様の健康への問題を指摘。

また、イギリスの科学雑誌「New Scientists」に掲載された、日中共同研究によると「BHPF」がエストロゲン作用を阻害する結果が認められるなど、決して安全とは言いきれないのが現状だ。

「BPAフリー」を選ぶ以上に、丁寧に暮らすことで安心安全が手に入る?

「BPAフリー」も安心とは限らない。

となると、何を選べばいい? 意外に簡単な解決策がひとつある。プラスチックに入った食品は極力買わないことだ。

「BPA」などは加熱によって、食品に溶け出すと言われる。レンジで温めて食べられるレトルトやパック入りの総菜は便利だが、耐熱皿などに移して温めるのがベター。

できれば、生鮮食品を買おう。可能であれば、プラスチック容器に入っていない、ばら売りのものを買って自炊するのが望ましい。

ひとり暮らしでは、一度に食べきれない……という人は、ガラスやステンレス容器で保存を。見た目もおしゃれな容器を使えば、気分もあがるはず。

折しも、“おうち時間”の充実が求められるこのごろ。地産地消の、安心安全な旬の食材を使って、自分の身体にも地球にも嬉しいことがいっぱいの手づくり料理を楽しんでみてはいかがだろうか。

繰り返し使えるアイテム選びを

環境や食、健康意識の高まりから注目を集めるようになった「BPAフリー」のアイテム。
なかには、代替品であっても安全とはいえない商品もあることを知って、賢く買い物をしよう。

環境ホルモンとして人や動物の体に影響を及ぼす「BPA」などを遠ざけるためにも、繰り返し使えるガラスやステンレスの容器を使いたいもの。

また、軽やかでヘルシーな日々を送るためにも旬のものを使った手料理を楽しみながらつくりたいものだ。

※1
ビスフェノールA|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/anzen/joho/joho03.htm

※掲載している情報は、2020年8月11日時点のものです。

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