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SDGs宣言書とは、企業や組織などがSDGsへの取り組みや行動計画を策定し、社内外に公表するSDGs宣言を文書化したもの。本記事では、SDGs宣言について解説したうえで、宣言書を作成するメリットやかかる費用、伝わる宣言書をつくるコツについて紹介する。
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SDGs宣言とは、企業や組織などがSDGsへの取り組みや行動計画を社内外に対して宣言することを指す。
これは2015年の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な社会を実現するために取り組むべき開発目標)に対してどのように行動するかを示すもので、企業や組織の信頼性に影響を与えるものだ。
誰がどのような目的で行い、費用はどれくらいかかるのか具体的に見ていこう。
SDGs宣言を行うのは企業だけでなく、自治体や公共団体などさまざま。学校や学校の生徒会でSDGs宣言行なっていることもある。
SDGs宣言を行ううえで決まったルールがないため、SDGsへの取り組み方針を決めて、持続可能な開発目標の実現や達成に向けた具体的な行動計画を対外的にコミットすることで、多くの人や団体が宣言を行うことができる。
前述したように、SDGs宣言を行うと、全世界共通の社会的・環境的な課題の解決に向けてどのように行動するかを示すことができる。
宣言することで、対外的・対内的ともに信頼性の確保につながり、それによる多くのメリットが期待される。
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SDGs宣言を行うのに、決まった費用はない。
しかし、「SDGs宣言書」というSDGs宣言を文書化したものを作成する際に、宣言書の作成をサポートしてくれる有料サービスを利用することで、費用がかかることもある。
SDGs宣言を行うには、主に3つの方法がある。それぞれの特徴や、メリットについて紹介しよう。
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SDGs宣言には決まったルールがないため、企業独自で宣言を作成しSDGs宣言書にまとめて、自社ホームページやSNS、各種メディアで発信することができる。
独自で行うことで、費用がかからないというメリットがある。
自治体のSDGs宣言制度を利用して、SDGs宣言を策定することもできる。その場合、宣言書の様式や方法などにルールがあることが多い。
自治体のSDGs宣言制度を利用することで、自治体のホームページへの掲載や、広報で特集してもらえる可能性があるといったメリットもある。
そのほかに、政府はSDGsを軸とした地方創生を推進するために、さまざまな施策を展開している。そのひとつが、地域事業者などによるSDGへの取り組みを「見える化」する「地方創生SDGs登録・認証等制度」だ。見える化することで、地域経済を活性化し、自律的好循環の形成に土台を築く狙いがある(※1)。
自治体のほかに、銀行が行なっているSDGs宣言のサポートを利用する方法もある。
サービス内容は銀行によって異なるが、まず企業の取り組み状況をヒアリングし、評価しレポートを作成。それをもとにフィードバックを行ったうえで、SDGs宣言およびSDGs宣言書の策定をサポートする流れとなっている銀行が多い。
SDGs宣言に沿った経営のサポートや、銀行のホームページにてリリース掲載もサービス内容に含まれていることもあり、これらも企業にとってメリットといえるだろう。
SDGs宣言書をつくるには、ある程度の時間や手間、さらに有料のサポートを利用すれば費用がかかるが、それでもつくるメリットは何なのだろうか。ここからは、SDGs宣伝書をつくるメリットについて解説していこう。
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まず挙げられるのは、企業のイメージ向上につながるということだ。
SDGs宣言書をつくり発信することで、企業が社会や環境に対していい影響を与える取り組みをしていることを、対外的に伝えることができる。
環境問題などの解決に向けて積極的に行動する消費者も増えているなかで、SDGsへの具体的な取り組みを表明している企業のイメージが向上することは、想像に難しくないだろう。
SDGs宣言書をつくることで、近年増えているESG投資を行う投資家からも注目されやすくなり、投資機会の拡大が期待できる。
ESGとは、環境・社会・ガバナンスのこと。ESG投資とは企業の経済的なパフォーマンスだけでなく、環境や社会への取り組み、企業の経営体制なども評価する投資のことを指す。このESG投資の機会が拡大すれば、資金調達の機会も拡大することになるのだ。
環境問題や社会問題が深刻化し、世界中で問題解決へのアクションが積極的に行われるなかで、SDGsを意識せずにビジネスを行うことは、持続可能であるとは言い難い。
SDGsへの取り組みをSDGs宣言書として明文化することは、消費者はもちろん、株主や地域からの支持を得るうえで重要であり、リスク管理の強化につながるだろう。
世界規模でビジネスを行なっている企業や、SDGsへの取り組みに注力している企業では、取り引き先にも同様の企業を積極的に選んでいる場合が多い。
SDGs宣言書を作成することで、そのような企業と取り引きできる可能性が生まれ、新たなビジネスチャンスにつながる。
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環境問題や社会問題の深刻化が広く認識されるなか、仕事を選ぶうえでその企業が社会貢献をしているか、また問題解決のためにどのような取り組みを行なっているのかを重視する人も少なくない。
また、自身の働く企業が社会や環境に対していい影響を与えていると知ることで、既存の従業員のモチベーションアップにもつながっていく。
労働力不足が進むなか、SDGs宣言書を作成し社内外にコミットすることは、人材確保の面でもメリットがあるといえるだろう。
ここからは、具体的にSDGs宣言書のつくり方を説明しよう。
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SDGs宣言書を作成するうえで、まずはSDGsを理解することが重要だ。
SDGsという言葉の意味だけでなく、17の目標と169のターゲットをしっかりと理解する必要がある。それぞれの目標が何を意味しているのか、どのような問題を解決するためのものなのかを把握するところから始めよう。
SDGsを理解したら、自社の事業内容や企業理念についてあらためて考える必要がある。自社の強みは何なのか、また、どんな課題を抱えているのかなど、じっくりと分析していこう。
自社の強みや課題などを分析したら、SDGsの目標やターゲットと照らし合わせていく。
自社事業のどのような点がどの目標に関連しているのか、自社の強みを活かしてどの目標に貢献できるのか。また、自社の課題を解決することでどの目標に貢献できるのかなどを確認し、業務内容と関連する複数のゴール選定をしよう。
次に、STEP3で選定したゴールに対する取り組みと具体的な目標を数値などを用いて計画し、策定していこう。
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STEP4で策定した取り組みと計画をもって、SDGs宣言書を作成していく。
自社が取り組むSDGsとその理由、具体的な取り組みを明文化し宣言を作成。さらに宣言書には、具体的なアクションプランや、目標達成への手段などについても記載していこう。
SDGs宣言書ができあがったら、社内外に公表していく。ホームページやSNSなど、より多くの人に見てもらえる場所に公表することで、より効果を発揮するだろう。
また、一度公表したら終わりではなく、定期的に進捗を報告していくことも重要である。
SDGs宣言書を公表したら、策定したアクションプランを実行し、定期的に見直しを行う必要がある。継続的に取り組みつつ、客観的に評価し改善を重ねることも大切だ。
SDGs宣言書は、社内外に対して自社のSDGsへの取り組みや思いを伝える重要なもの。ただ作成するのではなく、“伝わる”宣言書を作成することが望ましい。
ここからは、伝わる宣言書をつくるためのコツを紹介していこう。
SDGs宣言書のつくり方のSTEPにもあったように、自社の事業内容や強み、特徴に合致した内容にすることも、伝わるSDGs宣言書をつくるポイントのひとつ。
どんなに魅力的なアクションプランでも、企業の事業内容や方向性と乖離があると、達成への期待値や信頼度が低くなり、伝わりにくくなってしまうだろう。
SDGs宣言書に限った話ではないが、簡潔でわかりやすい文章にすることももちろん大切だ。
SDGs関連の言葉には、専門的な用語や英語も多いため、できるだけ噛み砕いて簡潔にわかりやすく文章にすることを意識しよう。
SDGs宣言には決まったルールがないものの、国連が定めた17の目標を象徴するSDGsのロゴマークの使用にはルールがある。
ロゴマークの色を変える、一部だけ強調するなどはNG。SDGs宣言をする際には、ロゴマークを正しく、適切に使用するよう注意を払う必要がある(※2)。
SDGs宣言書をつくるときは、まず、属する自治体にSDGs宣言制度があるか調べ、ある場合は書き方の指定やテンプレートに沿って作成していこう。
そのほか、テンプレートを作成し無料で配布している企業などもあるので、自治体に制度がない場合や書き方に困ったら、無料のテンプ レートを活用する方法もある。
環境問題や社会問題の観点からはもちろん、ビジネスにおいてもポジティブな影響があるSDGs宣言書。SDGsを深く理解するいい機会になるほか、自社の事業内容や課題、強みなどと向き合うことができるなど、作成の過程でも多くのメリットを感じるだろう。SDGs宣言書を活用し、持続可能な未来への一歩踏み出してみてはいかがだろうか。
※1 地方公共団体のための地方創生SDGs登録・認証等制度ガイドライン2020年度(9ページ目)|地方創生SDGs金融調査・研究会
※2 SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン | 国連広報センター
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