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フランスで2024年から、生ごみを堆肥化する規制が始まった。ヨーロッパの他国でも推進策はさまざまだが、今後生ごみなどの有機廃棄物の回収や自宅での堆肥化がどのように推進されるか注目が集まる。
鴨井里枝|Rie Kamoi
ファッションライター/エディター/ジャーナリスト
イギリスの美術大学でグラフィックデザインを学び帰国後、ファッション週刊紙「WWDJAPAN」の編集部に約10年在籍。ファッションビジネスやトレンドの分析を主に、海外ではNY、ミラノ、ロン…
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フランスでは、生ごみなどの有機性廃棄物を堆肥化する規制を新たに定め、2024年1月1日から、家庭や事業者によるコンポストの義務化を開始した。これにより有機性廃棄物のリサイクルを推進する。
一般家庭では、家庭回収専用の小さなごみ箱を使い、生ごみを自分たちで堆肥化するか、または自治体の回収場所に出すことが義務付けられる。回収した廃棄物はその後、バイオガスや堆肥に生まれ変わるという。
各自治体は政府の「Green Fund」からのサポートを受け、生ごみや野菜の皮、期限切れの食品、庭から出るごみを含むバイオ廃棄物の分別方法を住民に提示し、堆肥化のルールや方法を住民に周知する。
これまで分別が義務付けられていたのは、年間5トン以上の有機廃棄物を出す事業者のみだった。だが、これからは生ごみの量を問わず、堆肥化や分別が求められる。今回の規制で、罰金などの違反は課されないが、今後、より厳しい規制がかかる可能性もある。
食品や家庭菜園から出る有機性廃棄物は、家庭ごみのほぼ3分の1を占めている。他のごみと混ざってしまうと、埋立地や焼却炉に運ばれるのが一般的。そして、メタンや二酸化炭素のような温室効果ガスの発生につながる。
また欧州委員会によると、食品廃棄物は、EUの食料システムの総排出量において約16%を占める。国連によると、食品ロスと食品廃棄物は年間の世界全体の人的排出量の約8%を占める。
ゼロウェイスト普及に取り組むNPOのゼロウェイスト・ヨーロッパによると、EUでは2018年、食品廃棄物の34%しか回収されず、4000万トンが廃棄された。フランスだけで見ても、毎年1人当たり82kgの堆肥化可能な廃棄物が捨てられていると推定されている。
ヨーロッパの多くの国では、有機廃棄物の分別が自治体主導で行われている。イタリアのミラノでは、2014年から家庭用の生ごみ回収プログラムを実施。各家庭に専用のごみ箱や堆肥化可能な袋が配布されている。また、課税やバイオ廃棄物の焼却禁止といった規制により制度を促進している国もあり、オーストリアやオランダ、ベルギーでは、ごみ箱での分別と家庭用コンポストが普及している。
イギリスは、2023年に生ごみの分別収集を開始する計画を発表。イングランドでは、生ごみの分別収集は一般家庭の自主的な取り組みとされているが、事業者に対してやウェールズでは、より厳しく規制されている。
しかしEUの廃棄物に関するフレームワークにもとづき、今年から有機廃棄物の回収が奨励されているが、義務的な目標を設定するには至っていない。
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有機物を含むすべてのごみは、最小限に抑えることがもっとも理想。そのために、食事や買い物を計画的にすることが有効だ。賞味期限が切れる前に食品を消費、冷凍または保存することで、食材のすべての部分を食べることができ、廃棄物を減らすことにつながる。生ごみのなかには、家畜の飼料として再利用できるものもある。
食べ残しの生ごみや焼き菓子、乳製品、卵の殻、果物や野菜とその皮、カビの生えた食べ物、ペットフード、生や調理済みの肉や魚、骨、お茶やコーヒーのカスなど、保存や再利用できない生ごみは、堆肥にするか、分別して回収すること。
日本では生ごみに関する規制はないが、各家庭でできることから取り組むことが求められるだろう。
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