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ブータンは世界で初めて、国内にいるすべての野良犬に対して避妊手術とワクチン接種を行った。野良犬の数はアジア全土で約3億頭に上り、狂犬病などを引き起こす原因となっている。
Kanae Tahara
Freelance PR / Writer
社会貢献×ライフスタイルを軸にした日本国内の企業で広報、PR、コンテンツ制作などの経験を積み、2023年よりフリーに。現在カナダ在住。
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ブータンは、世界的な動物慈善団体ヒューメイン・ソサエティ・インターナショナル(HSI)による、野良犬を管理するプログラムを2009年から14年間継続して実施。ブータン国内にいるとみられる野良犬すべての避妊手術とワクチン接種を行った。すべての野良犬に対する避妊手術とワクチン接種の達成を宣言した国は、ブータンが世界で初めてだ。
このプロジェクトで避妊手術を行った野良犬は、のべ150,000頭以上。32,000頭以上の飼い犬に、マイクロチップを導入している。HSIとの14年以上にわたる長年のプロジェクトの成功は、世界の野良犬問題に一石を投じることになるだろう。
世界保健機関(WHO)によれば、世界では年間約59,000人が狂犬病で死亡しており、このほとんどは犬に咬まれたことが原因であると推定されている。一方で、野良犬からすれば、食料不足、病気、交通事故による負傷、殺処分など、多くの問題と直面している。そして、野良犬が増加すればするほど、狂犬病のリスクも増大する。とくにアジア全土では野良犬の問題が深刻で、その数は約3億頭にも上るとみられている。
避妊手術とワクチン接種がなければ、野良犬の数は増加し、犬に咬まれたり狂犬病が蔓延したりするリスクが高まる可能性がある。
そこで、ブータン政府はこの問題に対して、動物福祉と人の健康を同時に守る方法を模索。HSIのプログラムをスタートさせ、国内のすべての野良犬に避妊手術とワクチン接種を行うことを目指したのだ。
本プログラムでともに取り組んできたHSIのケレン・ナザレス氏は、「ブータン以上に優れた献身的なパートナーはいない」とコメント。さらに、「同様に野良犬の問題に直面しているアジア各国の政府が進むべき道を示すものであることを願う」と述べた。
アジア全土で深刻化する、野良犬にまつわる問題。動物福祉と人の健康を同時に守ることへの強い意志を、ブータンは示した。人と犬の平和な共存を築こうとする決意や思いやりなど、ブータンから学べることはたくさんあるだろう。
※参考
Oral rabies vaccine: a new strategy in the fight against rabies deaths|WHO
The Kingdom Of Bhutan Becomes The First Country In The World To Achieve 100% Dog Sterilization & Vaccination|World Animal News
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