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コンゴ民主共和国で、妊婦と新生児の医療費が無料になる。同国の高い妊産婦死亡率と新生児死亡率を減少させることが目的だ。2023年末までにコンゴ国内の26地域のうち13地域の女性は、妊娠中と出産後1カ月間の医療費は無料となる。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
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コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)で、妊産婦に無料で医療サービスが提供されることになった。2023年末までに、コンゴ国内の26地域のうち13地域の女性は、妊娠中と出産後1カ月までの期間、無料で医療サービスを受けられるようになる。また新生児については、生後28日間まで無料で医療を受けることができる。
これは、世界銀行が支援する1億1,300万ドル(約169億円)プログラムの一環で、コンゴ政府は本制度を全国的に拡大したい計画だ。
コンゴは妊産婦と新生児の死亡率が世界でもっとも高い国のひとつである。 最新の統計によれば、妊産婦死亡率はかなり高く、10万人あたり547人が死亡している現状だ。また、年々下がっているものの、生後28日未満で死亡する新生児の数は1,000人あたり27人となる。
これらの数字は、2030年までに妊産婦と新生児の死亡数をそれぞれ10万人あたり70人未満、1,000人あたり12人未満に抑えるという国連の目標からはかけ離れている。
この原因のひとつが、コンゴでかかる出産費用の高さと人々の貧しい暮らしだ。コンゴの公共医療機関での一般的な妊婦検査には、約27,000コンゴフラン (約1,600円) の費用がかかり、超音波検査には60,000コンゴフラン(約3,600円)、帝王切開なら524,000コンゴフラン(約31万円)かかる。
世界銀行によると、コンゴ人の60%以上が1日5,600コンゴフラン(約339円)以下で暮らしている。さらに日本のような全国民を対象とした医療保険制度はなく、ほとんどの人は限られた医療サービスしか受けることができないのだが実情だ。
貧困国での妊婦や新生児死亡率を減らす取り組みは歓迎されるものだ。
コンゴには、9,500人の医師と73,000人の看護師が、助産師の数は人口2万人に1人程度いるとみられている。しかし、コンゴの医療関係者らは、病院や医療センターにはサービス需要の増大に対応するための医師や設備が整っていないとの懸念を表明している。
さらに、本プログラムの導入が決まった際は、コンゴの看護師、助産師、病院管理スタッフが給与の引き上げや労働環境の改善を求めて全国的にストライキを行っていた。また地域連絡員との連携がうまく取れず、医療従事者がストライキを行うケースもある。
そのため、スタッフや設備面の政府のバックアップをはじめ、現場職員とのスムーズな連携や不満の解消を行い、本当に医療を必要とする人へケアや医薬品を届ける仕組みづくりが重要となるだろう。
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