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カナダのモントリオールで自転車を利用する市民が急増中だ。同市では、クルマ社会からの脱却に向けた「プロジェクト モントリオール」を進め、自転車シェアリングプログラム「BIXI」も広がっている。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
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北米有数のクルマ社会で知られるカナダ。しかし、ケベック州最大の都市・モントリオールでは、自転車ユーザーが急増している。
通常、モントリオールのような大都市で、移動手段に自転車を選ぶ人はそれほど多くない。盗難の恐れ、駐輪場や保管場所の不足、また暗闇での走行に不安がある。何より、自転車で走行できる道がないと危険だ。
そこで、モントリオールは自転車にやさしい街にする取り組みとして、「プロジェクト モントリオール」を2022年に計画。2027年までの5年間で、市内に200㎞の自転車専用レーンをつくるプロジェクトを進行中だ。
また、市内にはすでに901kmの自転車専用レーンがあり、市内全域、公園、川沿いを自転車で簡単に移動できる。雪が降る冬場には、自転車専用レーンの除雪を行い、サイクリングを奨励する方向だ。
市はまた、自転車ラックや自転車用信号機を増設。自転車が車よりも先に通行できるように、安全な移動手段を確立しようと進めている。
さらに、モントリオール市は「BIXI」という自転車シェアリングプログラムを実施。市内各地に680か所のステーションを設置し、8,400台以上の自転車を用意している。
現在、このプログラムの利用者は約50万人に達し、2022年4月から11 月にかけて、利用者数は52%増加した。同期間に利用した旅行者は、900万人を超えたという。モントリオール市では、自転車を利用する人が、市民の間でも旅行者の間でも着実に増えているということだ。
そして、寒くなる冬の期間も一部のステーションで営業を続けるそうだ。
多くの大都市と同様に、モントリオールはクルマでの移動に依存してきた歴史がある。
一方で、街全体でクルマからの脱却を目指し、路線バスや鉄道などの公共交通機関のインフラを充実させている。最近では、モントリオール以外の地域にアクセスできる効率的なメトロも開通した。
これらとあわせて、今回の自転車専用レーンの整備によって、街ではさらに自転車利用者が増えていくだろう。モントリオールのような「自転車にやさしい街」が今後も各地で増えていくのではないか。
※参考
Biking in Montreal – the City’s Effort to Become Cycling Friendly|Happy Eco News
Montreal plans to build 200 kilometres of secure bike paths over next 5 years|CBC News
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