住民の暮らしと森林を守る 幻の野生コーヒー「ベレテ・ゲラのコーヒー」

エチオピアの自然林に自生するコーヒー豆を使った「ベレテ・ゲラのコーヒー」。減り続ける自然林を守るべく、JICAが打ち出した支援プロジェクトによってコクと深みのあるコーヒーが生まれた。住民主導で森林保護に取り組めるスキームをつくり、コーヒーの収益により住民の暮らしを守っている。

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2020.07.22
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アラビカ豆の原木が自生する森で生まれた「ベレテ・ゲラのコーヒー」

ゲラの森の遠景

エチオピアの自然林で自生したコーヒー豆を使った「ベレテ・ゲラのコーヒー」をご存知だろうか。エチオピア南西部に残るほとんど手つかずの自然林「ベレテの森」と「ゲラの森」は、アラビカ種コーヒーの起源とされる稀少なコーヒーの木が自生している場所だ。

ベレテ・ゲラのコーヒーは、この森林資源を保全しながらコーヒー豆を採取し、丁寧な天日干しによりつくられている。プランテーション栽培ではなく、森の中で代々世代交代を繰り返し自生している原種のコーヒーだ。

また、森一帯ではレインフォレスト・アライアンス認証を取得しており、フェアトレードの原則に則って取引されている。森の中は収穫時以外はほとんど人の手が加わわらないため、品種改良もされていない。農薬や化学肥料も不使用だ。

一般的な農園で栽培されたコーヒーと比べ、深いコクと素朴な味が魅力。アラビカ種本来の野生のままの味を楽しむことができる。

コーヒーを入れたカップ

エチオピア住民の暮らしを守る オロミア州ジンマ県の森

かつて国土の35%が森だったと言われるエチオピアだが、現在は11%にまで減少し、劣化も著しいと言われる。急速に進む森林伐採により、このままでは20〜30年の間に森林がなくなってしまう恐れがあるほどだ。

エチオピア オロミア州 ジンマ県にあるベレテ地区とゲラ地区には、エチオピア全体のおよそ70%の森林があり、周辺地域の生活を支えている。そのため「ベレテの森」「ゲラの森」と呼ばれ、人々は多様性豊かなこの森で、コーヒーだけではなく、蜂蜜やスパイスを採取し、収入源としているのだ。豊かな森が残るこの地域はとても重要な役割を果たしている。

コーヒーの木

多様性豊かな森に生える野生コーヒーの原生林

コーヒーの木と住民

コーヒーの木

JICAプロジェクト 住民主導で進めるコーヒー生産と森林保護

「ベレテ・ゲラのコーヒー」は、JICA(日本国際協力機構)の援助プロジェクトにより製品化された。2003年から始まった「ベレテ・ゲラ参加型森林管理計画」は、貴重な現金収入源であるコーヒーの生産を、住民主導による森林保護へ結びつけようとする画期的な試みだ。

住民による森林管理組合「WaBuB」が設立され、集落ごとに組合をつくることでコーヒーの生産は組織的に管理されるようになり、品質の向上とともに市場でより高い価値を持つ製品となったのだ。

コーヒーの実

コーヒーの実

プロジェクト自体は2019年9月に終了したが、現在でもWaBuBモデルの他地域への拡大や、プロジェクトの安定的持続のためにJICA派遣の専門スタッフが現地に残り活動を続けている。

エチオピアはコーヒーのメッカであり、古くからコーヒーでおもてなしをする「コーヒーセレモニー」の習慣がある。熱いうちにお客様に出すのが、エチオピアの最高のおもてなしだ。コーヒーは大切な収入源であるが、住民自身もコーヒーを愛している。毎日の生活になくてはならないものなのだ。

コーヒーセレモニーのセット

コーヒーセレモニーのセット

ベレテ・ゲラのコーヒーは、アフリカ輸入専門店アフリカンスクエアーが展開するオンラインショップ「マンゴロベ」で販売。アフリカ中から厳選したファッションアイテム・インテリアグッズ・食品を取り扱い、生産地や商品の魅力を丁寧に紹介している。

ベレテ・ゲラのコーヒーを飲むことは、エチオピアのコーヒーの原木が生息する野生の森林や、現地に住む住民の生活を守ることにもつながっている。これぞまさに、フェアトレードでサステナブルな消費ではないだろうか。このように私たちの身の回りには何を選択するかで他にも守れるものがあるかもしれない。

ベレテ・ゲラのコーヒー

エチオピア ベレテ・ゲラのコーヒー (左)コーヒー粉 (右)コーヒー豆 各200g 各1,300円

問い合わせ先/有限会社アフリカンスクエアー
https://www.african-sq.co.jp/

※掲載している情報は、2020年7月22日時点のものです。

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