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イギリスで広く使われているサインランゲージのひとつ、イギリス手話(BSL)。そこに、200以上の環境用語が新しく追加された。科学者とBSL利用者が協力して、生物多様性、生態系、汚染、物理的環境といったテーマに関する言葉が加えられた。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
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サインランゲージ(sign language)とは、言葉に頼らないコミュニケーション手段だ。手の動きやかたち、表情、ジェスチャーなどの視覚的な要素を用いてコミュニケーションを行う。手話もそのひとつで、世界には約300種類の手話の言語があり、さまざまな国や地域で、その文化的背景に合わせて発達してきた。
イギリスで広く使用されるサインランゲージが、イギリス手話(British Sign Language、以下BSL)と呼ばれるものだ。2022年にBSL法が定められ、イギリス手話はイングランド、ウェールズ、スコットランドの言語として正式に認められた。
現在、イギリスでBSLを使用する人は150,000人と推定され、そのうち70,000人がBSLをとくに好むコミュニケーション手段として利用していると考えられている。
そんなBSLに今回、200以上の環境用語が新たに加えられた。生態系と生物多様性、物理的な環境や汚染といった用語が中心だ。
これまで、BSLには「温室効果ガス」や「二酸化炭素排出量」などの公式の用語がなかった。例えば、温室効果ガスは「G-R-E-E-N-H-O-U-S-E G-A-S-E-S」のような長い単語を指で綴るしかなかったのだ。そこで、これらの気候関連用語を表す公式の用語が作られたのだ。
最終的に400以上の環境用語が加えられる予定で、残る200語には、エネルギー、持続可能性、環境変化が人間に与える影響をテーマとし、地球温暖化、カーボンニュートラル、森林破壊などの言葉が含まれる予定という。
聴覚障害のある人々が科学的概念を理解することは、そう容易ではない。
聴覚障害者で、エディンバラ大学のプロジェクトコーディネーターであるキャメロン博士は、自身の科学者としてのキャリアの中で、「語彙力の不足により、重要な会議や会話で、人々が何を話しているのか理解できない場面が多かった」と語っている。
キャメロン博士は、今回の新しい環境用語の追加によって、BSLユーザーは「生物多様性と環境に対する現在の脅威についての会話に参加できるようになり、聴覚障害者が世界的な気候と生物多様性のサミットに出席し、議論に参加することも可能となる」と述べた。
さらに、英国王立協会のダイバーシティ&インクルージョン委員のジェレミー・サンダース委員長は、「こうしたサインランゲージの目的は、BSLを利用する次世代の学生たちにインスピレーションと力を与え、科学者が自らの重要な研究を世界と共有できるようになる」と語った。
こういった用語の追加で、より多くの人々が気候問題を理解したり議論したりできるようになると期待できるだろう。
※参考
What is sign language?|National deaf children’s society
What is British Sign Language (BSL)?|signature
Climate change: New BSL signs created for environmental words|BBC
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