企業がSDGsイベントを開催するメリットと注意点 11の事例も紹介

多くの人の前でマイクを持って話す人

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多くの企業がSDGs達成に向けた取り組みを行う昨今、SDGs関連のイベントを開催する企業も増えてきている。企業姿勢を直接伝えられるイベントにはメリットが多い反面注意点もあり、正しい理解をもって開催することが大切だ。本記事ではイベント事例のほか、開催のメリット・注意点を解説する。

ELEMINIST Editor

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2023.08.23

SDGsイベントの種類

薄暗い部屋で話を聞く人々

Photo by Headway on Unsplash

SDGsイベントは、大きく、カンファレンス・ワークショップ・展示会の3つに分けられる。イベントの種類によって特徴が異なるため、目的にあわせた開催や参加が必要だ。以下でそれぞれのポイントをおさえよう。

カンファレンス

カンファレンスでは、パネルディスカッションやシンポジウムなどによって専門家の講演や意見交換が行われる。SDGsに関する最先端のトピックを扱うことも多く、参加者にとっては、有識者の見解に触れられる貴重な機会となるだろう。企業の取り組みや今後の展望に関して共有しやすいのも特徴だ。

ワークショップ

ワークショップは、参加者にスキルや学びを提供する体験型のイベント。参加のハードルが低く、楽しみながらSDGsを学べるため、SDGsに関する知識が浅い方や子ども向けのイベントとして開催しやすい。参加者は、自らがSDGsに関する体験をすることで、当事者意識を持てるだろう。ワークショップは、主催企業に親近感を持ってもらうきっかけづくりのためにも有効だ。

展示会

展示会では、SDGs関連の取り組みを行う企業が集い、製品やサービスを発信する。出展者は、SDGsに取り組むブランドを知れるほか、同業者の取り組みについて知識を得られる。また、ほかの出展者や来場者に対して、自社についてアピールできるのも特徴だ。展示会は、さまざまな関係者とのコミュニケーションの場としても格好のイベントといえる。

カンファレンスイベントの事例

多くの人の前でステージに立って話す人

Photo by Alexandre Pellaes on Unsplash

大丸有SDGs ACT5実行委員会・三菱地所 EAT & LEAD|SUSTABLE 〜未来を変えるひとくち〜

SUSTABLE(サステーブル)」は、2021年にスタートした食のプログラム。未来の食卓にサステナブルな食材が並ぶことを目指しており、全5回のテーマごとにふさわしい登壇者の講話やトークセッションを聞けるイベントだ。テーマ食材を使った試食を楽しめるのもポイント。「SUSTABLE 2023」の第1回では、「食品ロスが生み出す新たな可能性」として、食品ロス由来の飼料で育った豚肉とワインの搾りかすを利用して育ったきのこが題材として取り扱われた。

主催は、大手町・丸の内・有楽町地区を起点に、SDGs達成に向けたさまざまなアクションを行う「大丸有SDGs ACT5」。三菱地所株式会社代表執行役執行役専務が実行委員長を務め、さまざまな企業や団体が関わっている。

日本経済新聞社・日経BP|日経 SDGs FESTIVAL

日経 SDGs FESTIVAL」は、さまざまな企業や人々とともにSDGsについて議論する世界規模のイベント。2023年度は年5回の大型シンポジウムが開催される。企業関係者からの先進的な取り組みの報告や第一線の有識者による講話など、最新の動向に触れられる、またとない内容だ。2023年5月には、「産官学で取り組む海洋保全」や「ジェンダーギャップ会議 女性活躍、異次元の解決策がここにある!」などのテーマで6日間にわたって開催。各テーマごとに、数々の専門家が登壇し、パネル討論や講演が行われた。

全国SDGs未来都市ブランド会議運営委員会|全国SDGs未来都市ブランド会議

複数の企業がスポンサーとなって開催される「全国SDGs未来都市ブランド会議」。SDGsを中心に据えたまちづくりを推進するためのイベントであり、内閣府が後援している。第3回では、「世界のサステナブル先進都市は、日本のSDGs未来都市とどこが違うのか?」のスペシャル対談が行われたほか、企業と自治体による連携事例の発表として、6つの取り組みが紹介された。

HAMONZ・サラヤ|サラヤと考えるスポーツ×SDGs

サラヤと考えるスポーツ×SDGs」は、スポーツを通して社会貢献活動を応援するメディア「Sports for Social」を運営する株式会社HAMONZが、化学・日用品メーカーであるサラヤとともに開催したセミナーイベント。国内外でSDGsの取り組みを積極的に行い、スポーツへの協賛活動にも力を入れるサラヤが、活動を通して感じたことやスポーツとSDGsの組み合わせに注目する理由を聞き出した。参加は無料でZOOMを使用して行われた。

ワークショップの事例

付箋を貼りながら話し合う様子

Photo by Jason Goodman on Unsplash

グローバルワーク・ネスカフェ|親子ファンミーティング 楽しく学ぶエコアクション

衣料品ブランド「グローバルワーク」は、コーヒーブランド「ネスカフェ」とのコラボ企画として、親子でエコについて学べる体験型のワークショップ「親子ファンミーティング」を開催。地球、家族、コミュニティづくりのためにという両ブランドの目指している考えが共通していることから実現したイベントだ。ワークショップは、グローバルワークの全国3店舗で実施。両社のエコ活動の紹介やエコを学べる紙芝居の読み聞かせのほか、使い終わったネスカフェの紙の詰め替えパックを使用して、スペースシャトルの工作体験が行われた。ふだん捨ててしまうものをおもちゃに生まれ変わらせるエコ工作として、楽しくエコを体感する内容だ。

バンダイ|出前授業プログラム

バンダイでは2023年3月まで、「おもちゃで学ぶバンダイの出前授業」として、学校や教育施設を対象としたプログラムを提供していた。プログラムは、環境やエコ、ユニバーサルデザインなどについて学べる4種類。環境について学ぶ「おもちゃのエコを学んでみんなができるエコを考えよう!」の1時限目ではDVDを視聴し、おもちゃを例に3Rについて学ぶ。2時限目では、ガシャポンの空カプセルと町工場から出た廃材を活用して「カプセルはんこ」づくりにチャレンジ。エコに身近に触れることで、より理解が深まる内容だ。

品川区・区内企業・区内学校|“もったいない食材”をみんなで食べよう

品川区では、区内の小学生と保護者を対象にした参加型イベントを開催。食品ロス削減と使い捨てプラスチック削減を推進する目的で、区内企業である株式会社ローソンとオイシックス・ラ・大地株式会社、区内高校である青稜高校との連携イベントとして実施された。

ローソンが店舗で行っている取り組みの解説やクイズが行われたあとに、青稜高校SDGs部とローソンスタッフがつくったカレーライスが提供された。使われた野菜は、オイシックスから提供があったふぞろい野菜。カレーの容器には、さとうきびの搾りかすでつくられたモールド容器が使われた。

リコージャパン・日本科学未来館|SDGsワークショップ

日本科学未来館とリコージャパンは、2021年12月に長野県長野市にある文化学園長野中学・高等学校で共同SDGsワークショップを実施した。SDGsの目標のひとつである「気候変動に具体的な対策を」をテーマにしたボードゲームを使った実践型の内容であり、生徒たちが意見を出し合うことを通して、課題解決のための対話の重要性を学んだ。生徒だけでなく先生たちも理解を深められる内容であり、気候変動を自分ごととして認識するきっかけになったり、協働的に学ぶ大切さを実感できたりとプラスの時間となった。

展示会の事例

複数のブースが並ぶ展示会の様子

Photo by Edward Howell on Unsplash

一般社団法人サステナブル経営推進機構・日本経済新聞社|エコプロ

エコプロは、産官学民のさまざまなステークホルダーが交流する環境総合展。SDGs達成のための革新的な技術やサステナブルな製品・サービスなどを発信するためのイベントであり、2022年には496社・団体が出展し、小中高生を含む61,541人が来場した。出展対象は、SDGsに取り組む企業や自治体、製品開発者など多岐にわたる。また、来場対象は、ビジネスパーソンから生活者までSDGsに関心のあるすべての人。ビジネスマッチングやコミュニケーションの場としても活用でき、取り組みを広く発信できる。

インターナショナル・ギフト・ショー 事務局|Ethical style Fair

日本最大のギフトと生活雑貨の見本市である「東京ギフト・ショー」のなかで、2023年9月に「Ethical style Fair」が開催。人・環境・社会にやさしい商品を集めて、全国に持続可能な消費の場を広める趣旨で行われる。出展対象は、フェアトレードやオーガニックなど、人や環境に配慮した商品を扱う企業。バイヤーにアピールするための商談の場である。(※10)

RX Japan|サステナブル ファッション EXPO

サステナブル ファッション EXPO」は、日本最大のサステナブルファッション専門展。アニマルフリーやオーガニック、フェアトレードなど、サステナビリティを考慮したファッション関連製品が世界中から集まるイベントだ。世界中から約27,000人が来場する。バイヤーに直接アピールできるほか、ニーズやトレンドなど製品開発のヒントを得られる機会でもある。(※11)

ELEMINIST主催|ELEMINIST MEET

サステナブルメディア「ELEMINIST(エレミニスト)」主催のエシカル・インフルエンサーイベント「ELEMINIST MEET」。

招待制で行われるこのイベントには、エシカルへの興味関心の高いインフルエンサーと「ELEMINIST」の読者ら約100名が来場する。エシカル・インフルエンサーの累計フォロワー数は30万人以上。

来場者は、出展ブランドから商品の提供を受けるほか、出展ブランドの担当者やワークショップ、トークセッションを通じてより商品への理解を深めることができる。また出展ブランド側は、エシカル感度の高い生活者やインフルエンサーに対して直接商品の魅力を伝えられるので、コミュニケーションの中でリアルな生活者の声を聞くことができる。まさに双方が出会う“MEET”できる場だ。

ELEMINIST MEETについてはこちらのページよりお問い合わせください。
https://trustridge.jp/eleminist_business

企業がSDGsイベントを開催するメリット

PCを見ながら笑顔で作業をする女性

Photo by Brooke Cagle on Unsplash

SDGs達成に向けた取り組みが世界的に加速するなか、SDGsに取り組むことは、もはや当たり前になりつつある。企業の取り組みや想いを直接発信できるイベントの開催は、消費者やステークホルダーにアピールするための絶好の機会ともいえる。以下で、企業がSDGsイベントを開催したり、SDGsに取り組んだりするメリットを3つ紹介しよう。

企業イメージが向上する

まずは、企業イメージが向上することだ。SDGsイベントを開催することで、SDGsの達成に向けて積極的に取り組みを行っているのが伝わるだろう。SDGsの認知が高まっているなか、SDGsを意識した企業と関わりたいと考える人々が増えている。イベントを通して参加者や消費者に取り組みをアピールすることは、応援したい企業になる近道だ。企業の想いをのせたイベントにすることで、より共感性を高められるだろう。

新たな市場を開拓できる可能性がある

SDGsイベントの開催や展示会イベントへの参加を通して、これまで縁がなかった企業や人とつながることができるかもしれない。SDGsへの関心が高い企業と出会い、新しい視点を得たり、知識を深めたりすることで、新たな市場を開拓できる可能性がある。また、最新の技術を知ることで、コストの削減が叶い、新規ビジネスに力を注げるようになるかもしれない。イベントが情報交換やコミュニケーションの場を兼ねるケースも多く、ビジネスチャンスにつながることは大いにある。

人材の確保につながる

SDGsイベントで企業の取り組みをアピールすることで、興味を持ってくれる人が増えると、人材の確保がしやすくなる。意識が高い優秀な人材の獲得につながれば、企業にとって大きなメリットとなり得るだろう。また、企業のイメージが向上することで、より採用がしやすくなり、採用コストの削減にもつながるかもしれない。

企業イメージの向上は、従業員のモチベーションとも直結しており、離職率の低下にも関わる。さらに、イベントの開催を通して、SDGsが社内により浸透すれば、社内環境が整備され、より働きやすくなることも考えられる。

企業がSDGsイベントを開催する注意点

講演中に手を上げる様子

Photo by Marcos Luiz Photograph on Unsplash

SDGsイベントの開催にはメリットが多い反面、注意点も存在する。SDGsに貢献したい意欲があったとしても、配慮が行き届いていないとマイナスに転じてしまう可能性もある。以下で、注意点をひとつずつ見てみよう。

参加対象者に合った内容か

SDGsイベントは、参加対象者に合わせた内容であることが重要だ。例えば、小学生を対象としたワークショップの内容が専門的になりすぎると参加者が置いてきぼりになってしまう。逆に、SDGsに精通している人が集うカンファレンスで、初心者向けの話をしても有意義なものとはいえない。企業として発信したい内容に加えて、参加者のニーズを意識することで、参加率も上がるだろう。

SDGsウォッシュになっていないか

イベントを開催する前に、企業としての取り組みが、上辺だけのSDGsウォッシュになっていないかどうか、改めて確認してみよう。企業としてはウソなくSDGsに取り組んでいるつもりでも、正しい理解がおよんでおらず、突き詰めるとSDGsウォッシュになっていたというケースもあるかもしれない。

実態が伴っていない発信をしないのはもちろん、不確かな表現や曖昧な表現は避けるようにしたい。正しい情報を包み隠さず公表することも重要なポイントだ。

さまざまな人の人権を尊重した内容か

SDGsイベントに関わらず、すべてのイベントにいえることだが、イベント開催時には人権を尊重した内容になっているか確認してみてほしい。「誰一人取り残さない」を理念とするSDGsに関した内容である以上、性別・年齢・国籍・障がいの有無に関わらず、すべての人に配慮した内容であることが望ましい。配慮に欠けると、せっかくのイベントがネガティブなものになってしまう可能性があるので、最大限気をつけたい。

会場選定や会場づくりが適切か

イベントを開催するには資源が必要であり、少なからず環境に負荷がかかる。まったく負荷をかけずにというのは難しいかもしれないが、会場選定や会場づくりを意識することで、環境負荷を軽減できる。

公共交通機関でアクセスできる会場を選ぶと、自家用車の使用による排気ガスを削減できる。また、ペーパーレス化を進めることで、紙資源を使用せずに済む。ほかにも、再生可能エネルギーを活用できる施設を選ぶ、食事の提供が必要な場合はサステナブルな食材を使用するなど、配慮できる点は多数ある。

イベント終了後の撤去時に、廃材を出さないようにも心がけたい。工夫しだいで、ごみを減らすことも可能だろう。

企業と社会にとって有意義なSDGsイベントを企画しよう

SDGsイベントを開催するからには、企業はもちろん、社会にとってプラスの影響を与えることが重要だ。イベントが有意義なものになると、消費者をはじめ、多くの関係者に応援される企業になるだろう。

さまざまな配慮が必要なSDGsイベントを成功させるためには、豊富な知見と実績のある第三者に伴走してもらうのもひとつの方法だろう。サステナブルな暮らしをガイドする「ELEMINIST」では、プロモーション戦略やマーケティング支援などを通して、企業の課題解決をサポートしてきた。第三者の視点が入ることで、発想の幅も広がる。ワークショップやイベント開催実績もあるので、以下からぜひチェックしてみてほしい。

※掲載している情報は、2023年8月23日時点のものです。

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