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アメリカ各地の学校に設置された、無料で本をもらえる児童書の自動販売機。恵まれない環境にある子どもたちの読み書きの力を身につける狙いがある。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
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全米各地の学校に広がる児童書の自動販売機「Inchy’s Bookworm Vending Machine」。子どもたちに読書の楽しさを知ってもらい、本を読む習慣をつけて、読み書きの能力を身につけることを目的に始まった。
この自動販売機は、ゲーム感覚で楽しみながら参加できる工夫がされている。それは、「トークン」と呼ばれる独自の通貨を使ったものだ。この販売機で本を買うには、トークンが必要で、ポジティブな行動をとった子どもにはトークンがプレゼントされる。
「P.B.I.S(ポジティブ行動介入とサポート)」という報酬プログラムを利用して、子どもたちが、積極的に良い行いを積み上げて、本をもらえるという仕組みだ。
この自動販売機は教育機関の設置だけにとどまらない。アラバマ大学バーミンガム教育学部はニューヨーク州ジェファーソン郡児童政策協同組合と提携し、郡家庭裁判所の家族待合所にマシンを導入した。
ジェファーソン郡長官は、導入を決めた理由を以下のように伝える。
「家庭裁判所にやってくる子どもたちは、大きなストレスを抱えています。本のおかげで、子どもたちの心が落ち着き、家庭裁判所にやってくる前と後で感じるストレスレベルが全く別物になるはずです」
子どもの読み書き能力は、家庭環境や経済力が大きく関わるものだ。米国教育省によると、恵まれない環境にある多くの子どもたちは、読書の点において他の子どもたちより遅れをとって学齢期を迎えることになる。こうした子どもの多くが、自宅で本とふれあえる機会が少なく、夏休みの約2か月だけでも読み書きの能力の差が広がってしまう。
こうした背景から、年齢に応じた本を子どもたちに提供するだけでなく、自動販売機の側面にわかりやすい図解やQRコードを設け、家族に向けて、子どもの読み書き能力の学習と発達をサポートするためのリソースも提供している。
子どもの読書意欲をゲーム感覚で引き出す画期的な本の自動販売機システム。何百にもおよぶ非営利団体や営利団体パートナーの協力も、販売機が全米各地に普及している理由だろう。子どもの豊かな読書力や想像力を育む取り組みの一例として、ぜひ参考にしていただきたい。
※参考
Inchy’s Book Vending Machine
Book vending machine at Jefferson Co. Family Court|WBRC
UAB partners with Children’s Policy Council to provide book vending machine|UAB News
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