「アサヒ飲料」大気中のCO２を吸収する自動販売機を設置

アサヒ飲料がCO２を吸収する自動販売機の実証実験開始 CO２は肥料や工業原料に活用

アサヒ飲料株式会社が、自動販売機を活用したCO２の資源循環モデルの実証実験を６月から開始する。

この実験では、大気中のCO２の吸収を可能とした新たな自動販売機を設置し、吸収したCO２を肥料やコンクリートなどの工業原料に活用することで、脱炭素社会の実現に貢献するという、国内初の取り組みだ。

大気中のCO２の吸収を可能にした自動販売機と、その自動販売機を活用したCO２の資源循環の取り組みはどちらも特許を出願している。

自動販売機の庫内にCO２を吸収する特殊材「CO２を食べる自販機」

自動販売機の庫内にCO２を吸収する特殊材を搭載した「CO２を食べる自販機」を６月から展開。自動販売機は周辺の大気を吸いこみ、それを利用して商品を冷やしたり温めたりするが、庫内に搭載した特殊材が大気中のCO２のみを吸収する仕組みになっている。

CO２を吸収しても自動販売機の稼働に影響はなく、大気中のCO２を吸収する木と同じような役割を果たすため、脱炭素社会の実現に貢献する。

１台当たりのCO２年間吸収量は稼働電力由来のCO２排出量の最大20％を見込んでおり、スギ（林齢56〜60年）に置き換えると約20本分の年間吸収量に相当する。

実証実験では関東・関西エリアを中心に、CO２濃度が高いとされる屋内に加え屋外などさまざまな場所に約30台設置し、CO２吸収量や吸収スピードなどを比較・検証する。

本格展開の予定は2024年で、同時にCO２吸収能力の高い素材開発も進めることで、将来的にはCO２排出量と吸収量が同等となるカーボンニュートラルを実現する自動販売機の展開を目指していくとしている。

吸収したCO２の活用

自動販売機から吸収したCO２は、この取り組みに賛同する各自治体や企業と共創しながら、さまざまな工業原料として活用することを計画している。

吸収材を肥料に配合し土壌に散布することでCO２の土壌貯留を図るほか、コンクリートの原料に配合しCO２の固定化や海中での藻場造成などに活用することでブルーカーボン（海洋生態系に蓄積される炭素）生態系の再生を図ることなどを検討している。

100年先のサステナブルな地球を次世代へ「100YEARS GIFT」

今回のCO２資源循環モデルの取り組みは、アサヒ飲料が将来世代にワクワクと笑顔をつなげていくための活動「100YEARS GIFT（100年ギフト）」の一環となっている。自動販売機を通して環境負荷低減に貢献する取り組みによって100年先のサステナブルな地球を目指すものだ。

アサヒグループでは、グループ理念“Asahi Group Philosophy”の行動指針の一つとして「事業を通じた持続可能な社会への貢献」を掲げている。

サステナビリティの重点テーマの一つである「気候変動への対応」においては、CO２排出量削減の中長期目標「アサヒカーボンゼロ」を設定し、2050年までにCO２排出量をゼロとすることを目指す。

お問い合わせ先／アサヒ飲料株式会社
https://www.asahiinryo.co.jp/