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アメリカのダラス動物園では、毎年約90万kg以上になる、ゾウ、カバ、キリンといった草食動物の糞を堆肥にリサイクル。「ZOO POO(動物園のうんち)」と名付けられた堆肥は、園内のギフトショップや地元の小売店などで販売されている。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
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アメリカ・テキサス州にあるダラス動物園では、リサイクル事業を手がけるSilver Creek Materialsと提携して、ゾウ、カバ、キリンなどの草食動物の糞を100%堆肥としてリサイクルしている。これにより、毎年約90万kg以上出ていた糞の資源化を実現させた。
ダラス動物園で出る動物の糞は、これまで何十年にも渡り、市のごみ処理場で処分されてきた。しかし糞便からは、温室効果ガスのひとつであるメタンガスが放出される。そこで、気候変動の対策も考えて経営陣が考え出したのが、これらの糞を堆肥として活用するアイデアだった。
地元でリサイクル事業を行うSilver Creek Materialsでは、動物園から受け取った動物の糞に干し草などを混ぜて堆肥にする。こうしてできた堆肥は、100%オーガニック。「ZOO POO(動物園のうんち)」の名前がつけられ、動物園のギフトショップ、地元の小売店、およびSilver Creek Materialsで販売されている。
2019年12月以来、ダラス動物園は草食動物の糞をSilver Creek Materialsにトラック輸送しているが、2020年には158t近く、2021年は524t以上を送った。動物園は現在、糞を毎日収集し、2つのコンテナに入れて週2回配送しているという。
ダラス動物園の社長兼CEOであるグレッグ・ハドソンは以下のように述べている。
「ダラス動物園は、動物にとってよりよい環境をつくるために、環境保全とサステナビリティに取り組んでおり、Silver Creek Materialsとの提携で、さらに大きな影響を与えることができて嬉しく思います」
同園は今後、持続可能性への取り組みの一環として、2030年までに廃棄物の90%を有効活用する目標を掲げている。園で出る廃棄物の大部分は動物の糞尿で占められているため、これらを堆肥に変えて目標達成に近づけるようだ。
毎日大量に出る動物たちの排泄物は、焼却処分されるケースが多いだろう。処分のための費用が発生するうえ、焼却時に温室効果ガスが発生し環境負荷が高い。
一方で、ダラス動物園のように、動物の糞を堆肥として資源化して、収益を見込むことも可能だ。
ちなみに、ダラス動物園によると、有機堆肥「ZOO POO」は糞のような臭いはまったくせず、植物の成長に不可欠な土壌中の微生物の活動を活発にするという。
環境にもやさしく高品質な堆肥は、一般市民の家庭菜園から農家まで、幅広いニーズが見込まれる。堆肥の売上の一部は、ダラス動物園の野生動物保護プログラムに寄付される。
持続可能な循環型動物園の成功モデルとして、参考にできる部分があるのではないだろうか。
※参考
Dallas Zoo to Recycle 100% of Its Herbivore Waste into ‘Zoo Poo’ For-Sale Compost|Dallas Innovates
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