Photo by EPOS CARD
エポスカードの「へラルボニーカード」に新しいデザインが登場した。このカードは、日々の買い物によって社会を応援できる仕組みを生み出している。新たに応援の輪が拡大したというこの「へラルボニーカード」について、株式会社へラルボニー代表取締役社長の松田崇弥さんとエポスカードご担当者に仕組みや経緯、双方の想いを聞いた。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
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「買い物は投票」と言われる昨今、日々の選択をよりよいものにしていきたいという意識が広まりつつある。ふだん買い物をするときに「誰かを応援したい」、「役に立ちたい」という想いが継続できる仕組みがあれば、私たちの生活ももっと豊かになるはずだ。
エポスカードの「へラルボニーカード」は、買い物をすると、その金額に応じた加算ポイント(200円につき1ポイント・還元率0.5%)の内0.1%がへラルボニーへ渡される。0.1%分の使い道はカードのデザインによって異なるが、主に「カード券面をアートデザインした作家」「福祉団体」「へラルボニーギャラリーの運営」「作家が活動する地域の福祉施設」へと還元されるというしくみだ。
Photo by EPOS CARD
代表取締役社長。4歳上の兄・翔太が小学校時代に記していた謎の言葉「ヘラルボニー」を社名に、双子の松田文登とともにヘラルボニーを設立。「異彩を、放て。」をミッションに掲げる福祉実験ユニットを通じて、福祉領域のアップデートに挑む。ヘラルボニーのクリエイティブを統括。
「ヘラルボニーとして目指したいことは、社会における「障害=欠落」という概念を変えること。加えて、私の兄のような重度の知的障害のある人たちの不思議な言動や行動そのものが肯定される社会です。なので「ヘラルボニーカード」は、福祉全体にお金が巡る仕組みづくりにこだわりました」(ヘラルボニー 松田さん)
へラルボニーカードは、これまで消費者が商品券やマイルなど自分のために使用していたポイントを、社会へ還元することができる。さらに3月14日、その規模は2人のアーティストから日本の6つのエリアへと拡大された。
「エリアを拡大した理由は、もっと多くの作家さんが注目されるようになってほしいと思ったからです。今回、全国の6地域の作家さんと新たにコラボさせていただいたことで、例えば「地元を応援する」という切り口からへラルボニーの取り組みに関心を持っていただけると、もっとムーブメントが大きくなるのではないかと思っています。今後は、「地元の役に立ちたい」という方にも使用していただけるといいですね。「何かの役に立ちたい」と思っていても、いざ行動するのが難しいという方々の背中を押すことができたなら、とてもうれしいです」(エポスカード担当者)
Photo by EPOS CARD
「使うたびに、社会を前進させるカード」を掲げているへラルボニーカード。このカードができあがるまでに、どのようなストーリーがあったのだろうか。
「へラルボニーさんの明確なビジョンや熱い想いに共感し、ともに、社会を前進させていきたいという想いで開発をスタートしました。私たちとへラルボニーさんがかけ合わさることによってできることを深く考えました。実際にヘラルボニーカードをお客様が使いつづけてくださっている理由の一つは、「気軽さ」なのではないかと思っています。日常の生活をおくるだけで自動的に誰かを応援できる。このサービスをどんどん広げていきたいです」(エポスカード担当者)
「デザインを気に入って使用しているという方も多いと思いますが、「自分の日々の買い物が社会を進めている」ことに価値を感じてくださっている方が多いと感じています。例えばコンビニでお茶を買うときも、このカードで買うとなんだか不思議と幸せな気持ちになる。大げさに言うと、「自分の買い物によって社会を動かしている」。そんな感覚を、より多くの人に味わってほしいです」(ヘラルボニー 松田さん)
実際に、会員の方々からの反響も大きい。「何かの役に立ちたい」、「誰かが幸せになる手伝いがしたい」と思っていても、行動に移すのはハードルが高いと感じる人も多いのではないだろうか。会員の方のなかには、カードを通してふだん通り過ごしているだけで社会を前進させることの一助となれていることに嬉しさを感じている人も多い。
「使うだけ、というアクションのカンタンさが嬉しいです」
「ふだんのショッピングが社会貢献につながることに、とてもステータスを感じます」
「“どのように買うかにも自分らしさを”というメッセージにグッときました」
「fumieさんのカードがお財布に入っているだけで何だかうれしくて、何だか買い物が楽しくなる。自分の意思を形で表せることが最大の魅力だと思います」
「想いを伝えるカード。これからも私の相棒です!」
「自分も活動の一員になり少しでも貢献できていることがうれしい」
Photo by EPOS CARD
「今回拡大されたエリアは、東北・関東・中部・関西・中国・九州と地域ごとのアートを起用した券面になっています。自分の地域で選ぶことも、部屋に飾るアートを選ぶ感覚でカードを選ぶこともできる。そしてその選択が、社会を前進させる選択になっている。ヘラルボニーカードで買い物をするという行動が、福祉を支える力になっていく。いま生まれつつある新たな価値基準が、これからの社会の大きなうねりになってほしいと思っています。ぜひ一緒に社会を進めていきましょう!」(ヘラルボニー 松田さん)
「私たちは「すべての人が幸せを感じられるインクルーシブで豊かな社会」の実現を目指しています。障害があってもなくても、自分らしく暮らせる世の中にするために、私たちが共創するからこそ実現できることにもっとチャレンジしていきたいです。応援の方法は沢山あるので、お客様には自分に合った選択肢で応援していただければと思っています。今後もお客様との対話を重ねながら、よりよいものを生み出していきたいです。決して一方通行ではなく、お互いの顔が見える関係でいたい。透明性のある社会を前進させていけたらと思っています。」(エポスカード担当者)
今回のエリア拡大では、6つの地域とアーティストが新たに参加している。そしてカードの表面からは「EPOS」の表記がなくなった。そこには、社会を前進させたいと願うエポスカードとへラルボニーの取り組みが、組織やこれまでの慣例の壁を超えて多くの人に広まってほしいという想いが込められているのだ。
新たに参加となったデザインとアーティストを紹介する。
使えば使うほど、自分にも社会にもいい循環が生まれる「へラルボニーカード」。自分がとる一つひとつの選択が誰かの役に立っていると実感できること。社会を想う物事の選択、そしてその一歩が、誰もが自分らしく暮らしやすい社会へとつながっていくのだろう。エリアを拡大しながら多くの作家さんと手を取り合い、活動の幅を広げていく「ヘラルボニーカード」に、今後も注目したい。
執筆/藤井由香里 編集/後藤未央(ELEMINIST編集部)
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