Photo by Bioplasmar
イスラエルの「Bioplasmar(バイオプラズマ)」が、生ごみを原料に生分解性の植木鉢を開発。苗を植え替える必要がなく、植木鉢ごと土に埋めれば約8週間で分解して肥料に変わる。プラスチック使用量と、植物の手入れの手間を同時に削減する画期的なアイデアだ。
神本萌 |Moe Kamimoto
フリーランスライター
大学時代に南アジア文化を学んだことをきっかけに、環境や人権の問題に関心を持つ。それ以降、より自分と地球にやさしい暮らしを目指して勉強中。趣味は写真。
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Photo by Bioplasmar
イスラエル発の企業「Bioplasmar(バイオプラズマ)」が、生ごみをコンポストで堆肥化させ、生分解性の植木鉢を開発した 。ごみのアップサイクル、プラスチックの削減だけではなく、植物の生育にもいい影響を与える方法として注目されている。
主な原料は、生ごみのなかでもコンポストで分解されにくい枝などの部分だ。バイオプラズマは生ごみなどの有機物を回収して堆肥化する企業と提携し、そこで堆肥化されにくいものとして残った枝などを原料に調達。天然樹脂やでんぷんを混ぜ合わせ、圧縮して植木鉢にしている。
天然樹脂やでんぷんの比率が高いほど、植木鉢の分解速度は遅くなる。そこで同社は、それらの比率を変えることで植木鉢の分解速度をコントロールしているそうだ。
植木鉢に苗を植えると、数週間後から少しずつ分解がはじまり、植木鉢が分解して堆肥となり、苗に栄養を与える。しかし、大気中では完全に分解されないよう計算されているため、安心して水やりができる。
苗が十分に育ったら通常は植え替えが必要となるが、生分解性の植木鉢なら、植木鉢ごと土に埋めておけば、約8週間で完全に堆肥化される。そのため、植え替えの手間が省けるうえ、農薬の使用量削減にもつながる。
さらに、植え替えによるストレスで苗が枯れてしまうこともない。実際にこの植木鉢でテストしたところ、100%の確率で生育に成功したという。
Photo by Bioplasmar
現在、同社はフランスとドイツを拠点として製品の製造・販売を行っている。
フランスでは、現地の生ごみ回収業者と提携。生分解性の植木鉢を年間400万個製造し、地方議会や花苗店などの小売店に販売している。現在ドイツに工場を建設中で、より軽くて大きなポットを生産する予定とのこと。
同社は、両国で有機物を堆肥化しているコンポストサイト付近に工場を建設。原料輸送に関連するCO2排出量を抑え、地域の循環型経済に貢献できるよう最善を尽くしている。
同社が抱えている課題は、生分解性の植木鉢の価格だ。現在、プラスチック製の植木鉢の約4倍の値段で販売されているといい、10.5cmの鉢で20ユーロセント(約28円)まで下げることを目標としている。
より安価な価格での販売が実現すれば、生分解性の植木鉢の普及は加速するだろう。環境だけでなく、植物を育てる人の悩みも解決するこの植木鉢。プラスチック製品に取って代わり、世界中に広まることを期待したい。
※参考
Bioplasmer
In breakthrough, Israeli firm learns how to control breakdown speed of compost items|THE TIMES OF ISRAEL
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