ヴィクトリアズ・シークレットがカシミヤの使用禁止を決定 動物愛護が目的

ヴィクトリアシークレットが使用を廃止したカシミヤ

Photo by Johnstons of Elgin on Unsplash

ヴィクトリアズ・シークレットは、カシミヤを使用した製品を禁止すると発表した。この決定は、世界のカシミヤ生産の90%を占める中国とモンゴルで、ヤギが非倫理的な扱いを受けているというPETAの調査を考慮したものだ。

今西香月

環境&美容系フリーライター

慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中

2022.12.26
SOCIETY
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イベントや商品の魅力を広げる エシカルインフルエンサーマーケティング

動物と環境に負担大のカシミヤ

ランジェリーを取り扱う「ヴィクトリアズ・シークレット」と、姉妹ブランドの「PINK」を所有するヴィクトリアズ シークレット&Co.は、今後カシミヤを一切使用しないことを決定した。

同社ではすでに、アンゴラウサギの毛皮とアルパカのフリースの使用を禁止しており、それに続くものだ。インド、米国、英国など60か国以上で販売されているビクトリアズ・シークレットとPINKの両ブランドが対象となる。

この決定は、動物愛護団体「PETA」の調査結果を受けてくだされたものだ。PETAが公開した映像には、世界のカシミヤ生産量の約90%を占める中国とモンゴルの現場で、ヤギが拘束されて非倫理的に毛を刈られている様子が映されていたという。そのためPETAは、動物を苦しませず、ヴィーガン素材を選ぶようファッションブランドに働きかけてきた。

さらにPETAの報告書では、カシミヤの生産は他の動物由来の素材よりも環境負荷が大きいと指摘。カシミヤの生産は土壌劣化をすすめ、モンゴルでは草原の大部分が砂漠化する危険に直面しているそうだ。

動物を苦しめない ヴィーガン素材の選択肢

ヴィクトリアズ・シークレットのカシミヤ禁止の決定を受けて、PETAのエグゼクティブ・バイス・プレジデントであるトレイシー・レイマン氏は「PETAは、動物を苦しめずにつくられたヴィーガン生地を選ぶよう消費者に求めている」と語った。

現在、大豆由来のカシミヤ、成長サイクルの早い竹素材、リサイクルポリエステルなど、動物由来の素材に代わる快適でスタイリッシュなヴィーガン素材が数多く生まれている。

すでにASOS、コロンビアスポーツウェア、Overstockなど複数のブランドがカシミヤ禁止に踏み切っており、PETAはアーバンアウトフィッターズ、H&Mなど他ブランドにも禁止を呼びかけている。

ファッション業界では、動物由来の毛皮を使用しないファーフリーなど、アニマルウェルフェアを考慮した動きが加速している。このような潮流をきっかけに、ヴィーガン素材という選択肢に目を向けてみてはいかがだろうか。

※掲載している情報は、2022年12月26日時点のものです。

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