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商品のライフサイクル全体で排出されるCO2を表示した「カーボンラベル」。ロレアル、ユニリーバなど、美容業界でも導入するメーカー・ブランドが増えている。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
知識をもって体験することで地球を変える|ELEMINIST Followersのビーチクリーンレポート
「カーボンフットプリント」とは、商品やサービスのライフサイクル全体を通じて排出される温室効果ガスをCO2に換算し、表示する仕組み。原材料調達から製造、廃棄やリサイクルに至るまで全プロセスが含まれる。企業活動に伴うCO2が可視化されることで、製品に対する透明性を高める第一歩となる。
そしてカーボンフットプリントを商品に表示するのが「カーボンラベル」だ。消費者は、カーボンフットプリントがより少ない商品を選ぶなど、環境への意識を高めるきっかけになると期待される。
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ロレアルの「プロダクト・インパクト・ラベリング」システム。
一例を挙げると、ロレアルは「プロダクト・インパクト・ラベリング」システムを導入している。
これは、カーボンフットプリントのほか、水の使用量、水質汚染や水不足のリスクを評価したウォーターフットプリント、生物多様性への影響など14項目を設け、最終的にAからEまで5段階でランク付けしたものだ。製品の原材料調達から廃棄に至るまで、ライフサイクルのあらゆる段階が考慮されている。
2020年にフランスのガルニエの製品を皮切りに、キールズ、ロレアル パリなどに拡大。2022年12月にはアメリカでも導入し、欧州22か国を含め、7ブランド・3つの製品カテゴリーで展開している。
他の美容ブランドでも同様の動きが見られる。ユニリーバでは2021年にカーボンラベルを明記する戦略を打ち出した。アメリカとヨーロッパの一部商品に試験導入し、その後全世界75,000点あるといわれる全製品に順次カーボンラベルの導入を進めていくというものだ。
また、アメリカのスキンケアブランド、cocokind(ココカインド)は、まるで食品の栄養成分表示のようにサスティナビリティに関するデータを製品パッケージに記載している。カーボンフットプリントは、「製造前」「製造工程」「流通」「使用後」のそれぞれで算出。「Ethical Labor(倫理的な労働)」の割合も記載されている。
さらに、パッケージについては、商品のボトル、スポイト、箱など、パーツ別に細かく何の素材でつくられているか書かれ、リサイクル可能率も明記。ひと目でサステナブルの度合いがわかるようになっている。
カーボンラベルは、食料品や日用品などを中心に、すでに多くの業界で導入が進んでいる。しかし美容業界では、導入しているのはまだ一部のメーカーやブランドに限られる。
気候や環境への影響について意識させるきっかけになると、好意的に受け止めている消費者も多いようだ。美容業界でも、今後はカーボンラベルが少しずつ広まっていくかもしれない。
ただ、カーボンラベルをさらに一般化していくためには、各メーカーやブランドが独自で行うのではなく、ルール化するなどの制度も必要になっていくだろう。
※参考
Our Product Environmental and Social Labelling | L’Oréal
L'oreal USA Rolls Out Product Labeling System To Educate Consumers About The Environmental Impact Of Its Products|PR newswire
Carbon footprints – now it’s personal|Unilever
measuring our carbon footprint | cocokind
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