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毎年12月3日は「国際障害者デー」である。国連が定めた国際デーのひとつだが、どのような歴史や由来を持つのだろうか。その目的とともに学んでみよう。障がいを持つ人々が抱える課題についても解説。理解を深めるきっかけにしてほしい。
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エレミニスト編集部
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国際障害者デーとは、国連において「障害者に関する世界行動計画」が採択されたことを記念して制定された国際デーである。この国際デーが誕生したのは、1992年だ。英語表記は「International Day of People with Disability」である。
「障害者に関する世界行動計画」が国連総会で採択されたのは、1982年であった。「計画」を理想論にしないためには、世界全体による持続的な努力が必要不可欠である。だからこそ国連は、「障害者に関する世界行動計画」の採択とともに、1983~1992年を「国連障害者の十年」と定めた。
国際障害者デーが誕生したのは、この「国連障害者の十年」が明けたタイミングである。
1980年代から1990年代にかけて、障がいを持つ人々に対する社会のあり方は、大きく変化した。障がいを抱える人が社会に合わせて生きるのではなく、社会のほうが、障がいを持つ人々に寄り添う姿勢を持つことが重要だと捉えられるようになったのだ。これは、国連総会での世界行動計画の採択および「国連障害者の十年」によってもたらされた成果と言えるだろう。
とはいえ、障がい者に対する支援や社会参画を促す取り組みが十分だとはまだまだ言えない。だからこそ国際障害者デーには、障がい者に対する理解を深め、その人権を守ることの重要性を広くアピールするために、さまざまなイベントや啓もう活動が行われている。人々の意識を深めることこそが、「国際障害者デー」の目的なのだ。
国際障害者デーをより深く知るため、過去の取り組みに注目してみよう。世界や日本において、大きなトピックがあった年をピックアップして紹介しよう。
1983年からスタートした「国連障害者の十年」は、1987年に中間年を迎えた。これを記念し、国連障害者の十年中間年記念「障害者の日」記念の集いが開催された。
また「国連障害者の十年」の後半に向けて、障害者対策推進本部(のちに障害者施策推進本部と改称)が「後期重点施策」を策定。国際障害者デーの由来となった「障害者に関する世界行動計画」をよりいっそう推進するため、新たな対策が定められた。(※1)
1983年にスタートした「国連障害者の十年」は、1992年に終わりを迎える。国際障害者デーの設立とともに、もう一つ大きなトピックになったのが、「障害者対策に関する新長期計画」である。
この新長期計画は、日本における「国連障害者の十年」終了後の新たな指針となったもの。同時期に採択された「アジア太平洋障害者の十年(1993年~2002年)」への対応策の一環でもあった。国際障害者デーのスタートと日本国内の動きを結び付ける、非常に大きな流れを生み出したと言えるだろう。(※2)
1992年に国際障害者デーがスタートする前から、日本には「障害者に対する理解を深めること」を目的とした記念日が制定されていた。12月9日の「障害者の日」である。
日本の障害者の日が制定されたのは、1981年11月28日。1975年のこの日に、国連総会で「障害者の権利宣言」が採択されたことを記念して、目的国際障害者年推進本部が定めたものであった。
日本国内の記念日と国際デーが同時期に巡ってくるため、国は2004年6月に障害者基本法を改正。12月9日を「障害者の日」と定めていた規定を廃止し、12月3日から9日までを「障害者週間」と定める規定へと改めたのだ。(※3)
このような経緯から、日本国内においては障害者週間と国際障害者デーをセットで考えるケースが多い。各種イベントも、国際障害者デー当日だけにとどまらず、障害者週間を通じて行われている。
2021年は世界が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに見舞われた年だ。多くの人が集う世界的なイベントを開催するのが難しかった一方で、世界中どこからでも参加できるオンラインイベントが多数開催され、注目を集めた。国連はアメリカ・ニューヨークにて特別イベントを実施。特別スピーチやパフォーマンスが行われた。
国際障害者デーの制定から、早30年が経過しようとしている。障がい者を取り巻く課題は依然として多い。その一例を紹介しよう。
障がいを持つ人々を積極的に雇用する企業はまだまだ少ない。就労先の確保が難しい状況にある。また雇用先を見つけられた場合でも、すべての課題が解決できるわけではない。
障がいを持つ人のなかには、職場でのコミュニケーションや円滑な人間関係の構築が難しいケースもある。「体力や意欲を持続できない」「精神的な負担が増大した」といった理由で、離職してしまう人も多い。
障がい者に対する差別や偏見は、非常に根深い。その根本にあるのは、理解不足である。問題は、個々のコミュニケーションだけにとどまらない。社会全体の理解不足が原因で引き起こされてしまう問題も多くあるのだ。
周囲から白い目で見られたり、障がいを理由にサービスの利用を断られてしまったりするケースが当てはまるだろう。
障がいを持つ人が仕事をして得られる賃金は、まだまだ低い。自立した生活を送りたいと願っても、経済的に厳しいという現実がある。また障がいの程度によっては、社会的支援の不足が原因で、自立できない事例も少なくない。
介護者である家族が亡くなれば、否応なく自立を求められるだろう。こうして自立した生活を送れないまま、生活全体が破たんしてしまう障がい者も多いのだ。
内閣府の発表によると、日本国内に身体障がい者は436万人、知的障がい者は108万2千人、精神障がい者は419万3千人いるとされている。この数字は、日本国民の約7.6%が、何らかの障がいを抱えている計算になる。「障がい」とは、誰にとっても身近なものだ。(※4)
障がいを持つ人々が、社会の中でその能力を発揮するためには、社会全体の相互理解が欠かせないだろう。国際障害者デーには、2022年もさまざまなイベントが予定されている。興味を持ち、参加してみることで理解を深めてみよう。
※1 第3章 施策推進の経緯と近年の動き|内閣府
第3章 施策推進の経緯と近年の動き(7ページ目)|内閣府
※2 第3章 施策推進の経緯と近年の動き|内閣府
※3 障害者週間とは|内閣府
※4参考資料 障害者の状況|内閣府
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