ネスレ「ネスカフェ プラン2030」を発表 再生農業を推進し、コーヒー生産者の生活向上を支援

コーヒーの植樹

ネスレ最大のコーヒーブランド「ネスカフェ」は、コーヒー栽培をさらに持続可能なものとする包括的な計画「ネスカフェ プラン2030」の概要を10月4日に発表。コーヒー生産者と協力して、生産者の再生農業への移行を支援するとともに過去10年間にわたって行ってきた取り組みを加速させる。

ELEMINIST Press

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2022.10.11

コーヒー業界全体に変化を 「ネスカフェ プラン2030」で過去10年間の取り組みを加速

コーヒー豆の収穫をする女性

ネスレ最大のコーヒーブランドであり、世界中で愛飲されているコーヒーの一つである「ネスカフェ」は、コーヒー栽培をさらに持続可能なものとする包括的な計画「ネスカフェ プラン2030」の概要を10月4日に発表した。

同ブランドは、コーヒー生産者と協力して、生産者の再生農業への移行を支援するとともに「ネスカフェ プラン」下で過去10年間にわたって行ってきた取り組みを加速させる。

「ネスカフェ プラン2030」には10億スイスフラン以上を2030年までに投資する予定で、ネスカフェはサステナビリティ活動を拡大しており、この投資は従来の「ネスカフェ プラン」に立脚する。

この取り組みは、環境再生可能な食料システムへの移行を加速するというネスレグループのコミットメント、また温室効果ガス実質ゼロを達成するという長期的な目標を受けたネスレの再生農業資金によって支えられている。

ネスレS.A. コーヒーブランド責任者であるデイヴィッド・レニーは、これについて次のように述べている。「気候変動がコーヒー生産地を圧迫しています。『ネスカフェ プラン』の過去10年間にわたる経験に立脚して、ネスレは気候変動対策に取り組み、また『ネスカフェ』のバリューチェーンにおける社会的・経済的課題の解決を支援する活動を加速しています」。

気温上昇により、2050年までにコーヒー生産に適した地域が最大で50%減少するとされており、約1億2,500万人の人々がその生計をコーヒーに依存している。コーヒー生産世帯の80%が貧困ライン以下で生活をしていると推定され、コーヒーの長期的な持続可能性を確保するために行動が求められている。

ネスレS.A. コーヒー ストラテジック・ビジネス・ユニット 責任者 フィリップ・ナブラチルは「『ネスカフェ』は世界有数のコーヒーブランドとして、世界のコーヒー栽培に大きな影響を与えることを目指しています。私たちは、コーヒーが環境にプラスの影響を与えることを望むとともに、コーヒー生産者が豊かになることを願っています。私たちの活動は、コーヒー業界全体に変化を与えることができます」と述べている。

生産者が環境再生可能なコーヒー栽培へ移行することを支援

コーヒーの芽

再生農業とは、土壌の健全性と肥沃度を高め、水資源や生物多様性の保護を目指す農業のアプローチを言う。健全な土壌は気候変動の影響に強く、収量を増やすことができ、生産者の生活向上を後押しする。

ネスカフェは、コーヒー生産者が環境再生可能なコーヒー栽培法へ移行することを支援するために、研修、技術支援や高収量のコーヒー苗木を提供。

再生農法の実践例としては、土壌浸食を防ぎ土壌中に有機物を加えて土壌改良に役立つ作物であるカバークロップ(被覆作物)の植え付けにより、土壌の保護を支援し、土壌にバイオマス(再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの)を追加することで、土壌有機物を増加させ、土壌の炭素隔離を促進したり、有機肥料を取り入れ、土壌の健全性に不可欠な土壌の肥沃化に貢献したりすることを行っている。

ネスカフェのコーヒーの90%を調達する生産地に重点的に取り組む

ネスカフェは、コーヒー生産者と協力して、複数の再生農法の有効性を検証、学習、評価。これは、ネスカフェがコーヒーの90%を調達する7つの主要生産地(ブラジル、ベトナム、メキシコ、コロンビア、コートジボワール、インドネシア、ホンジュラス)に焦点を当てて実施しており、次のような達成を目指している。

2025年までに責任ある方法で調達されたコーヒーを100%使用すること、そして、ネスレの主要原材料に関する長期的目標の一環として、2025年までに20%、2030年までに50%、再生農法によるコーヒー豆を調達することだ。

メキシコ、コートジボワール、インドネシアで、再生農業への移行を加速するための資金援助スキームを実施

コーヒーの実を収穫する女性

ネスカフェは、再生農業への移行に伴いリスクとコストを負う生産者を支援することにコミットしている。再生農業への移行の結果として、生産者の収入が向上するよう支援することを目指すプログラムを提供し、メキシコ、コートジボワール、インドネシアでは、再生農業への移行を加速させる資金援助スキームを試験的に実施している。

このスキームを通じてネスカフェは、コーヒー生産者と協力して、各国における最適なアプローチを検証、学習する。これには、再生農法の採用に対する条件付き金銭的インセンティブ、天候保険を利用する所得保護、生産者の信用枠の拡大といった措置を含む可能性がある。

ネスカフェは、レインフォレスト・アライアンスとのMonitoring and Evaluation(モニタリング評価)パートナーシップを通じて、コーヒー生産者とのフィールドプログラムの進捗を把握し、その結果を評価。コーヒー生産者の所得評価、戦略、進捗管理に関するサステナブル・フード・ラボ(Sustainable Food Lab)とのパートナーシップのような、専門性に特化した新たなパートナーシップによって、ネスカフェの取り組みを補完していくとしている。

より多くの炭素を土壌に吸収、蓄積することで温室効果ガス排出量を削減

コーヒー豆を持つ男性

再生農業はまた、大気中の二酸化炭素レベルの引き下げや温室効果ガスの排出削減にも寄与している。だからこそ、再生農業はネスレの『ネットゼロ(温室効果ガス排出量実質ゼロ)ロードマップ』の重要な部分を占めている。

ネスカフェが目標とするのは、2030年までに温室効果ガス排出量を半減し、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするというネスレの『ゼロネット コミットメント』への貢献だ。

同ブランドは、生産者、供給業者、パートナーと協力して、農地の保護、生物多様性の強化、森林破壊防止を支援するとしており、生産者が自分たちのコーヒー農園やその周辺に2,000万本以上の植林を行うことを支援する予定だ。

強固な基盤を構築し前進 沖縄で約6,500本のコーヒー苗木の植樹

コーヒーを植樹する様子

今回の発表はネスカフェのコーヒー生産における持続可能性の取り組みに立脚する。2010年以降、同ブランドは「ネスカフェ プラン」を通して持続可能性に投資し、大きな進捗を遂げてきた。

2021年にはネスカフェのコーヒーの82%を責任ある調達。 2010年以降は、新たに2億5,000万本のコーヒー苗木を生産者に配布してきた。

さらに、14カ国において、レインフォレスト・アライアンスとのパートナーシップによるインパクト評価を行い、ネスレのソリュブルコーヒー工場において温室効果ガス排出量を46%削減。水の使用量については、ネスレのソリュブルコーヒー工場における取水量を53%削減した。 (2020 vs 2010、製品1トン当たり)

日本のネスカフェにおける責任ある方法で調達されたコーヒーの使用率は100%を達成済み。「ネスカフェ プラン」で培った知見を活かし、これまで限定された量にとどまってきた沖縄県産のコーヒー豆の生産量を拡大し、日本初の大規模な国産コーヒー豆の栽培を目指す「ネスカフェ 沖縄コーヒープロジェクト」を、2019年4月に立ち上げた。

現在では沖縄本島および離島(石垣島、宮古島)の農地、沖縄県立北部農林高等学校の合計11カ所で、累計約6,500本のコーヒー苗木の植樹を終え、2022年冬からの初収穫に向けて順調に生育中だ。

※掲載している情報は、2022年10月11日時点のものです。

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