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アメリカ・フロリダ州にある100%太陽光発電でまかなう町「バブコック・ランチ(Babcock Ranch)」。史上最悪と言われたハリケーン下でも停電せず最小限の被害に抑えた。災害にも強いソーラーシティとして、いま世界中で注目されている。
神本萌 |Moe Kamimoto
フリーランスライター
大学時代に南アジア文化を学んだことをきっかけに、環境や人権の問題に関心を持つ。それ以降、より自分と地球にやさしい暮らしを目指して勉強中。趣味は写真。
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アメリカ・フロリダ州南西部に位置するフォートマイヤーズから、北東におよそ20㎞。この地にある、100%太陽光発電の分譲住宅地「バブコック・ランチ(Babcock Ranch)」がいま注目を集めている。
この住宅地は、2015年に同州最大の電力会社、Florida Power and Light(フロリダ・パワー&ライト)が「アメリカ初の太陽光発電の町」をうたい、建設を開始。数年かけて、2,000戸が建ち並ぶ大規模なコミュニティが完成した。
バブコック・ランチには、米国最大の太陽光発電システムとバッテリーが整備されている。発電所の敷地は870エーカー(約3.5平方km)におよび、65万枚もの太陽光パネルが設置されている。その発電量は、バブコック・ランチにある全戸で必要な電力を上回るほどだ。
巨大な10台のバッテリーは、1MWの電力を蓄え4時間の放電が可能。この大規模な蓄電システムのおかげで、曇りの日や夜間も安定して電力を供給できるのだという。
バブコック・ランチのあるフロリダ州は、ハリケーンの多い地域として知られる。2022年9月下旬には過去最大級のハリケーン・イアンが襲来。記録的な高潮と最大風速70mを超える強風で、100人以上が亡くなり、約260万人以上が停電になるなど、州全域で史上最悪と呼ばれる被害をもたらした。
しかし驚くことに、バブコック・ランチでは一切停電しなかったという。街路樹がなぎ倒され、住宅の屋根が壊れるといった一部の被害は出たものの、それ以外に目立った被害はなかったそうだ。さらには、同州内でもっとも大きな被害を受けた人たちのために、敷地内の公共施設を避難所として開放したのだ。
実は、パブコック・ランチでは住民が安全に暮らせるよう災害対策も組み込んだ町づくりがされている。
例えば、道路沿いには植栽を行い雨水をコントロールすることで、豪雨でも家に浸水しないしくみになっている。また、強風による被害を最小化するため、電線やインターネット回線は地下に埋設している。
この史上最悪ともいわれるハリケーンを最小限の被害で乗り越えたことで、パブコック・ランチはさらに知名度を伸ばしている。
気候変動により頻度や強度を増す自然災害。環境負荷を最小限にしながら、災害時にも安全性の高いパブコック・ランチは、現代の都市開発のモデルケースとなるだろう。
※参考
Babcock Ranch
This 100% solar community endured Hurricane Ian with no loss of power and minimal damage|CNN
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