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ハワイ州マウイ郡はサンゴ礁を保護する目的で、ケミカルな日焼け止めの販売と流通を禁止した。これは、2021年よりハワイ州で施行されている日焼け止めに関する規制を強化するものだ。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
アメリカ・ハワイ州では、2021年1月より、サンゴ礁に有害とされる成分を含む日焼け止めの販売と流通が法律で禁止されている。対象となる日焼け止めは、オキシベンゾンまたはオクチノキサートを含むもの。この2つの成分は、サンゴ礁の白化を引き起こすことが、一部の研究者から指摘されている。
ハワイでこの法律が定められたのは、2018年のこと。日焼け止めに関する規制に乗り出した世界で初めての取り組みと注目された。
そして、2022年10月1日より、そのハワイでより広範囲の厳しい法規制が導入された。ハワイ州マウイ郡(マウイ島、ラナイ島、モロカイ島など)で始まった、ノンミネラルの日焼け止め販売・流通を禁止する条例だ。
販売や流通が許可されるミネラルの日焼け止めとは、紫外線反射効果のあるミネラル成分(酸化チタンまたは非ナノ酸化亜鉛)を含むもの。この2つの成分は、FDA(米国食品医薬品局)が安全で効果的と認めている。
またハワイ州全体で施行されている規制との違いは、今回のマウイ郡の条例では、オキシベンゾンとオクチノキサートの2つの成分に限らず、すべてのケミカル(化学物質)を排除した日焼け止めでなければならないこと。
とくに日焼け止めの場合、ケミカルな成分として注目されるのが、化学的に合成された紫外線吸収剤の存在だ。紫外線吸収剤は、紫外線を熱エネルギーに変化させ、肌表面から放出させて日焼けを防ぐ。しかし、合成された紫外線吸収剤は石油由来成分を使っている場合が多く、肌への負担が大きい。さらにサンゴや藻類への影響も懸念される。
そこで今回、あらゆるケミカルを排除する条例が制定されたのだ。認可された医療従事者からの処方箋がない場合、ミネラルベースではない日焼け止めの販売は違法となる。なお、この法律と条例は、居住者だけでなくハワイを訪れる観光客も適用対象となっている。
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サンゴ礁には海のさまざまな生物が集まり、豊かな生態系を形成する大切な役割を担っている。また、サンゴ礁は、浸食や洪水から海岸線や沿岸家屋を守る役割もある。そのほか、ダイビングやシュノーケリングといった観光資源として地域社会に雇用を創出する面もある。
ところが近年、サンゴ礁の生態系は深刻な脅威にさらされている。化学物質の汚染や海水温の上昇、海洋酸性化などによるダメージは計り知れない。アメリカ海洋大気庁(NOAA)によると、ハワイ島で56%、マウイ島で44%、オアフ島で32%のサンゴがすでに白化しているという。
日本ではまだこのような日焼け止めの規制はないが、これを機会に、地球環境に配慮した日焼け止めを選ぶなど、できることから考えてみてはどうだろう。
※参考
Check your suitcase: Maui County bans non-mineral sunscreen to protect coral reefs|USA TODAY
Mineral vs. Chemical Sunscreen 101: Your Guide to the Differences|cosmopolitan
Governor David Ige Signs Bill Making Hawaii First In The World To Ban Certain Sunscreens | Governor of the State of Hawaii
ハワイの海を守ろう!|ハワイ州観光局
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