Photo by Shanna Camilleri
イギリス小売協会(BRC)が、小売業者向けのサーキュラーファッションに関するガイドラインを作成した。「商品をつくり、使用し、廃棄する」直線的な経済スタイルから、ひとつの商品を長く利用する循環型スタイルを目指し、廃棄される商品を減らすことが目的だ。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
英小売協会(BRC)は、小売業者が循環型ファッション経済の原則をより適切に遵守できるように、 衣類・シューズなどの中古品に関する新しいガイドラインを作成した。
貧困や不正根絶のための活動を行う非営利組織オックスファムが、9月を「セカンドハンド・セプテンバー」と題し、中古品のみを購入するよう呼び掛ける取り組みにあわせて発表された。
このガイドラインの目的は、循環型経済の促進だ。不必要に廃棄され埋立てられるアイテムを少しでも減らし、最終的にはなくすこと。そして、より多くの人々に愛用されるように、一品一品をより長く流通させることにある。
ガイドラインの冒頭には、これまでの「資源を採取し、製品化し、使用し、廃棄する」という直線的な経済スタイルから脱却し、製品をより長く循環させるスタイルへ移行する重要性について書かれている。
またガイドラインでは、商品の状態を顧客に明確に知らせる品質チェックの重要性を明記。「New with tags(新品未使用)」から「Used-Fair(使用済)」まで、商品の状態に応じて5段階を提示している。商品の情報に関して、買い手と売り手のギャップをなくすことで、すべてのアイテムをよりスムーズに流通させる。
BRCは小売業者と協力して、気候行動ロードマップを通じたネットゼロへの取り組みに着手。80を超える大手小売業者の支持を得て、2040年までに業界全体とサプライチェーンの二酸化炭素排出量をゼロにすることを目指している。
BRCの最高責任者は、「生活コストの上昇にともない、持続可能に買い物できる方法を探す人が増えている。店舗やオンラインでの中古品販売は、手頃な価格で持続可能な行動を促進し、循環型経済の実現を一歩前進させる」とコメント。
人々が環境にやさしい方法で買い物できるようサポートするのが、小売業者の役割であり、このガイドラインがサステナビリティの取り組みに役立つことを願っているという。
ファッションブランドがリセールやリペアサービスを始めるなど、中古品の選択肢がより身近になりつつある。持続可能な未来を実現するためにも、ファッション業界の循環型スタイルへの移行は不可欠だ。そのためには、業界全体のこのようなガイドラインの制定が大切な一歩となるだろう。
※参考
Voluntary Guideline on Second-hand & Preloved Items|BRC
UK's BRC releases new guideline on circular fashion for retailers|Fibre2fashion
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