「コスメのまち」佐賀を盛り上げる 「SAGAn BEAUTY」ってなに?

佐賀県「SAGAn BEAUTY」をレポートするインフルエンサーの美舞さんと松藤茉鈴さん

産学官が一体となってサステナブルなコスメ産業に力を入れ、新たな商品や技術を発信している地域があります。それが佐賀県です。佐賀県では、人材育成・研究開発やスタートアップの創業・成長支援といった環境整備、さらに原料として有用な地産素材の探求や国際取引の推進など、あらゆる角度からコスメティック産業を支援しています。 今回は、そんな佐賀県がプロモートする「SAGAn BEAUTY」を探るべく、美容には目がないというインフルエンサーの美舞さんと松藤茉鈴さんが現地をレポート。実際に「SAGAn BEAUTY」を支える企業や施設を訪れ、コスメのまち・佐賀ついてお話を伺いました。

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2022.09.26
Promotion: SAGAn BEAUTY

日本一コスメビジネスがしやすい街へ 佐賀県「コスメティック構想」

インフルエンサーの美舞さんと松藤茉鈴さんが佐賀の現地レポート

佐賀県を訪れた美舞さんと松藤茉鈴さん。

佐賀県が地域創生の取り組みとして掲げる「コスメティック構想」をご存じでしょうか。これは、佐賀県を「日本一コスメビジネスがしやすい街へ」という目標のもと、唐津市や玄海町を中心とする北部九州に美と健康に関するコスメティック産業を集め、コスメに関する自然由来原料の供給地となることを目指す取り組みです。

唐津市には日本三大松原のひとつに数えられるほどの雄大な松原があり、そこに隣接するように存在するのが、「コスメティック構想」を語るうえで欠かすことができない「浜崎コスメティッククラスター」です。

「SAGAn BEAUTY」を立ち上げる佐賀県

輸出入にも対応可能なアジアの中心に位置するこの地に、化粧品の輸入代行・検査分析会社やOEM(受託製造)メーカー、保税倉庫を持つ物流会社といった企業が集まっていたのが、この構想の始まり。

現在では、原料商社やパッケージを得意とする印刷会社(2022年11月稼働予定)も進出し、まるでコスメ販売までのプロフェッショナルが集まるかのように、コスメティック産業のミニクラスターを形成しています。こうした地域内に製品の原材料・部品の調達から販売に至るまでの一連の流れ、サプライチェーンが存在することで、スムーズかつ安定したものづくりを実現できるといいます。

加唐島の椿油を原料に たった一人でコスメ業界に参入

佐賀県「SAGAn BEAUTY」をレポートするインフルエンサーの美舞さんと松藤茉鈴さん

唐津市加唐島の椿油を使った化粧品を手がける松尾聡子さん(右)。

まず2人が訪れたのが、佐賀県最北端に位置する加唐島。ここには、今から6年前にたった一人でコスメ業界に参入した女性がいます。

唐津市加唐島の椿油を使った化粧品をプロデュースしている株式会社バーズ・プランニングの松尾聡子さんです。彼女は少子高齢化が進むこの島で、コスメを通じて島の宝である椿を守り、その価値を向上させる取り組みをおこなっています。

赤ちゃんから使える無添加スキンケアに加え、食べるコスメとして、食用油やドレッシングも手がけるとともに、種を絞るときに出るかすを入浴剤やスクラブとして再利用するなど、資源である椿を軸に、産業を循環させるサイクルをつくろうとしているそうです。

「SDGsの目標のひとつでもある『つくる責任』を意識されていると感じました」と、美舞さんと松藤茉鈴さん。

佐賀県唐津市加唐島の椿

「島全体の活性化につながると思ってはじめたのが椿油のコスメづくりです。最初は高齢者の多い島民からはなかなか理解が得られませんでしたが、商工会と連携して少しずつ距離を縮めるうちに、商品化に協力してもらえるようになり、今では『島のことを考えてくれてありがとう』と島民に感謝されることも。

最近は、地元商業高校の生徒たちと共同で商品開発に取り組んでいて、地域の環境問題に向き合うきっかけづくりとして、ごみを資源にするコンポストをつくったりしています。高校生が取り組むことで大人に与える影響は大きく、持続可能なものづくりに若い人たちの力は欠かせません」(株式会社バーズ・プランニング代表取締役 松尾聡子さん)

コスメ研究の第一人者を迎え 技術開発や人材育成にも注力

佐賀大学の特任教授、徳留嘉寛さん

佐賀県では、コスメ業界の未来に貢献する技術や人材を輩出するべく、新たな技術開発や人材育成にも力を入れています。大手化粧品メーカーで20年以上も商品開発に携わってきた研究者の徳留嘉寛さんを佐賀大学の特任教授として迎え、県内企業との共同開発をおこなったり、若手研究者の育成に取り組んでいるそうです。

佐賀大学の特任教授、徳留嘉寛さん

佐賀大学の特任教授に就任した徳留嘉寛さん。

「自分が佐賀に拠点を置いたことは学界ではかなりインパクトがあったようで、『なぜ佐賀に?』とよく尋ねられます。その理由は『おもしろいから』。関東にはない珍しい農産物が多いし、地方自治体と国立大学がタッグを組んでコスメ事業にかかわっているなんて、かなり進んでいるなと感じました。

研究をとおして生産者と消費者との間をうまくつないで、コスメに関わる人みんなが幸せになれるようなことで佐賀を興していけたらいいですよね」(国立大学法人佐賀大学特任教授 徳留嘉寛さん)

行政が近い・佐賀だからこそできること

松藤茉鈴

コスメ原料となる植物の試験栽培をおこなう「薬草園」。

コスメビジネスをおこないやすい環境が整っていることも佐賀県の強み。「薬草園」は、漢方やコスメ原料となる植物の試験栽培をおこなう玄海町の施設で、予約制でハーブティーを自分好みにつくって味わえるワークショップも体験でき、薬草を身近に感じることができます。

その他にも、企業が化粧品の分析を依頼できたり、化粧品の効果を測定する機器を使わせてもらえたりする県営の研究施設などがあるそうです。

佐賀県唐津市の工場「FACTO」

佐賀県唐津市の工場「FACTO」。

続いて2人が訪れたのは、2018年に地域の人とともにつくりあげた唐津市の工場「FACTO」。奈良県に本社を置くクレコスという会社が唐津市と協定を結び、この工場を借り受けてコスメをつくっているそう。地域の人々、障がいのある方々と連携し、地産素材を活用した商品をつくっているということも印象的です。

佐賀県唐津市の工場「FACTO」を訪れたインフルエンサーの美舞さんと松藤茉鈴さん

「唐津に工場をつくった理由は『行政との距離が近い』からです。佐賀県や唐津市のように行政にコスメの部署があって、自分たちのような小さい企業の話も吸い上げてもらえるし、一緒に考えてくれる。面白いことができそうだなと思いました。

社会貢献は特別なことという意識ではなく『当たり前のこと』として母の代からやっています。例えば食事のとき、『このお米はどこ産なんだろう』というのは知りたいはずで、コスメの原料もそれと一緒。トレーサビリティのしっかりしたものをつくるなら、原料から自分たちでやればいいのでは?という発想になりました。

耕作放棄地を活用するなど、地域の活性につながると感じた気づきを行動にして、それを繰り返してきて今があります」(株式会社クレコス代表取締役社長 暮部達夫さん

県では、佐賀県の持つ豊かな資源やネットワークも活かしながら、革新的なビジネスモデルを描くスタートアップの支援プログラムも実施しています。このように、公営の施設を活用しながらチャレンジできるのも、「コスメティック構想」の魅力ではないでしょうか。

佐賀県が取り組むサステナブルなアイテム

「へちまや群生舎」のへちま水とへちまたわし

「へちまや群生舎」のへちま水とへちまたわし。

前述の松尾さんがつくる、種の絞りかすから生まれた入浴剤のように、佐賀県ではサステナブルな取り組みや商品も数多く誕生しています。

無添加へちま水を製造する「へちまや群生舎」では、天然繊維100%素材でできたへちまたわしも販売。昨今の脱プラスチックの声もあり、県内のラグジュアリーホテルでのアメニティ採用の他、万が一飲み込んでしまっても安全な、ペットの歯磨き用おもちゃとしても人気が高いそうです。

ほかにも、観光列車で提供されるような高級柑橘ジュースを販売する生産者が、残った果皮からアロマオイルを抽出するほか、海苔やアスパラガスといった特産品の規格外の部分を活用したコスメも開発されています。

佐賀コスメを手にとるインフルエンサーの美舞さんと松藤茉鈴さん

「コスメティック構想」ともリンクするのが、佐賀市が推進する「バイオマス産業都市構想」。廃棄物であったものが、エネルギーや資源として活用されることを目指すこの取り組みからも、コスメが誕生しています。

例えば、CO2の有効活用への取り組みです。市の清掃工場で排出されたCO2は、藻類の培養に活用されます。CO2を使ってアスタキサンチンの多く含まれる藻類を培養、そこから抽出されたアスタキサンチンはコスメやサプリに使用されているそうです。

さらに、商品への配合基準に満たない規格外のアスタキサンチンは、鶏の飼料に活用されています。平飼いという自由な環境と、こだわりのハーブや乳酸菌とともに、アスタキサンチンを多く含む藻を与えることで、卵にもその成分が反映。アスタキサンチン入りの平飼い卵「壮健美卵」となっています。

壮健美卵の卵かけごはん専門店「レストランサーグラ」

規格外のアスタキサンチンを飼料に混ぜて育てた鶏が生んだ「壮健美卵」。

美舞さんと松藤茉鈴さんも、この壮健美卵をつかった卵かけごはん専門店「レストランサーグラ」で試食し、おいしくいただきました。抗酸化作用があるといわれるアスタキサンチンで、身体の内側からも綺麗を目指せそうです。

使う人もつくる人も魅了する コスメのまち

佐賀コスメを手にとるインフルエンサーの美舞さんと松藤茉鈴さん

県産品を扱うショップ「SAGA MADO(佐賀駅前)」や「sagair(佐賀空港内)」には、今回ご紹介した商品をはじめ、県産素材を使ったさまざまなコスメを販売するコーナーがあります。もはやコスメは佐賀土産の代表的な存在になっていたのです。

佐賀県が目指す「日本一コスメビジネスがしやすいまち」は、つくる人だけでなく、使う人にとっても魅力に溢れていました。

全国で唯一コスメ産業を支援する産学官の体制が整う佐賀県。この構想のはじまりからまもなく10年が経つ今、サステナブルな取り組みやコスメに触れられる佐賀県を訪れてみてはいかかでしょうか。

撮影/羽田徹(biswa.)

※掲載している情報は、2022年9月26日時点のものです。

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