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11月16日は国際寛容デー。寛容な社会の実現に向けて、個々がその重要性を意識したい国際デーである。“寛容”とは何か、不寛容な社会のどこに問題があるのか、あらためて解説する。多様性を認める社会の実現に向けて、具体的な一歩を踏み出そう。
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国際寛容デーとは、ユネスコの「寛容に関する原則の宣言」に基づいて定められた国際デーである。宣言が採択されたのは、1995年のこと。国際デーが制定されたのは、翌1996年であった。英語表記は「International Day for Tolerance」だ。国際寛容デーの目的は、大きく以下の2点である。
・人々は分断ではなく団結すべきであるという考えに基づき、文化や信条の違いを祝うこと
・寛容の精神が私たちにもたらすものに感謝すること
世界中の人々が「寛容」とその重要性を意識するためのきっかけとして、毎年11月16日が国際寛容デーに制定されている。(※1)
国際寛容デーを心から理解するために、知っておかなければならないのが「寛容」の意味である。言葉の意味としては知っていても、その内容を説明するのは難しいと感じている人も多いのではないだろうか。
2002年の国際寛容デーにあわせて、当時の事務局長が公表したメッセージによると、寛容とは、「人間の多様性に積極的かつ前向きに関わることであり、この多民族・多文化社会において民主主義の根本原理のカギとなるもの」と定義している。他者との違いを認め、お互いに受け入れ合うことは、服従や自己満足、無頓着と同意ではない。(※2)
多種多様な問題が山積するいま、「寛容」をただ受動的に捉えるのではなく、具体的な行動にうつすことが求められている。
1996年からスタートした国際寛容デー。ユネスコでは2年に一度、「寛容と非暴力の推進に関するユネスコマダンジート・シン賞(the UNESCO-Madanjeet SinghPrize for the Promotion of Tolerance and Non-Violence) 」を発表している。授与の目的は、寛容と非暴力の精神の普及に向けた新たな努力を奨励することだ。
2020年には コンゴ民主共和国の「Centre for Resolution of Conflicts – CRC」が、2018年にはカナダ出身のドキュメンタリー映画製作者であるマノン・バルボー氏とケニアの「The Coexist Initiative」が受賞。The Coexist Initiativeは、ジェンダーに基づくあらゆる種類の暴力を撤廃し、女性と少女の権利を守るためにさまざまな活動を行う団体である。(※3)
日本においては、国際寛容デーにちなんで、さまざまな団体がメッセージを発信している。多様性を認め、お互いを受け入れ合うことの重要性を説くセミナーやイベントも多数開催されてきた。近年話題になったのは、アンネ・フランクハウスが2021年の国際寛容デーにちなんで発表したARアプリである。
「The Bookcase for Tolerance」と名付けられたこのアプリ上では、アンネ・フランクが実際に生活した部屋をAR上で体感可能。不寛容の犠牲となった少女の生活を身近に感じることで、他者への寛容さが重要な理由を体感できる仕組みである。(※4)
現代の日本においては、さまざまな閉塞感から他者への不寛容さが高まっていると言われている。他者への批判やバッシングは、自分自身の意見であるとともに、不寛容な意識の表れともとれるだろう。不寛容が連鎖すれば、誰にとっても生きづらい社会になってしまう。
だからこそ、11月16日にはぜひ「寛容」とは何か、意識してみよう。自分とは違う何かを受け入れることは、誰にとっても暮らしやすい社会の実現につながっていくはずだ。
※1 International Day for Tolerance|unesco
※2 国際寛容デー(11月16日)に寄せるコフィー・アナン国連事務総長メッセージ|国際連合広報センター
※3 UNESCO seeks nominations for the 2022 UNESCO-Madanjeet Singh Prize|unesco
※4ANNE FRANK HOUSE
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