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ニュージーランド政府は、2009年以降に生まれた子どもが生涯にわたってたばこを購入できなくする法案を提出した。国家単位でのこのような法案は世界初。合法的に喫煙できる世代を減少させることで「たばこのない国家」を目指す狙いがある。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
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ニュージーランド政府は、2009年生まれ以降の子どもに対して、たばこ購入を生涯にわたり禁止する法案を提出。第一草案について、議会が可決した。現行の法律では、18歳からの喫煙が認められている。
これは、2025年までに国内の喫煙者を5%未満にする「Smokefree 2025 行動計画」の一環。14歳未満の子どもについて、合法的なたばこ購入を生涯永久にわたって禁止し、“たばこのない国”を目指す。
ニュージーランド政府によると、国民の喫煙率は11.6%。喫煙は依然として“予防可能な死因”のひとつであり、同国で発生するがんの4分の1は喫煙が原因という。
さらに根深い問題なのが、先住民族や貧困層のたばこ依存だ。ニュージーランドの先住民マオリの成人喫煙率は29%になる。2011年頃の40.2%から大幅な減少傾向にあるが、一方で、国内平均と比較すると2倍以上の喫煙率であり、住民間のばらつきが目立つ。
この法案は年内に可決、成立する可能性が高いと言われている。成立した場合、2024年から段階的に導入され、2025年にはニコチンの量も削減される予定だ。また、たばこの販売許可は専門店に限定され、スーパーマーケットなどの店頭で購入できなくなる。ただし、ニコチンやタールを含まない電子たばこ(ベイプ)については当面の間容認される方針だ。
ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、「Smokefree 2025 行動計画」について、若者が喫煙しないようにすることに重点を置いていると述べている。すでにたばこの増税は行ってきたが、これ以上の増税は禁煙を促すものではないと判断したという。
たばこ購入を規制するこの法案で懸念されるのが、たばこの密輸入やブラックマーケットの拡大である。ニュージーランド政府も問題を悪化させる可能性を認識しており、密売人のより厳しい取り締まりや組織犯罪の摘発など、法整備が必要となる。
一方で、ニュージーランドの取り組みが世界に与えるインパクトは決して小さくない。これまでアメリカやフィリピンの一部地域で、同様の制度が導入された例があるが、国単位での導入は世界で初めてとなる。今後は喫煙者への支援策や喫煙防止教育など、スモークフリーな社会に向けた基盤づくりが求められる。
※参考
New Zealand bans tobacco sales for everyone born after 2009|The Brussels times
New Zealand to Ban Cigarette Sales for Future Generations|The Asco Post
Smokefree 2025: People under 14 will be banned from smoking for life under new law|nzherald.co.nz
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