デンマーク、食品にカーボンフットプリント表示へ EUに先駆けた世界初の取り組み

デンマーク政府 国が管理する食品の気候ラベル開発を発表

Photo by Markus Winkler

デンマーク政府は2022年4月、すべての食品ラベルにカーボンフットプリントの情報を表記する新しいラベリングシステムの導入について発表した。EUは2022年末に同様の提案を行う予定だが、デンマークはそれに先駆けて取り組みをはじめる。

今西香月

環境&美容系フリーライター

慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中

2022.08.04
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デンマーク政府が1.6億円を拠出

デンマークで販売される食品のラベルには、原材料などとともに、カーボンフットプリントの情報が加わることになる。

これは、2022年4月にデンマーク政府が導入を発表した、食品への気候ラベリングシステムだ。デンマークでは2050年までにカーボンニュートラルになる計画を掲げており、これはその取り組みの一環。政府は、このラベリングシステム導入のため900万デンマーククローネ(約1億6,400万円)を割り当てる。

CO2排出量を明確に表示し、消費者が十分な情報を得て、より環境負荷の少ない食品を選択できるようサポートする目的だ。また、食品消費における社会的責任の意識を高める狙いもあるようだ。

正確なカーボンフットプリントの表示には、使用する水や土地、ライフサイクルの分析、温室効果ガスの排出、輸送によるCO2排出量などを考慮する必要がある。すべての食品を網羅する包括的な表示システムを開発するためには、まだ時間がかかるとみられ、開始時期などは決まっていない。

だが同国ではすでに2021年、環境ラベルの表示に着手している。デンマーク公式の食事ガイドラインに初めて二酸化炭素排出量を表示。気候にやさしい食事をする方法について、国民にアドバイスしている。

2022年末提案予定のEUに先駆けて開始

欧州委員会は2022年末に、EU全域での食品表示フレームワークに関する提案を行う予定だ。今回のデンマークの発表は、これに先駆けたものとなる。

グローバルデータの2021年第3四半期消費者調査によると、「製品を選ぶとき、カーボンフットプリント表示の影響を受けるか?」という質問に対し、「はい」と答えた人の割合は世界平均で60%、デンマークでは40%だった。

この結果より、カーボンフットプリントに対する関心が世界的に高いことがうかがえる。また、デンマークでの関心は世界平均より低いものの、今回のラベリングシステムによって、二酸化炭素排出量や気候変動への意識が高まるきっかけになる可能性がある。

ただし、気候ラベリングシステムの導入にあたり、留意したいのが統一したラベルの開発だ。各種の環境ラベルの表示や認証が増えることは、エコラベルに不慣れな消費者を混乱させる可能性があるだろう。

また、複雑な専門用語を多用すると消費者に誤解を与える懸念もある。そのため、ユーザーフレンドリーなビジュアルデザインを採用し、取り組み内容をわかりやすく反映することも大事だ。

デンマークやEUの取り組みが、世界の食品表示を牽引するいい事例となることに期待したい。

※掲載している情報は、2022年8月4日時点のものです。

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