EU 新築建物・住宅にソーラーパネル設置義務化を提案 2029年までに導入

EU 2029年までにすべての新築建物へソーラーパネル設置の義務化を提案

Photo by Mischa Frank on Unsplash

EUでソーラーパネルの設置を義務付ける計画が提案された。太陽光発電を最大の電力源にする目標で、新しく建築されるすべての公共の建物や商業ビル、一般住宅が対象となる。

今西香月

環境&美容系フリーライター

慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中

2022.06.01
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2029年までの段階的なソーラーパネル導入を計画

EUで義務化が提案されているソーラーパネルの設置

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欧州連合(EU)の法案や政策を実行する欧州委員会は、「REPowerEU」計画を発表。2029年までにEU圏のすべての新しい建物にソーラーパネルの設置を義務付ける太陽光エネルギー戦略を提案した。

この計画では、公共・商業ビルの建築については2027年まで、一般住宅については2029年までに、ソーラーパネルの設置が義務化される。2025年までに320ギガワット以上、2030年までに約600ギガワット以上を太陽光エネルギーでまかなう目標だ。

EUでは、2050年までの気候中立の目標達成を法制化し、2021年に欧州気候法が成立している。この法律には、必要な電力のうち30%を太陽光発電でまかなうようソーラーパネルの設置が規定されており、今回の計画も同様の方向に進む。

このソーラーパネルの義務化にともなう総コストは莫大で、ヨーロッパ中の民間企業や公的機関から2,100億ユーロ(約28.7兆円)の投資が必要だという。しかしロシアからの輸入燃料を削減することで、年間約840億ユーロ(約11.5兆円)を節約できる試算もある。

EUでは現在、ガスの40%はロシアから輸入しており、そのコストは1日1億1,000万ドル(約140億円)以上だ。しかしウクライナ侵攻以降、ガスなどの燃料をロシアに依存する体制から脱却を宣言。グリーンエネルギーへの移行を加速させている。

こうした再生エネルギーへのシフトは、高騰しているエネルギー価格を緩和するほか、新しい雇用を生むなど、地域経済の活性化にもつながると期待が寄せられている。

太陽光エネルギーを最大のエネルギー供給源に

ビルや住宅にソーラーパネルを設置し太陽光エネルギーを利用する場合、余剰な電力は電力会社が買い取るシステムが導入されるケースが多い。

そのなかで、集合住宅の屋根や居住地から離れた場所にメガソーラーを設置し、住民の消費電力をまかなう「バーチャル・ネットメータリング」というモデルが増えており、オランダ、フランス、スペインなどでも増えているという。

ソーラーパネルを設置して、自分たちが使用する以上のエネルギーを得られた場合は電力会社が買い取れば、住民がそのメリットを受けられることから、ソーラーパネルの設置にさらに積極的になるだろう。太陽光エネルギーの普及には、このような制度を整えることが必要不可欠だ。

今回の計画は、実現すれば太陽光エネルギーがEUで最大の電力供給源となるという。化石燃料などサステナブルではないエネルギーに頼らない体制の確立が求められている。

※掲載している情報は、2022年6月1日時点のものです。

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