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自治体を挙げて生ごみの堆肥化に取り組む、米国ボストン市。2022年内に市内各地の道端にコンポストを設置し、試験運用を実施する。同市は2050年までに生ごみのリサイクル率90%を目指す。生ごみ堆肥化は環境負荷だけでなく、ごみ処理コストの削減にもつながると期待される。
神本萌 |Moe Kamimoto
フリーランスライター
大学時代に南アジア文化を学んだことをきっかけに、環境や人権の問題に関心を持つ。それ以降、より自分と地球にやさしい暮らしを目指して勉強中。趣味は写真。
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アメリカ・ボストン市が、2022年中にカーブサイド・コンポストの試験運用を実施すると発表した。カーブサイドとは道路の縁石のことで、市内各地の道路脇にコミュニティコンポストを設置。市が契約する有機廃物業者が回収・処理するシステムだ。
ボストン市は、以前よりゼロウェイストに積極的に取り組んでいる。2014年には、生ごみ堆肥化プログラム「Project Oscar(プロジェクト・オスカー)」を開始。コミュニティコンポストを市内の13カ所に設置した。しかし設置されたコンポストの数が限られているため、住民が生ごみを持ち込む手間がかかることが難点だった。
だが今回のカーブサイド・コンポストでは、まず最初は、7戸以下の建物を対象に、その建物前の道路にコンポストを設置。約1万人の利用者を見込んでいるという。
この計画がうまくいけば、多くの住民が手間をかけずに“コンポストがある暮らし”を始められるだろう。
ボストン市は、2035年までに生ごみのリサイクル率を80%、2050年までに90%にするという目標を掲げている。今回の大規模な取り組みが、目標達成に貢献すると期待される。
現在、ボストン市内に生ごみ処理施設はあるが、規模が小さいことが課題だという。そのため、市内に新たに有機廃棄物の処理先となりうる土地を探しているようだ。
ボストンで活動する環境系NPO「Conservation Law Foundation(コンサベーション・ロー・ファンデーション)」によると、現在の同市はごみ処理コストが非常に高いという。生ごみをはじめとする有機廃棄物を堆肥化することで、長期的に見るとコストを削減できると見込んでいる。
日本でも、家庭でコンポストを利用する人や、コミュニティコンポストが増えてきている。それだけ、環境問題に関心を持つ人が増えてきているということだ。だが、同時にコンポストの管理や、できた堆肥の処理に困るという声も多い。
自治体が主導してコンポストの利用を推進することで、いままでコンポストを利用していた人だけではなく、住民の誰もがコンポストを利用しやすくなる。ごみ処理にかかるコストを削減できる可能性もあるなら、自治体にとってもいい選択となるだろう。モデルケースのひとつとして、ボストン市の今後の動きに注目したい。
日本ではこのような自治体によるコンポストを活用した取り組みはまだほとんどないが、個人でコンポストを使い生ごみ削減に貢献してはどうだろう。トートバッグ型のコンポストなら、自宅に庭がなくてもベランダなどに置いて使えるため、初心者でも始めやすいはずだ。
※参考
2021 PUBLIC SPACE INVITATIONAL: COMMUNITY COMPOST|BOSTON.GOV
Boston moving forward with curbside composting pilot for 10K subscribers|WASTEDIVE
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