Photo by Plastic Fischer
途上国の河川で大量に発生し、問題となっているプラスチックごみ。これを回収するシンプルな装置を、ドイツのスタートアップ、プラスチック・フィッシャーが開発した。シンプルな構造で、しかも低コストで設置・運用が可能だ。
小原 ゆゆ (Yuyu Obara)
ライター / インターン
上智大学総合グローバル学部在学中。 エストニアへの渡航をきっかけに、ヨーロッパの持続可能なライフスタイルに関心を持つ。 趣味は旅行、おかし作り、映画鑑賞。
知識をもって体験することで地球を変える|ELEMINIST Followersのビーチクリーンレポート
環境問題のなかでも特に問題視されている海洋プラスチック。現在、毎年800万tのプラスチックごみが海に流れ出ており、2025年にはこの2倍になると予測されている。
ドイツのスタートアップ、プラスチック・フィッシャー(Plastic Fischer)は、とくに途上国で悪化する海洋プラスチック問題に対し、取り組みを開始。河川に流れるプラスチックごみを回収する装置「トラッシュ・ブーム(Trash Boom)」を開発した。
Photo by Plastic Fischer
「トラッシュブーム」を手にするプラスチック・フィッシャーの創業メンバー。
トラッシュ・ブームは、フェンスのような金網を川の中に設置し、流れてくるプラスチックごみを回収する。ローテクでとてもシンプルな仕組みだ。そのため、途上国や新興国でも容易に設置し、ローコストで使用可能。インドネシアのバントン地域で試験運用を行い、多くのプラスチックごみの回収に成功している。
Photo by Plastic Fischer
トラッシュ・ブームを川に設置した様子(バリで実施)。
同社では今後、インドネシア、ベトナム、インドなどの幅広い地域で展開を拡大していく予定だ。また、トラッシュ・ブームを世界中の河川で使用できるように、同社のウェブサイトでは、トラッシュ・ブームの組み立てや使用方法などを公開している。
Photo by Plastic Fischer
インドネシア・バントンの河川では、大量のプラスチックごみが流れていた。
プラスチック・フィッシャーのように、途上国での海洋プラスチックごみの問題に取り組む企業が増えてきている。
フィンランドのリバーリサイクル(RiverRecycle)は、インド、インドネシアなどでプラスチックごみの多い河川にクリーニング・リサイクリングポイントを設置。回収したプラスチックごみは、素材別に分類してリサイクルまで実施する取り組みを行っている。
世界経済フォーラムでは、このような地球環境への取り組みを行うスタートアップと企業、投資家を結びつけるプラットフォーム「UpLink」を用意。プラスチック・フィッシャー、リバーサイクルはどちらも、このUpLinkで支援者を募っている。
世界各地で海洋プラスチックごみの問題に立ち向かわなければならないいま、このような小規模企業もどんどん生まれてきているようだ。世界中で広まっているこのような動きは、深刻なプラスチック汚染問題解決への糸口になるかもしれない。
※参考
Plastic Fischer
These innovations pull plastic pollution from rivers before it reaches the ocean | GreenBiz
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