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アメリカの若者支援団体「アーバン・ルーツ(Urban Roots)」は、都市型農園を拠点に次世代を担う若者のリーダーシップやコミュニティを育む活動を行っている。日本でも懸念されている農業の衰退や、コロナ渦で希薄化したコミュニティのつながりを解決するアイデアが満載だ。
神本萌 |Moe Kamimoto
フリーランスライター
大学時代に南アジア文化を学んだことをきっかけに、環境や人権の問題に関心を持つ。それ以降、より自分と地球にやさしい暮らしを目指して勉強中。趣味は写真。
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アメリカ・テキサス州で活動する「アーバンルーツ(Urban Roots)」。2つの都市型農園を持ち、持続可能な農業を営んでいる。同団体にとって、都市型農業は目的ではなく手段。農園での有給インターンシッププログラムを提供し、食や農業を通して次世代を担うリーダーシップ育成を目指しているのだ。
インターンシップでは単に農作業をするのではない。若者にビジネススキルを養ってもらうため、農園を出て活動する機会がたくさん設けられている。若者が地域住民と深く関わりながら活動することで、よりよいコミュニティへと進化していくと考えているそうだ。
2022年4月時点で募集しているインターンプログラムは3種類。6週間かけて農作物の栽培方法や自分たちの地域について学ぶ、高校生向けの「サマーファームプログラム」のほか、17歳から23歳を対象に持続可能な農業の専門的な知識を学ぶ16週間のプログラム「フード・アンド・リーダーシップ・フェローシップ」、サウスオースティン在住の高校生向けの「サウスオースティン・インターンシップ」がある。
コミュニティに愛される都市型農園をつくるため、インターン生は地域住民との関係を築くことからはじめる。ファーマーズマーケットや農園ツアーなど、イベントを通じて交流を深めるのだ。
そのうえで、コミュニティのニーズに応えるにはどうしたらいいのか考え、アイデアを形にしていく。プロジェクトマネジメントスキルや、コミュニケーションスキル、発想力を培うことができるだろう。
またアーバンルーツでは、飢餓救済活動を行っているパートナー団体とともに、地域住民のための活動も行う。集合住宅の前にコミュニティガーデンをつくったり、新鮮な食料品を配達したりする。農園で学んだことをアウトプットしながら理解を深め、コミュニティにも還元できるいい機会だ。
参加者のほとんどは、農業の知識がまったくない状態からはじめるそうだ。人から教わるだけでなく学んだことを地域住民に伝える機会も多いからこそ、理解が深まり自信がつくのではないだろうか。
農園内にとどまらない幅広い活動は、農業をきっかけにできることがたくさんあると教えてくれる。アーバンルーツをロールモデルとして、農業をはじめる若者も増えるかもしれない。
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コロナ渦には、世界中で食糧難や孤独に苦しむ人が増加。オースティンでは、感染が拡大する前から、子どもの約4人に1人が食糧難に陥っていた。そのためアーバンルーツは、毎年育てた有機野菜の約60%をファーマーズマーケットで販売。残り40%を飢餓救済団体に寄付している。
コロナ渦でさらに悪化してしまった食糧難を緩和するため、アーバンルーツは農作物の生産量を増やすことに専念。農機具の導入や有志のボランティアとともに、農作業を効率化し、収穫量を例年より40%増やすことに成功した。
さらに、ファーマーズマーケットやインターンシップを開催できなくなったパンデミック期間中は、オンラインでプログラムを開始。ファーマーズマーケットの代わりに、季節の野菜ボックスを販売するなど、工夫をこらしたという。
都市型農業は、流通コストや環境負荷の削減、食料自給の観点で語られることが多い。アーバンルーツのように、他の業界や地域の課題とかけあわせることで、相乗効果が生まれるのではないだろうか。日本の都市型農業にも、活かせることがあるかもしれない。
※参考
Urban Roots
How teaching city kids to farm paid off for this Texas community|YOUTH TODAY
1 in 5 Austinites face food insecurity. Here’s how nonprofits, city leaders are addressing it|KXAN News
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