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イギリスの通販サイト「NET-A-PORTER(ネッタポルテ)」によるメンズ専門サイト「Mr Porter」で、高級メンズの再販サービスが始まった。レディスを扱うNET-A-PORTERでは、2021年より再販サービスを開始。アメリカ、ドイツ、香港でも展開している。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
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イギリス発の大手ファッションサイト「NET-A-PORTER(ネッタポルテ)」は、2022年3月、ラグジュアリーメンズウェア専門サイト「Mr Porter(ミスター・ポルテ)」で再販の新サービス「Mr Porter Resell」をローンチした。
不要になった服を「Mr Porter Resell」で売却すると、Mr Porterで使えるストアクレジット(10%のインセンティブ付き)または銀行振込みで現金を受け取れる仕組みだ。
しかもラグジュアリーラインを取り扱うMr Porterだけあって、再販できる商品の条件は厳しい。対象は、「brand new(ほぼ新品)」「excellent(素晴らしい)」「very good(非常にいい)」に分類される本物のデザイナーズアイテムのみ。そのため、再販といっても状態の良い商品が揃うとみられる。
同サイトでは、リセールテクノロジープロバイダーのReflauntと技術提携を締結。売却する商品の写真撮影、商品の認証、品質管理などはすべてReflauntが行うため、利用者の利便性が高い。
また、再販はMr Porterのサイトではなく、Tradesy、Hardly Ever Worn It(HEWI)、Miinto、Goatなどの国際的なリセールサイトへアップロードされるという。
Mr Porterの社長を務めるAlison Loehnis氏は、次のように再販市場への参入の意図を述べている。
「私たちがリセール市場に踏み出したのは、デザイナーズ商品の寿命を延ばす機会を創出するため。さらに、リセールに親しんでいる若い潜在顧客へのサービスの提供方法を模索するためだ」
レディスアパレルを取り扱うNET-A-PORTERでは、2021年より再販サービスをスタート。現在は、イギリスのほか、アメリカ、ドイツ、香港にもサービスを拡大している。
レディスの再販サービスでは、利用者の半数以上が35歳未満の女性客だ。しかも大多数の利用者が、販売した中古品の代金を銀行振込ではなく、ストアクレジットとして受け取っているという。これは、新しいラグジュアリーラインのショッピングスタイルで、ブランドロイヤリティのサインと見られる。
マッキンゼーによると、高級ラインの再販は2020年時点で推定250億ドルから300億ドル(約2.9〜3.5兆円)の市場規模になる。メンズ服の再販はそれに次ぐ2番目に大きなマーケットであり、海外では多数のブランドやリテーラーが再販市場に関心を寄せ試験導入を開始している。
今後10年間で、再販市場は従来の小売よりもはるかに急成長し、2030年までにファストファッションの2倍の市場規模になるという予想もある。
このように世界で加速する再販市場のトレンドは、今後のアパレル業界で主軸のサービスとなっていくのではないだろうか。そして、日本のアパレル業界にも、遅かれ早かれ、同様のトレンドの波が訪れるだろう。
※参考
Introducing MR PORTER RESELL: How To Clear Out Your Wardrobe With Ease
YOOX NET-A-PORTER expands luxury resale with menswear launch and new markets
Inside Mr Porter’s plans for resale |VOGUE BUSINESS
Secondhand clothing market set to be twice the size of fast fashion by 2030|Harpers Bazaar
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