【気候変動による世界の被害】1月は洪水・森林火災が多発 サハラ砂漠で降雪も

気候変動による世界の被害まとめ

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世界各地で、気候変動が原因となる災害が起きている。2022年1月には、大雨による洪水や土砂崩れが各地で発生。異常気象により干ばつが進み、森林火災も相次いでいる。またサハラ砂漠で降雪が観測された。

神本萌 |Moe Kamimoto

フリーランスライター

大学時代に南アジア文化を学んだことをきっかけに、環境や人権の問題に関心を持つ。それ以降、より自分と地球にやさしい暮らしを目指して勉強中。趣味は写真。

2022.02.23

アルゼンチン各地で森林火災

気候変動による森林火災がアルゼンチンなど各地で発生

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アルゼンチンでは2021年12月から1月にかけて、森林火災が発生。森林火災が起きた場所は、全23州のうち9州に及んだ。なかでも被害の大きかった南部チュブ州では、8万~9万ha(800~900平方km)が焼失した。当時、南米全域は異例の猛暑と干ばつに見舞われていた。

乾燥した環境下で、強風により切れた電線や落雷から引火し、瞬く間に火の手が広まった。雨の降らない環境で消化活動も難航。また、この火災の煙により、アルゼンチン北部と南部を結ぶ国内最長の高速道路である国道40号線の一部が閉鎖された。

アメリカ・コロラド州で大規模な山火事

2021年末にアメリカのコロラド州ボールダー郡で山火事が発生。およそ6.5平方㎞の土地が焼失し、約1,000軒の家が倒壊。約35,000人が避難に追い込まれた。この火災により少なくとも2名が死亡。これは、同州において歴史上もっとも大きな被害であり、州知事は緊急事態を宣言した。

例年、同地域ではこの時期に雪が降る。しかし火災が発生した当時、降水量不足により深刻な干ばつが続き、降雪量も記録的な低水準だった。乾燥した環境に加え、時速169kmの突風が吹いていたため、火の手が一気に広まったと考えられている。発火した原因は明らかになっておらず、現在も慎重に調査が進められている。

インドネシア・スマトラ島で大雨による洪水

洪水

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2021年12月末から1月上旬にかけて、インドネシアのスマトラ島で記録的な大雨が続き、大規模な洪水が発生した。11,000棟以上の家屋が水没し、3名の子どもが死亡。3万人以上もの人が避難を余儀なくされた。

同国は11月から3月は雨季となり、降水量が多いため洪水も頻繁に起こる。しかし、今回は長期的に大雨が降り続いたことにより被害が拡大。農作物は水没し、ほとんどが出荷できない状態となり、農家にとっても大きな損失となった。

2021年11月以降は海水の温度が下がるラニーニャ現象に拍車がかかり、例年よりも激しい暴風雨が続いている。また、パーム油生産のために多くの森林を伐採したことが、被害をより深刻にしたと指摘する声もある。

サハラ砂漠で降雪 過去42年間で5度目

サハラ砂漠にあるアインセフラという町で1月18日、雪が観測された。サハラ砂漠での降雪は、過去42年間で5度目となる。サハラ砂漠は世界でもっとも暑い地域の一つで、過去には58℃となったことがある。気象庁のデータによると、アインセフラの1月の平均気温は7℃程度だ。だが、雪が降った日は気温がー2℃まで下がったという。

学術誌「サイエンス」に発表された研究結果によると、寒冷化現象は北極の温暖化に起因する可能性がある。同研究では、地球温暖化の結果、世界中で寒波が発生しやすくなる可能性があると予測している。

アフリカ南部に強力な熱帯暴風雨が襲来

1月24日、アフリカ南部に熱帯暴風雨「アナ」が上陸。マラウイ、マダガスカル、モザンビークに大きな被害をもたらした。

マラウイでは少なくとも11人が死亡。全国的な停電に見舞われ、一部の地域は災害危険区域に指定された。マダガスカルでは少なくとも48人が死亡し、13万人が避難。モザンビークでは18人が死亡し、1万戸もの家屋と数十の学校や病院が倒壊した。

モザンビークの首相は「異常気象の頻度が増え、その威力が強くなっている。我が国は気候変動による被害を受けやすい」と述べた。

ブラジル・サンパウロ州で異例の豪雨 洪水や土砂崩れも

1月28日からブラジル南部のサンパウロ州を襲った大雨により、洪水と土砂崩れが発生。少なくとも24人が死亡し、1,500世帯以上が避難を余儀なくされた。また洪水により主要道路が水没し、住民の生活に影響を与えた。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、ブラジル南部では1960年代以降、平均降雨量が増加。この地域では地球温暖化が進むほど、激しい豪雨や洪水が起こり、その頻度も増すと予想されている。

ドイツ・ハンブルクでハリケーンによる洪水

洪水

Photo by Hannes du Plessis on Unsplash

ドイツ北部の海岸地域に1月29日、ハリケーンが襲来し豪雨と強風をもたらした。この豪雨により、チェコからドイツを横断した北海へ流れるエルベ川が増水。通常より3m近く水位が上昇し、ハンブルグ全域が洪水の被害を受けた。ドイツ西部では2021年の7月にも気候変動による大洪水が起こっている。

1月は各地で大雨や洪水による被害が相次いだ。温暖化を原因とする寒冷化現象や森林火災も各地で発生した。

※掲載写真はすべてイメージです。

※掲載している情報は、2022年2月23日時点のものです。

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