ハワイがサメ漁を禁止するアメリカ初の州に 海の生態系保護が目的

ハワイがサメ漁を禁止、アメリカで初の州に

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ハワイ州は、サメ漁を禁止するアメリカ初の州となった。2022年1月1日より、州海域での意図的な捕獲、殺害、網で絡め取る行為は違法となっている。

今西香月

環境&美容系フリーライター

慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中

2022.02.19
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サメの捕獲で罰金1万ドルなど厳しい罰則を適用

ハワイがサメ漁を禁止、アメリカで初の州に

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2022年1月1日から、ハワイ州海域でのサメの捕獲を禁止する法律が施行された。これは、水産資源の保護を目的とする法案の一部として提案されたもので、2021年6月8日の世界海洋デーに、デービッド・イゲ・ハワイ州知事によって署名された。対象となるサメの種類は問わない。

違反すると、初回は500ドル(約5万7,000円)、3回目以降は1万ドル(約116万円)の罰金が科せられる。捕獲したサメは没収され、サメ1匹につき最大1万ドル以下の罰金も加わる。さらに、商業用船舶免許の剥奪、船舶や漁具の没収といった重いペナルティが発生する可能性もある。

今回の法律が施行された背景には、アジア諸国で珍重される高級食材のフカヒレを巡るサメの乱獲がある。ハワイ州ではサメの絶滅を防ぐため、2010年にフカヒレの販売、取引、流通、所持を禁止。全米50州に先駆けて、法制化している。

ハワイ州土地・天然資源局(DLNR)では、サメが頻繁に回遊する海域や繁殖エリアでの釣りを避けることをすすめている。誤ってサメを捕獲した場合、可能な限り船へ釣り上げず、すぐに放流するのが賢明だ。

過去50年でサメの約75%に絶滅リスク

学術誌『ネイチャー』に2021年1月に発表された調査によると、1970年以降続く乱獲の影響で、サメとエイの漁獲量は18倍に増加。個体数は約71%も減少している。さらに、残っているサメとエイのうち4分の3が絶滅危惧種に分類されるほど、絶滅リスクが高いことが明らかとなった。

サメは海の食物連鎖の頂点となる存在。そのため、サメの数が減ると海の生態系のバランスに深刻な影響をもたらしかねない。ハワイ州水産資源管理担当のブライアン・ニールソン氏は、「健全な海洋生態系を維持するために、いかにサメが重要であるか深く理解している」と、プレスリリースで述べている。

またプレスリリースには、ハワイの先住民の信仰においても、サメが重要な存在であることに触れられている。ハワイでは、サメは一族の守護神と考える人もいる。こうした自然崇拝や文化的価値観は、海の生き物を守る観点とは別に、尊重されるべき思想であろう。

サメの保護のために、ハワイ州がアメリカの先陣を切ったことは、評価するべきことだ。なお、DLNRの特別な許可を得た場合や、安全のためにサメを捕獲した場合などは、この新法は適用されない。このような例外が、法の抜け穴とならないことを願いたい。

※掲載している情報は、2022年2月19日時点のものです。

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