ベルリン市が「木々の水やりを促すマップ」を公開 市民2,000人が参加するプロジェクトに

都市の木々を守るための、ドイツ・ベルリンの取組

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ドイツの首都ベルリンでは、気候変動によって減少する街の木を守るため、市民参加型のプロジェクトを立ち上げた。木の種類、樹齢、必要な水量、水やりの回数などの情報が記載されたインタラクティブな地図を使って、市民が市内にある木の水やりを行える内容だ。

染谷優衣

フリーランスライター

YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。

2022.01.03
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深刻化する都市の干ばつ問題 2,000人の市民が水やりに参加

ベルリンの街

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ベルリンでは、街に植えられている樹木が、気候変動によって減っている。ベルリン市役所によると、暑さの影響で、2016年から2019年に7,000本の木が減ったという。

ベルリンはドイツでもっとも日照時間の長い都市で、2018年には年間2,308時間の日照時間があった。だがここ数年はドイツで干ばつが続き、それによって木々は乾燥。ベルリンの生態系にも影響が出ている。

この問題に取り組むため、ベルリン都市圏の最先端プロジェクトを開発する市の機関「シティーラボ(CityLAB)」は、2020年5月に新しいプロジェクト「Gieß den Kiez」を立ち上げた。

このプロジェクトは、街の樹木を守るため、市民の力を借りて乾燥した木への水やりを促すもの。プロジェクト名には、ドイツ語で「近所に注ぐ」という意味があり、市民に近所の木々への水やりを呼びかけている。

プロジェクトのウェブサイトに表示される地図に、ベルリン市内の100万本の木のうち76万本について、木の種類、樹齢、必要な水量、水やりの回数などの情報を掲載。市民はこれを見て、水やりが必要な木に適切な量の水をやることができる。

また、地図には給水ポンプの位置も表示。下水以外の家庭用排水を、木の水やりに再利用しやすいよう工夫されている。

さらに、特定の木を“お気に入り登録”できる機能も搭載。現在、2,000人以上の市民が同プロジェクトに登録し、5,000本以上の木がお気に入り登録され、積極的に日々水やりが行われている。

ベルリン市では、木の水やりには1本あたり7~8ユーロ(約900~1,020円)の費用がかかるそうだが、このプロジェクトで大きな節約につながっているという。

自分たちの自然は自分たちで守る

ブリティッシュコロンビア大学で都市林を専門とするスーザン・デイ教授は、気候変動の影響とともに、「Gieß den Kiez」のようなプロジェクトの重要性が増すと考える。

木々は、気温や水質などの環境に影響を与える存在だ。それに、木々があることで我々は屋外活動を楽しめるようになるため、木々は人々の健康にも影響を与える。だからこそ「木のない街は住みにくいし、我々の健康的な生活は、身のまわりにある木々に依存していると言っても過言ではあない」と、スーザン教授は述べている。

ベルリンでは、市内のほぼすべての木々が毎年調査されデータが収集されていたが、他の都市でも同様の取り組みを始めるのは容易ではないかもしれない。だが「Gieß den Kiez」は、今後の横展開に期待して、オープンソースで制作されており、ドイツのライプツィヒでは2021年、同じような取り組みを開始している。

自分たちの自然は自分たちで守る。そんな取り組みを支援するこのプロジェクトの必要性が、複数都市で証明されれば、新しい都市の機能とし広く認知されていくだろう。

※掲載している情報は、2022年1月3日時点のものです。

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