都市ではコンクリートやアスファルトがあふれ、雨水が地面に吸収されにくく緑が育ちづらい。そのため都市化が進めば、街から緑が消えかねない。ベルギーのデザイナーが考案した「ウォーターベンチ」は、雨水タンクとプランターが一体となったベンチで、緑ある景観を取り戻すアイデアだ。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
都市では多くの道路や歩道が舗装されており、雨が降ったときに雨水が地面に吸収されず、緑が育ちにくくなる。これが進めば、ただでさえ街路樹や緑地が少ないのに、さらに緑が消えていくことになりかねない。
そんな問題を解決するため、ベルギーを拠点に活動するデザイナーのBarbara Standaertは、「ウォーターベンチ(Waterbench)」をデザイン。雨水タンクとプランターが一体となったベンチで、都市の景観に緑を取り戻す。
ウォーターベンチの中央部分には、植物を植えられる。
ウォーターベンチは、上部が透水性コンクリートで覆われ、下部は最大280Lを貯められるタンクになっている。雨が降ると雨水は透水性コンクリートを通して自然とタンクに貯まり、ベンチ中央のプランターに植えられた植物は、この水を栄養として成長できる仕組みだ。
上部の透水性コンクリートには小さな穴が無数にあり、すぐに水を通すため、座面はいつも乾いた状態で座れるそうだ。さらに植物の水やりなどのメンテナンスはほとんど必要ないため、半永続的に街に緑をもたらすという。
このウォーターベンチは、現代の都市生活に緑やうるおいをもたらすと、さまざまなデザイン賞を受賞し評価されている。
都市緑化は、日本も抱えている課題だ。東京オリンピックでは東京の厳しい暑さについて、物議を醸した。NASAが作成した気温マップによると、東京都心にはアスファルトや大きなビルに熱がこもるヒートアイランド現象が現れていた。緑の多い周辺地域に比べると、都市の気温が数度高くなっていたという。
土地が限られる都心で緑化を進めることは難しいが、ウォーターベンチなら街の景観になじみながら、雨水を有効活用して植物を育てられる。このようなアイデアがもっと増えれば、都市化した地域でも自然を取り入れやすくなっていくのではないだろうか。
※参考
Waterbench|A Different Standard
https://www.barbarastandaert.com/work#/waterbench-2/
This Concrete Bench Collects Rainwater For Plants That Are A Part Of The Seating!|Yanko Design
https://www.yankodesign.com/2021/10/06/this-concrete-bench-collects-rainwater-for-plants-that-are-a-part-of-the-seating/
Olympic athletes are competing on an urban heat island|THE VERGE
https://www.theverge.com/2021/7/27/22596152/athletes-tokyo-2020-olympics-urban-heat-island
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