Photo by Newtab-22
イギリスのロンドンを拠点に活動するデザイン事務所「Newtab-22」がつくった「シーストーン」は、廃棄された貝殻をアップサイクルした新素材だ。花瓶、ミニトレー、キャンドルホルダーなどのインテリア雑貨がラインアップしている。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
Photo by Newtab-22
「シーストーン」製のキャンドルホルダー。
「Newtab-22」は、2人の女性デザイナーによるデザイン事務所だ。イギリスのロンドンを拠点に、自然素材やふだん見過ごされている素材に着目し、さまざまな商品をデザインしている。
そんな彼女たちが、2020年のオンラインデザインフェスティバル「Virtual Design Festival」のなかで、新素材「シーストーン(Sea Stone)」を使ったコレクションを発表した。
シーストーンは、水産業界で回収された廃棄貝殻を粉砕し、天然の接合材と混ぜ合わせてつくった素材だ。1年以上にわたる試行錯誤の結果、熱や電気は使用せず化学処理を行わずに、すべての工程を手作業で行い、軽量なシーストーンの開発に至ったという。
貝殻を彷彿させるゴツゴツした風合いと、ナチュラルな色合いは、どこか温かみを感じられる仕上がりとなっている。
現在、シーストーンコレクションには、花瓶、ミニトレー、キャンドルホルダー、ペンケース、ウォールアートペイントなどが揃っている。
Photo by Newtab-22
「シーストーン」製のミラー。
Newtab-22によると、世界では毎年、700万tの貝殻が廃棄されている。廃棄された貝殻の一部は肥料として再利用されているが、大半は埋め立てられたり海辺に捨てられたりしているという。
しかしNewtab-22のデザイナー2人は、貝殻の主成分が炭酸カルシウムで、セメントと同じような性質を持っていることに着目。コンクリートに代わる、持続可能なバイオマテリアルとして活用できると考え、貝殻から新素材をつくるプロジェクトを立ち上げた。
従来は捨てられていたものに付加価値を見出し、別のものとして利用する「アップサイクル」が、近年注目されている。今回のシーストーンは、廃棄された貝殻をアップサイクルした例だ。
Newtab-22は、「素材がもつ有益で魅力的な特性を追求し、私たちのデザインを通して現代の生活に取り入れてもらいたい。私たちは、社会にサステナビリティをもたらすことを目指している」と、コメントしている。
これまでは捨てられていたものでも、見方を変えれば貴重な資源となる。柔軟な思考と、さまざまな角度から物事を捉えられるマインドセットを、我々も持ち合わせておきたい。
※参考
Newtab-22
https://www.newtab-22.com/
Newtab-22 uses seashells to develop concrete alternative|dezeen
https://www.dezeen.com/2020/04/29/newtab-22-uses-seashells-to-develop-concrete-alternative/
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