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アメリカのメイン州とオレゴン州は、食品用容器や食品用ラップなどを製造する企業に、製品の処理について責任を負わせる法律を制定した。メイン州は2024年夏から、オレゴン州は2025年夏から施行される。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
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アメリカのメイン州とオレゴン州は2021年夏、ダンボール箱、食品用ラップ、食品容器などの包装を製造する企業に対し、製品包装のリサイクルと廃棄の責任を負わせる初の州法を制定した。メイン州は2024年夏より、オレゴン州は2025年夏より施行される。
今回の法律は、スウェーデンの学者トーマス・リンドクビストが1990年に提唱した、「拡大生産者責任(EPR)」と呼ばれる概念にもとづくものだ。EPRとは、製品のライフサイクル全体、とくに引き取り、リサイクル、最終処分について製造者に責任を持たせることで、製品の環境への影響を軽減する戦略だ。
アメリカでの廃棄物処理は、基本的に税金をもとに自治体が行っている。しかし一部の州では、電子廃棄物、自動車のバッテリー、マットレスなど、とくに処理が難しいものについては、耐用年数が経過した後の処理はメーカーに責任を負わせる法律を設けている。
例えば、コネチカット州では、販売時の手数料を財源とする引き取り法を制定したことで、マットレスのリサイクル率が8.7%から63.5%に上昇したという。
これまでは、企業は製品をつくるだけで、その廃棄や処理については自治体が対応していた。しかし企業が、廃棄された後のことも考えて製品づくりを行うことで、ごみの量や処理にかかる費用の削減につながると期待できる。
ちなみに、アメリカ環境保護局によると、アメリカで発生するごみのうち28%は包装ごみだ。そのうち、リサイクルボックスに入れられるのは、わずか53%。さらに実際にリサイクルされる割合は、それより小さくなる。包装業界では、リサイクル率を向上させることも課題としてある。
つくり手側は、なるべくごみが出ない設計をすること。もちろん消費者側も、リサイクル、リユースを通して資源を無駄にしない手段を取ること。サステナブルな社会をつくるには、どちらも必要不可欠なことではないだろうか。
※参照リンク
Packaging generates a lot of waste – now Maine and Oregon want manufacturers to foot the bill for getting rid of it|THE COVERSATION
https://theconversation.com/packaging-generates-a-lot-of-waste-now-maine-and-oregon-want-manufacturers-to-foot-the-bill-for-getting-rid-of-it-165517
拡大生産者責任(EPR)をめぐる議論と現状|経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/data/research/pdf/111028-3_jpc_4.pdf
Containers and Packaging: Product-Specific Data|EPA
https://www.epa.gov/facts-and-figures-about-materials-waste-and-recycling/containers-and-packaging-product-specific-data
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