トルコで動物権利法案が可決 「商品」から「生き物」へ再定義

トルコで動物権利法案が議会に提出され、動物が商品として分類されなくなった。新法案では、動物を生き物として再定義し、動物を傷つけた者には懲役刑が課される。地方警察は動物保護班を設置し、動物が危害を加えられたり、危険にさらされたりする事件に対応することが可能になった。

染谷優衣

フリーランスライター

YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。

2021.07.29
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動物を傷つけたものは懲役刑に トルコの新法案で守られる動物たちの権威

「あなたの毛皮じゃない」と体に英語で記載された狐のグラフィティ

Photo by Jon Tyson on Unsplash

トルコで動物権利法案が議会に提出され、動物が商品として分類されなくなった。公正発展党が提出したこの法案は、議員による審議を経て、今後法律として制定される見込みであるという。

現在の法律では、動物を「商品」と定義しているため、動物の権利を否定する。それゆえ、これまで国内で野良動物を傷つける行為は、「商品への損害」として処理され、処罰は少額の罰金のみだった。一方新法案施行以降は、動物を「生き物」として再定義し、動物を傷つけた者には懲役刑が課される。動物に対する犯罪は人間に対する暴力と同等になるため、求められる懲役刑は6ヶ月から4年、また犯罪者が保釈されたり懲役刑が罰金刑に変わるのを防ぐことができる。

この新法により、地方警察は動物保護班を設置し、動物が危害を加えられたり、危険にさらされたりする事件に対応することが可能になった。また、トルコの一部地域で人気のある闘鶏や闘犬など、動物に危害を加えるスポーツの加害者も今後処罰の対象にしていくという。

動物の権利に関する問題は、過去10年間にわたってトルコ政府の議題となってきた。というのも、これまで動物に対する数々の残虐な事件がおこるたび、少量の罰金しか要求しない政府の対応が世間では物議を醸していた。政府は今回の法制定で、動物に対する暴力事件を抑制することを目的としている。

動物権利法は動物が適切に扱われるための第一歩

草原にいる羊たち

Photo by Sam Carter on Unsplash

トルコ動物権利連盟のアンカラ支部代表であるPelin Sayilgan氏は、「動物を虐待した人たちの犯したことが犯罪歴に残ることはいいことです」とコメント。

ただし、今回の可決はトルコ動物権利連盟が目指す世界へのファーストステップにすぎない。「私たちは、動物園、サーカス動物、毛皮農場、ペットショップの禁止を要求していましたが、新しい法律にはそれらの事実が含まれていません」。

日本も動物愛護法の改正を2019年に6年ぶりに行うなど、まだまだ動物愛護先進国とは言いがたい状況だ。他国がどのようにして動物に対する対応を改善していくのか、参考として今後も動向に注目していきたい。

2024年10月加筆

トルコでは都市部の路上に大型の野犬が多く歩き回っており、狂犬病による死者も出ている。このような背景から、2024年7月、野犬の捕獲と、場合によっては殺処分も認める法案が議会で可決された。これに対し、動物愛護団体等が抗議の姿勢を示している。

※掲載している情報は、2021年7月29日時点のものです。

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