イギリス・レスターで進む、バス停屋根への緑の導入。最大の目的は、ハチに蜜源を提供すること。その他にも、ヒートアイランド現象を緩和させ、大気中の汚染物も除去するため、ハチだけでなく人間にも住みやすい環境づくりに貢献する。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
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イギリス・レスターのバス停屋根に、緑の導入が進んでいる。植えるのは野花やセダムなどの多肉植物。どれも花粉の移動を助けるハチが好むものだ。すでに30箇所にて導入している。
バス停に緑を設ける最大の目的は、ハチに蜜源を提供すること。学術誌「One Earth」によると、2006年から9年間で報告されたハチの種数が25%も減っている。十数年前からハチは減少傾向にあり、それは世界的な問題となっているのだ。バス停に緑を植えることで、減少の要因の一つである蜜源の減少へ対策を講じる。
2018年には、オランダで導入された受粉を促す政策「Pollinator Strategy」の一環でも同様の施策が行われており、効果が実証されはじめている。同国ではバス停の緑化の他にも、「Honey Highway」と呼ばれる5ヘクタールほどの花壇を主要道路に、「Bee Hotel」と呼ばれるハチの巣がつくれる設備を高速道路沿いの看板に設置。今年4月にハチの個体数を計測したところ、これまで減少傾向にあった数値が安定したという。
これらの設備は、都市の緑化を助けることでヒートアイランド現象を緩和させ、大気中の汚染物も除去してくれる。ハチだけでなく人間がより住みやすい環境づくりにも貢献することが期待される。
今回の施策はレスターが掲げる目標、2030年までにカーボンニュートラルで気候に適応した都市になるための第一歩。今後バス停には緑の他にも太陽光発電も導入予定だ。
ハチは十数年前から減少傾向にあり、このまま進むと私たちの生活に影響を与えると言われている。
なぜならハチは、農産物の生産に大きくかかわっているからだ。私たちがふだん何も疑わず食しているナッツやりんごも、彼らが減れば収穫も減り価格が高騰。もしくは収穫すらできなくなるかもしれない。
それだけでない。牛の餌である牧草もハチの受粉に依存している。牧草の希少価値が上がれば、当然牛の飼育費用も上がる。よって、乳製品の価格高騰も避けられないだろう。食べ物の価格が高騰すれば、格差だって広がりかねない。
そんな事態を招かないために私たちができるのは、まずは自然を大切にすること。例えば街のごみ拾いをしたり、農薬をつかっていない野菜を選んだり。未来の私たちのために、まずはできることをコツコツと。
参照サイト/designboom
https://www.designboom.com/design/leicester-bus-stops-green-roofed-bee-stops-07-02-2021/
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