世界では3人に1人が安全な飲料水を利用できない状況にあり、年間約200万人が汚染された水が原因で亡くなっているという。「JERRY」は水をジェリカンから使用するその瞬間に濾過するフィルター付きのポンプ。5年間で100万人に安全な飲料水提供を目指す。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
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ユニセフと世界保健機関の報告書によると、世界では3人に1人が安全な飲料水を利用できない状況にあるという。彼らのなかには、汚染された水が原因の下痢により亡くなってしまうこともあるほど深刻な問題だ。
そんな事態を解決するべく、オリビエ・デ・グライターとエイセ・ファン・マーネンは、ジェリカンに装着するためにつくられた自浄式浄水器「JERRY」を開発した。
同製品を水を貯めるジェリカンの口に取り付ければ、フィルターとしてだけでなく蛇口としても機能する。搭載された2つのフィルターによって、水に含まれるバクテリアや寄生虫とウイルスを99.9%以上除去することが可能。少ない力でポンプを2回ストロークするだけでグラス1杯分の水を濾過できるため、子どもやお年寄りでも簡単に利用できる。
多くの地域でジェリカンは水のインフラに不可欠なものであり、飲料水の運搬や保管に使用されている。しかし、水源が汚染されていたり、そもそもジェリカン自体が清潔でなかったり、その両方の場合もあるという。「JERRY」を使えば水をジェリカンから使用するその瞬間に濾過するため、安全な水が手に入る。1本で約1万Lの水を飲料水に帰ることが可能だという。
またオランダのデルフト工科大学との共同研究によりさらに最適化された同製品は、ポンプを使うごとにフィルターを自動洗浄するセルフクリーニング機能が搭載されている。よって、製品を維持するために複雑な手入れは不要となりフィルターの寿命を最大限伸ばしてくれる。主な利用が水不足な地域であると考えると、最小限の洗浄で済むのは大きなポイントだろう。
現在は製品試験の一環として、130のプロトタイプがイラクの難民キャンプでテストされている。この先は、5年間で100万人に安全な飲料水提供を目標としてる。
世界自然保護基金によると、年間約200万人が汚染された水が原因で亡くなっている。温暖化による干ばつによって、今後水問題がさらに深刻化する可能性を危惧すると、この数字はさらに増えるかもしれない。日本にいるとなかなか感じづらい問題ではあるが、このような活動をまずは積極的に知ることが必要なのではないだろうか。
参照サイト/JERRY
https://jerrycanfilter.com/
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