日本でも新たな主力の発電手段と注目度が高い洋上風力発電。ノルウェーのメーカー「Wind Catching Systems」が先日発表した新たな風力発電システムは、従来の価格を大幅に引き下げ、発電界に革命を起こす可能性があると注目を浴びているのだ。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
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ノルウェーの洋上風力発電メーカー「Wind Catching Systems」が、次世代の風力発電機が発表した。スケールすれば風力発電の価格が下がり、主流電力として躍り出るかもしれない。
高さ約1,000ftを誇る同製品には、たくさんの小さな風力原動機がついている。従来の風力発電に比べ、約5倍もの電力生産が可能だ。というのも、通常は故障を防ぐため風速11〜12mph以上の場合は電力の生成を停止するところ、「Wind Catching Systems」は風速25〜27mphまで対応ができる。
よって同じ受風面積でも2.5倍発電できる。さらには受風面積も従来の2倍のため、全体で年間約5倍もの電力を生み出せるというロジックだ。1台で大体8万世帯分の電力に匹敵する。
また風力原動機を小さなものにすることで、導入やメンテナンスに特殊な巨大クレーンを使う必要がなくなることもメリットだ。手入れが簡単になるため、従来の風力発電機が寿命30年のところ「Wind Catching Systems」は計算上50年もつとされている。
同社はノルウェーの洋上風力発電サプライヤーである「aibel」や「 Institute for Energy Technology」と共同でこの技術を開発。すでに複数投資会社から出資を受けている。
海に囲まれた日本でも、脱炭素化のための重要な資源として洋上風力発電が注目されている。つい先日も秋田の八峰・能代沖が、洋上風力発電整備を優先的に進める「促進区域」に今秋指定すると関係者間で合意された。
昨年2月に行われた官民協議会では、2021年から2030年までに年間100万kW(計1,000万kW)、2040年までに3,000~4,500万kWの洋上風力導入を目標に掲げている。産業界は、コスト目標を「2030~2035年までに1kWhあたり8~9円」に設定している。
しかし、課題はまだ多く残る。2012年に福島県沖に導入された洋上風力発電は、昨年採算性を理由に全撤去になったのも記憶に新しい。
「Wind Catching Systems」は計算上すでに既存の電力コストと同等、またはそれより安価であるとされている。今後実証実験や実際に導入しそれが証明された際は、一気に世界の電力のグリーン化が進むことだろう。
参照サイト/Wind Catching Systems
https://windcatching.com/
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