傘は年間約10億本も生産されているが、その寿命はたった6ヶ月ほど。さらに使用後は埋め立てや焼却処分されることが多い。そんな現状を知ったデザイナー、マーク・ハウエルズは、傘の廃棄をなくすという使命のもとサーキュラーデザインブランド「Anti」を立ち上げた。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
わたしたちの買い物が未来をつくる|NOMAが「ソラルナオイル」を選ぶワケ
サーキュラーデザインブランド「Anti」は、廃棄された製品に新たな命を吹き込むことを使命としている。設立者であるイギリス出身のデザイナー マーク・ハウエルズさんは、ロンドンと東京での生活を通じて、大量に捨てられた傘が環境に悪影響を与えていることに気づいた。
マークは3年をかけて、傘の廃棄問題を調査した。すると年間約10億本もの傘が生産されているにもかかわらず、それらは6ヶ月以上使用できるように設計されておらず、使用後は埋め立てや焼却処分されていることが多いとわかった。現状を知ったマークは、傘の廃棄物をなくすという使命のため、傘を使った製品ラインをつくることに注力した。
「Anti」で回収された傘は素材ごとに分解され、デスクランプとテーブルランプの材料になっている。またどのデザインも「G4 LED」という電球を使用し、消費電力を抑えている。
傘は構造が複雑で異なる素材を組み合わされているため、リサイクルするには課題が多いと判断したマーク。傘をランプにアップサイクルするうえでの主な課題は、デザインの再現性を高めることだった。
傘のデザインには多くのバリエーションがあるが、中核となるランプのデザインを再現できるように設計手法を開発したのだ。
毎日廃棄されている大量のごみについて、マークはこうコメントする。
「私は常々、ごみに対する認識を変える必要があると考えています。ごみをもともとの役割や使い古したものとしてではなく、素材の種類や形で捉えることができれば、新しい役割を担うことができます」
この考え方は、デザイナーでなくとも真似ができるだろう。例えば、生ごみを肥料として使ってみたり、汚れてしまった服のきれいな部分でヘアアクセサリーをつくってみたり。ごみをそのものの素材や形で捉えれば、新たな活用方法が見えてくる。
役目が終わったものを捨てる前に、立ち止まって他の活用方法を考える。それだけで世の中のごみは減らせるのかもしれない。
参照サイト/Anti
https://www.anti-waste.com/
ELEMINIST Recommends