「motokasa プロジェクト」で傘の循環を 百貨店がつなぐ商品から商品への架け橋

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「Think GREEN ー自然のこと 環境のこと 地球のあしたのことー」をテーマに、さまざまな環境活動に取り組む大丸松坂屋百貨店。大丸梅田店では3月から、捨てられた傘をアップサイクルする「motokasa プロジェクト」を開始している。これは、とあるスタッフのふとした疑問をきっかけにスタートしたプロジェクト。その思いに共感する企業や消費者を巻き込み、活動を広げていこうとしている。

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2021.06.23
Promotion: 大丸松坂屋百貨店

不用となった傘に新しい命を 「motokasa プロジェクト」

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年間1.3億本の傘が消費され、世界一の消費量を抱えるとまで言われている日本。そのうち8,000万本がビニール傘で、いつでも安く手に入る便利さから、まるで使い捨てのような「短期利用」のイメージが定着してきている。

その手軽さゆえ、落とし物や忘れ物となっても取りにくる人は少ない。結果、まだ使える状態で廃棄される傘の数も膨大だ。しかし最近では、長く愛用できる傘を選び、大切に使い続けようという取り組みも見られるようになった。

大丸梅田店では、このビニール傘問題への取り組みとして、消費者から不用となった傘を回収し、新しい商品へとアップサイクルするプロジェクト「motokasa プロジェクト」を始動した。

プロジェクト始動のきっかけは、スタッフが感じた「もったいない」

プロジェクトの発案者は、大丸梅田店の婦人洋品売場担当を担う髙山朋子さん。日頃、消費者から「不用になった傘を引き取ってほしい」と依頼されることがあり、捨てられた傘を廃棄することを「もったいない」と感じたことがきっかけだった。

消費者が傘を持ち込むシーンとしては主に二つある。一つ目は売場で新しい傘を購入し、古い傘が不用となった場合。二つ目は修理をしようと売場に持ってきたが、修理ができないことがわかり不用となった場合だ。いずれも「ごみとなってしまった傘を持ち帰りたくない」という気持ちが読み取れる。スタッフは、「お客さまに気持ちよく買い物をしてほしい」という思いから、無償で引き取ってきた。

「傘が邪魔になってお買い物を楽しめないかもしれないというお気持ちや、もう使えない傘を持ち帰りたくないという気持ちも想像ができます。その量が多いことがとても気になっていました。

不用だと引き取った傘のなかには、まだ生地のきれいな状態のものも多くあります。なにか再利用できないものかと考えたのが、プロジェクトをはじめるきっかけでした」(髙山さん)

大丸梅田店では、消費者から引き取る傘の数は毎月20〜30本。年間で300本ほどが廃棄されていることになる。廃棄する傘は、月に1度、2tトラックで運搬しており、まだ使える可能性のある傘を捨てるために、コストもエネルギーも消費している。

髙山さんを筆頭に「何かアクションしたい」という思いを持ったスタッフがプロジェクトメンバーとして加わり、商品化に向けた試作品づくりをスタッフ間で始めたことが「motokasa プロジェクト」の原点だ。

「もともと傘」だったことを忘れるような素敵さを求めて

プロジェクトの目標は「不用な傘の生地を使って商品化する」こと。髙山さんたちは、熱い想いを持って、協力してくれる企業を探したが道のりは険しかった。想いに共感してもらえても、こうした技術を持ち合わせるところは少なかったからだ。

最終的にやっとの思いで2社と取り引きできることになり、店頭で回収した傘を各企業や団体に送り、新しい商品に生まれ変わらせている。

一社は、街中や駅に捨てられたり忘れられたりしたビニール傘を、独自の方法で加工しリサイクルしているブランド「PLASTICITY(プラスティシティ)」を展開する株式会社モンドデザイン。コラボレーション商品として、モトカサトートバッグとサコッシュが誕生した。6月23日からは、生まれ変わった商品を販売するポップアップイベントを大丸梅田店で展開する。

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大丸オリジナルサコッシュ 税込9,680円

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大丸オリジナルトートバッグ(ラージ)税込16,940円

もう一社は、障がい者の自立と社会参加を支援する「認定NPO法人トゥギャザー」。こちらも廃棄傘からオリジナルグッズを製作し、6月23日からのポップアップイベントでコラボ商品を購入した人にプレゼントするという。

「motokasa」の由来は、「もともと傘であった」ということ。不用となった傘が、新しいものに生まれ変わったとき、それが「もともと傘だった」とわからないくらい素敵なものに生まれ変わってほしいという願いが込められている。

百貨店だから感じる「傘」の魅力がプロジェクトを動かす

3月24日から、館内掲示や店内放送、デジタルサイネージなどを使って本格的な発信を開始。特に期間を限定することなく、店頭での傘回収を実施している。緊急事態宣言の発出もあり、正確な数値分析は難しい状況だが、「持ち込まれる数は確実に増えているように感じる」と髙山さんは話す。

「緊急事態宣言中は店内放送を中止していますが、店内放送を流していたときには、放送がよく聞き取れなかったから詳しく聞きたいと、お客さまからお電話での問い合わせを受けることもあり、興味を持ってくださる方は多いと感じています。

『使っていない傘を捨てるに捨てられなくて困っていた』『何かの役に立つならうれしい』と言ってくださるお客さまがいらっしゃるのはありがたいことです」(髙山さん)

またこのプロジェクトの原動力となっているのは、百貨店スタッフとして感じる「傘」に対する思いもあるという。

「私が婦人洋品売場を担当して約10年が経ちます。これまでさまざまな商品を扱ってきましたが、婦人洋品売場を担当するようになってイメージが変わったのが『傘』でした。

実用的でありながら、ファッション性もあり、機能も個性もさまざま。奥の深い商品だなと感じています。いまはネットで簡単にモノが買える時代ですが、実際に手に取ってみることのできるリアル店舗の百貨店だからこそ、傘を取り扱う意義は大きいと感じています。

百貨店で『ちゃんとした、愛着がもてる傘がほしい』というお客さまの期待に応えたいという思いがあるからこそ、不用になった傘の行き先も考えるようになり、プロジェクトの原動力につながっています」(髙山さん)

プロジェクトを通した気づきが「つくり手とお客さま」をつなぐ架け橋へ

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ひとりのスタッフの「もったいない」から始まった「motokasa プロジェクト」。始まりは「ごみを減らすこと」が目的だったかもしれない。しかしこれは「ごみ集め」プロジェクトではなく、まだ使える素材を新しい商品に活かすサイクル、つまり「アップサイクル」するプロジェクトだ。

傘を引き取り、分解し、使える素材を商品化し、売り上げにつなげる。またそれが不用になったら、さらにまた新しい商品に生まれ変わるかもしれない。そうしたサイクルを追求するこの環境活動を地域に広げ、協賛企業・団体、地域住民と連携し、リサイクルノウハウの確立と活動の活性化を両立していきたいと、髙山さんはビジョンを描いている。

「このプロジェクトを通して『愛着のある傘を長く使う』という意識が世の中に広まるといいなと思っています。そして最終的に捨てるときには『何かに再利用できるかもしれない』と、ふと考えてみてほしいんです。

そのためには、商品のバックグラウンドに目を向けることも大切だと感じています。このプロジェクトでは、スタッフが傘の分解まで行うこともあります。私も実際にやっていますが、分解するのには時間もかかりますし、とても神経を使う作業です。こうした作業を行うことで『つくり手の苦労』とともに『モノの大切さ』を感じることもあります。

考えることが第一歩だと思うからこそ、私たちの気づきをたくさんの人に伝えたいと思って、スタッフブログを更新しています。百貨店は、想いと想いをつなぐお手伝いができる。つくり手の想いをお客さまにつなぐ架け橋のひとつになれたらと思っています」

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※掲載している情報は、2021年6月23日時点のものです。

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