「Horizn Studios」は、旅行業界としてはヨーロッパ初となるD2Cブランドだ。同社のテーマは“一生涯使い続けられるもの”。一メーカーにとって矛盾しているようなコンセプトに思えるが、あるポイントに着目することでサステナビリティとビジネスを両立する。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
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「Horizn Studios(ホライズン スタジオ)」は、旅行業界としてはヨーロッパ初のD2Cブランドだ。2015年に創設され、世界初の着脱式バッテリーがついたスーツケースを発表。2018年にはNASAの宇宙飛行士とコラボしたスーツケースをつくるなど、「smart travel luggage」をテーマに数々の製品を手がけてきた。
そんな同社から先日発表されたのが、世界でもっともサステナブルなスーツケース「Circle One」だ。
ジッパーにはリサイクルされた素材、ハンドルは種や木の実の殻からできた素材を使うことで環境負荷を削減。ボディには、自社が特許を取得している素材「BioX」を使用している。
「BioX」はアルミと比べてカーボンフットプリントは約1/100、エネルギー消費量は約1/4しかない。亜麻繊維を多軸多密度に織ってつくることで、市場でもっとも環境にやさしい素材になるのはもちろん、アルミより軽量でプラスチックより長持ちするのだという。
共同創業者であるStefan Holweさんは、「BioXは、アルミやプラスチックなどの従来ハイテクとされた素材より、プラントベースほうが機能性に優れる十分な能力がある証明している」とコメントしている。
またもっとも環境にやさしいプロダクトは一生使えるものであるとし、「BioX」は修理して繰り返しつかうことを目的として開発されている。「Circle One」は修理サービスをパッケージにつけることで、その核となるテーマ「Repair, never replace」を可能にする。
「Horizon」が目指すもっともサステナブルな商品というのは、一生涯使い続けられるもの。商品が売れた数で利益が左右されるメーカーにとって、一見相反するようなコンセプトに思える。
しかしマネタイズするポイントを新商品の購買ではなく、修理サービスなどの一つの商品を一生使うためのサポートにすることで、ものを増やすことに加担せずとも収益化が可能だ。
同社が掲げている通り、ものを購入するうえでもっともサステナブルなアクションは、一つのものを長く使うことである。今後はスーツケース業界のみならず、他の製品でも類似のケースが発生してくることだろう。
参照サイト/Horizn Studios
https://horizn-studios.com/en/campaigns/circle-one/
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