「プロボノ」とは、資金や人材が不足している企業や団体を支援するために、職業上のスキルや知識を生かしておこなうボランティア活動のこと。自分の専門分野であることから、参加へのハードルが低いほか、より効果的な社会貢献ができるのが特徴だ。
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プロボノとは、ラテン語の「pro bono publice(公共善のために)」の略語で、職業上の専門知識やスキル・経験を生かしておこなう社会貢献活動のこと。
本来はアメリカやイギリスの法律関連職の人々が、無報酬でおこなう公益事業のことを指していた。しかし現在は弁護士のみならず、IT・経理・広報・デザインといった、さまざまな職種の人々がプロボノ活動に取り組んでいる。
このような流れを受けて、日本でもプロボノに対する注目が集まっている。プロボノ活動をおこなうことで、個人のスキルアップやモチベーションの向上にもつながるため、一部の企業では、社員のプロボノ活動への参加を積極的に促す取り組みも進められている。
プロボノとボランティアは、どちらも報酬ゼロで他人を支援するという意味では共通している。ボランティアは、専門知識やスキルが特に必要ないためハードルが低く、学生などでも参加しやすいのが特徴だ。
一方でプロボノは、自分の仕事のスキルや経験を生かして個人や団体をサポートするため、より専門性の高いボランティア活動と言えるだろう。また、場合によっては謝礼金などが発生する場合もある。
プロボノ活動をすることで、以下のようなさまざまなメリットが得られる。
・資金や人材の足りていない企業や団体を支援することで社会貢献ができる
・社外での経験を積むことでスキルアップにつながる
・多様な職種の人脈やネットワークが広がる
・職場以外の同業者との間で知識をシェアできる
・自分の専門分野であることから、参加のハードルが低く継続しやすい
・定年後のやりがい・生きがいにつながる
弁護士業界で活躍している人は、弁護士会や都道府県、市町村などが主催している無料法律相談会に参加することで、プロボノ活動ができる。法律に関する質問をしたい人や、犯罪や事故に巻き込まれて困っている人の相談に乗ることで社会貢献ができる。
資金や人材の足りていないスタートアップ企業やNPO団体などでは、効率的な資金調達が必要となる。金融業界で活躍している人は、お金に関する知見を生かして財務面・運営面に関するアドバイザーとして貢献できる。
クリエイティブ業界で活躍している人は、企業や団体の広報や宣伝活動にも貢献できる。グラフィックデザイナーやコピーライター、編集者、カメラマンとしての経験がある人は、パンフレットやチラシ、営業資料の制作といったプロボノ活動に携わることができるだろう。
世界の社会問題の解決をサポートしているNPO法人などでは、現地NPOとの打ち合わせを英語でおこなうことも多い。そのため職業上、英語を使う機会が多い人は通訳者・翻訳者として貢献することができる。
エンジニアやWEBデザイナーとして活躍している人は、ITに関する知見を生かしてWEBサイトのデザインや運営などのプロボノ活動が考えられる。多くの人にアクセスされる魅力的なWEBサイトをつくることで、企業や団体が広く知られるための貢献ができる。
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プロボノの主な受け入れ先は、人材が不足しているスタートアップ企業やNPO法人、地方自治体など。プロボノ活動を始めるには、このような受け入れ先とプロボノを始めたい人のマッチング事業をおこなっている団体を通して応募登録をすることができる。
プロボノのマッチング事業をおこなう「認定NPO法人サービスグラント」では、まず始めに職種やスキル、参加可能な曜日・時間帯などを登録。マッチングが成立すると、メールでの参加案内が届く。参加を承諾した後、異なる専門性を持つ社会人によるチームが組まれ、実際に支援プロジェクトをおこなっていくという流れだ。
その他にも、「GRANT」「ママボノ」「activo」「shareworks」といったマッチングサイトでも、プロボノ支援を求めている団体や企業の募集にエントリーすることができる。また、希望するプロボノが見つからない場合は、「職種×プロボノorボランティア」という検索キーワードで見つけられるかもしれない。
プロボノは、あくまで支援先の組織が自立して事業をおこなうことが最終的な目標となる。そのため、短ければ数日間、長ければ数ヶ月と、活動期間が決まっている場合が多い。
いずれにせよ、期間中に支援先が自立できるよう、マニュアルを作成する、組織全体に知識やスキルをシェアするなどの工夫も必要となるだろう。
自分の力をより効果的に発揮して社会に貢献できるプロボノは、新しいボランティアの一種として選択されるようになってきた。また近年では、企業活動の一環として、プロボノ活動を社員に推進する企業も増えてきている。
プロボノ活動では、さまざまな業種の人と出会う機会があるため、活動を通じて新しい事業やプロジェクトが生まれる可能性もあるだろう。自分の力を生かしたい、新しい人脈をつくりたいと考えている人は、ぜひプロボノに挑戦してみてはいかがだろうか。
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