しっかりと選べば、むやみにモノは捨てられない 寝具メーカー「イワタ」の取り組みから考えるサーキュラーエコノミー

ELEMINISTでは全5回にわけて、『サーキュラー・エコノミー 企業がやるべきSDGs実践の書』に書かれている内容について紹介。第4回目は「老舗寝具メーカー“イワタ”の無漂白で無染色の安心安全な寝具づくりとは?」について。

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2021.05.22

「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」──行政や企業を中心に浸透してきた概念ではあるが、いま個人でも正しい知識を身につけ、一刻も早くその実現を達成できるようアクションを起こしていく必要がある。

使い終わったらモノを廃棄する「リニアエコノミー(直線型経済)」や、まだ使える廃棄物を循環資源として再利用する「リサイクリングエコノミー」など、私たちが経済成長の過程で取り組んできた生産や消費のあり方は、いずれにせよ廃棄物が生まれてしまう方法だった。それらに対して、まずは廃棄物と汚染を発生させないことを前提とするのが「サーキュラーエコノミー」の考え方だ。

紹介するのは『サーキュラー・エコノミー 企業がやるべきSDGs実践の書』(中石和良)。タイトルからビジネスパーソンひいては企業向けと捉えてしまう人もいるかもしれないが、内容は予備知識が少なくても問題なく読み進められるようになっている。

また、サーキュラーエコノミーの実現に向けて取り組みをおこなっている先進企業の事例も紹介されているので、ひとりの消費者として商品やサービスを購入する際の企業やブランドを選ぶ基準も得られるはずだ。

ELEMINISTでは全5回にわけて、『サーキュラー・エコノミー 企業がやるべきSDGs実践の書』に書かれている内容について紹介。第4回目は「老舗寝具メーカー“イワタ”の無漂白で無染色の安心安全な寝具づくりとは?」について。

『サーキュラー・エコノミー 企業がやるべきSDGs実践の書』とは?

『サーキュラー・エコノミー 企業がやるべきSDGs実践の書』の表紙

日本では、ある誤解が生じているというサーキュラーエコノミー。本書ではGAFAMをはじめ先進的な考え方で取り組みをおこなっている企業の実例をとりあげながら、詳しくわかりやすく、そして正しくその仕組みやシステムを紹介。“サステナブルやエシカルといった社会貢献にはコストがつきもの”という誤解を紐解いている。

欧米企業ではSDGsの17の目標を達成するための具体的な方法論として注目を集めるサーキュラーエコノミーについて、ビジネスパーソンだけでなく一個人として具体的なアクションを起こすきっかけとなり得る1冊だ。

長く使うことを前提にモノを選ぶ

京都の老舗寝具メーカー「イワタ」は、いまの時代にあったかたちで“寝具製品を長く使う”という習慣を復活させようとしている。

本章では、安心安全に気をつかいながらも環境への負荷を減らした寝具づくりのために、業界で当たり前におこなわれている「染色」や「漂白」などを見直す取り組みを紹介。メーカーがどのような基準で化学物質などを使っているのかについて、改めて考えるきっかけになりそうだ。

また、自然なままに仕上げられる商品は決して真っ白ではないかもしれない。言い換えれば、ひとつひとつに個性があるのだ。

身近で使っているモノでも「選ぶ理由」にこだわってみる。それこそが、何かを長く使うために大切な考えなのだろう。

有害物質を使わない寝具ブランド(*本文から引用)

ベッドシーツ

Photo by Priscilla Du Preez on Unsplash

寝具分野で、老舗のブランド力を生かし、高級路線でビジネスを進めてきた日本企業を紹介しましょう。この企業は、サーキュラー・エコノミーへの移行を機に、顧客に対して「求めやすさ」を提案しようと試みています。イケアとは真逆の方向からビジネスモデルを変えようとしているのは、京都で創業190年を迎える寝具メーカー、イワタです。

1日平均8時間は利用すると言われるふとん。こんなに肌に長く接する身近な存在なのに、どのように作られ、どのように処分されているのかを、私たちはあまり知りません——。

使い古された寝具類はほとんどが再利用されることなく焼却され、CO2を自然界に撒き散らしているわけです。

イワタはもともと長く使い続け、同時に環境や人に有害な物質を使わない持続可能な寝具を使っていましたが、そこからさらに一歩踏み出し、2020年にサーキュラー・エコノミーデザインの「アンブリーチド(unbleached)」という寝具の新ブランドを発売しています。

「ブリーチ=色素を抜く」ことをしないとブランド名に謳っているように、生地や詰め物などの素材は、無漂白、無染色、そして蛍光増白剤不使用なものだけに限定しています。この工程では、綿は自然のままです。よく見慣れた真っ白ではなく、くすんだ生成りで、ロットによっては色はまちまちだし、綿花のクキの破片なども多少混じっていたりもする。あの不純物のない白は実は人工的なものだったわけです。

「百貨店や通販、小売店などでは、お客からクレームが来るからと長らく不純物のないものしか扱わなかった。我々作り手もきれいに整えることが当たり前と思ってきた」。イワタ社長の岩田有史氏は人にとって安心安全で、環境への負荷も減らす上で、今までの業界の常識を見直したと言います。

繊維製品では、350を超える有害化学物質を検査対象にして厳しい分析試験をクリアした製品だけに与えられる、世界最高水準の安全基準「エコテックス100」という基準があります。イワタの寝具はこの認証を取得しています。

ポプラ社

サーキュラー・エコノミー

946円

※2021.03.04現在の価格です。

※掲載している情報は、2021年5月22日時点のものです。

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