購入を通して自分の好きなブランドを支援する NIKEの事例から考えるサーキュラーエコノミー

ELEMINISTでは全5回にわけて、『サーキュラー・エコノミー 企業がやるべきSDGs実践の書』に書かれている内容について紹介。第2回目は「NIKEが掲げる自社ミッション“MOVE TO ZERO”」について。

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2021.05.20

「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」──行政や企業を中心に浸透してきた概念ではあるが、いま個人でも正しい知識を身につけ、一刻も早くその実現を達成できるようアクションを起こしていく必要がある。

使い終わったらモノを廃棄する「リニアエコノミー(直線型経済)」や、まだ使える廃棄物を循環資源として再利用する「リサイクリングエコノミー」など、私たちが経済成長の過程で取り組んできた生産や消費のあり方は、いずれにせよ廃棄物が生まれてしまう方法だった。それらに対して、まずは廃棄物と汚染を発生させないことを前提とするのが「サーキュラーエコノミー」の考え方だ。

紹介するのは『サーキュラー・エコノミー 企業がやるべきSDGs実践の書』(中石和良)。タイトルからビジネスパーソンひいては企業向けと捉えてしまう人もいるかもしれないが、内容は予備知識が少なくても問題なく読み進められるようになっている。

また、サーキュラーエコノミーの実現に向けて取り組みをおこなっている先進企業の事例も紹介されているので、ひとりの消費者として商品やサービスを購入する際の企業やブランドを選ぶ基準も得られるはずだ。

ELEMINISTでは全5回にわけて、『サーキュラー・エコノミー 企業がやるべきSDGs実践の書』に書かれている内容について紹介。第2回目は「NIKEが掲げる自社ミッション“MOVE TO ZERO”」について。

『サーキュラー・エコノミー 企業がやるべきSDGs実践の書』とは?

『サーキュラー・エコノミー 企業がやるべきSDGs実践の書』の表紙

日本では、ある誤解が生じているというサーキュラーエコノミー。本書ではGAFAMをはじめ先進的な考え方で取り組みをおこなっている企業の実例をとりあげながら、詳しくわかりやすく、そして正しくその仕組みやシステムを紹介。“サステナブルやエシカルといった社会貢献にはコストがつきもの”という誤解を紐解いている。

欧米企業ではSDGsの17の目標を達成するための具体的な方法論として注目を集めるサーキュラーエコノミーについて、ビジネスパーソンだけでなく一個人として具体的なアクションを起こすきっかけとなり得る1冊だ。

「購入」という「応援」をしよう

「NIKE」はスポーツ界の巨大ブランドでありながらもサーキュラーエコノミーに力を入れている先進企業のひとつだ。

2020年、同社は工場の床に落ちている糸くずなどでつくられた「スペースヒッピー」をお披露目。このシューズは、素材選択や生産方法、包装材にいたるすべてにおいて、環境に与える負荷を考慮している。

また、彼らは自社のミッションを明文化した「MOVE TO ZERO」を掲げ、「廃棄物を原料にする」というサーキュラーエコノミーに関する取り組みを拡大。実現に向けた「製品デザインにおける10の原則」も掲げているという。

あなたが興味関心のある企業やブランドには、サーキュラーエコノミーやサステナビリティ、SDGsなど、地球を救うための明確なビジョンをあるだろうか? NIKEの事例を読んだうえで、リサーチをしてみてもいいかもしれない。

そして、サーキュラーエコノミーの実現に本腰を入れる企業やブランドを選ぶことで、購入という名の応援をしたいものだ。

サブスクサービスで廃棄物を削減(*本文から引用)

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Photo by Maxwell Nelson on Unsplash

(NIKEが)2019年に始めた「ナイキ・アドベンチャー・クラブ(NIKE ADVENTURE CLUB)」は、子ども向けシューズのサブスクリプション方式のサービスです。

子どもの成長とともに、靴を次々に買い替えなければならない。これは子どもがいる親なら共通して抱える悩みです。親にとっては負担だし、まだ履けるものを捨ててしまうのは環境的にも社会的にもよくないでしょう。そこで毎月定額を払うことで、価格に応じて靴を購入でき、履かなくなった靴はナイキに返送できる、親には助かるサービスが始まりました。

こうした一連の取り組みを受け、ナイキは2019年にある行動に出ました。「ムーブ・トゥー・ゼロ(MOVE TO ZERO)」という、企業としての自らのミッションを明文化したのです。具体的には、5つの内容を策定しています。

1 2025年までに、所有・運営する施設を100%再生可能エネルギーで稼働する。
2 パリ協定に即し、2030年までに世界のサプライチェーン全体のCO2排出量を30%削減する。
3 シューズ生産過程で生まれる廃棄物の99%を再利用する。
4 年間10億本以上の廃ペットボトルを再利用して、ジャージとフライニットのアッパーのための糸を作る。
5 リユース・ア・シューやナイキ・グラインドのプログラムを通して、廃材から新製品、運動場、ランニングトラックやコートを作る。

炭素排出量と廃棄物を「ゼロ」にするというのがミッションの「ムーブ・トゥー・ゼロ」です。その上で、「地球環境を守ることはナイキの使命であり、この取り組みのゴールではない」と言い切っています。

ポプラ社

サーキュラー・エコノミー

946円

※2021.03.04現在の価格です。

※掲載している情報は、2021年5月20日時点のものです。

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