米ミシガン州を拠点に活動するデザイン事務所「Eso Studio」が販売するのは、食品廃棄物を使用したナチュラル染料の壁紙だ。同社では、自然と人間の調和を図るデザイン手法「バイオフィリックデザイン」を採用。日頃のストレスや疲れから開放してくれる、癒しの空間をつくり上げる。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
(写真左から)ブランド創設者のAnn、Jamie、Hanna
米国・ミシガン州のグランドラピッズを拠点に活動する「Eso Studio」は、ナチュラル染料を使った商品が売りのデザイン事務所。もともとは別々の会社に所属するデザイナーだったAnn、Jamie、Hannaの3人が、顔料を抽出するのを目的に植物を使い始めたのが設立のきっかけとなった。
2017年の創業当初に使っていた材料は、自分たちの家でみつかる食材の数々。ピンタレストでやり方を学び、玉ねぎの皮、アボカドの種など通常なら捨てられてしまう食材で布を染め、スカーフやクッションカバーをつくった。カスタマーからフィードバッグを受けたのち、地元のレストランや花屋から廃棄される材料をつかってさらにコレクションを展開していった。
そんな「Eso Studio」が発表した最新ラインが、ナチュラル染料をつかった壁紙だ。
デザインのコンセプトは、時代に左右されない「slow and timeless」なものであること。「人間は先天的に自然を好む性質がある」というバイオフィリア仮説に基づいた「バイオフィリックデザイン」を壁紙に採用することで、自然の癒しを与えてくれる。
またロールの販売方法を長さの異なる5種類から選べるパネルサイズに改良。必要量の計算もしやすく、余剰を減らすことができる。
「Eso Studio」は、廃棄される食材を染料に使うことで、フードロス削減に貢献している。また自然由来の成分を使うため環境への影響も少ない。
デザイン面も注目すべきポイントだ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって再度注目されている「バイオフィリックデザイン」を採用している。室内で過ごす時間が増えたいま、気づかないうちに疲弊した私たちを癒してくれるデザインとして多くの家庭やオフィスで取り入れられている。ある調査では、3月に自然を部屋に取り入れた人のうち12%の人が初めての経験だということもわかっている(※)。
バイオフィリックデザインは古来から存在しており、時代に左右されない商品であることもたしかだ。長く使えることで頻繁に変える必要がなくなり、一生涯の消費量を削減することができるだろう。
※ Exploring Plant Purchasing Habits and Plant Care in 2020|stoneside
https://www.stoneside.com/resources/articles/plant-love
参照サイト/Eso Studio
https://www.esostudioshop.com/
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