小売の弱みを強みに変える 大丸・松坂屋が考える“百貨店らしい”サステナビリティ

test

多くの百貨店が、サステナビリティを取り入れるための方法を模索している。大丸松坂屋百貨店では、生産者と消費者の間に立つ小売業という特性を生かし、独自の取り組みを打ち出している。本社営業企画部部長の永井滋さんに、同社が目指すサステナビリティ活動を聞いた。

2021.04.06
Promotion: 株式会社大丸松坂屋百貨店

時代は「イミ消費」へ 大丸・松坂屋が感じる消費の変化

消費者のニーズはコト消費から「イミ消費」へとシフトしはじめている。購入によって得られる体験に価値を感じるコト消費とは違い、商品やサービスの持つ社会的価値への対価としてお金を払うことに価値を見出す。「買い物は投票」だといわれるが、環境保全や生産者の労働環境向上につながる購入に関心を抱く人は確実に増えている。

「“機能性やファッション性の高い商品”だけでは売れなくなってきました。お客さま自身も社会課題を自分ゴト化してきているように感じます」。大丸松坂屋百貨店本社営業企画部部長の永井滋さんは、最近の購買行動をこう分析する。

長年顧客の課題解決に向き合ってきた大丸・松坂屋は、これまでも時代に合わせた商品やサービスを提供してきた。消費者とのきめ細やかなコミュニケーションを図るなかで、大きなニーズの変化を実感しているという。

「提供する責任」を果たすためのハブ

世界的にも環境に配慮した生産と消費の動きは活発化している。人と自然の共存を目指して制定された「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標12には、「つくる責任つかう責任」というゴールが掲げられている。

これは、少ない資源で質の高い製品を生み出す生産と消費のパターンをつくりあげることを目的としたものだ。生産者や企業は大量生産・大量消費のあり方を見直し、消費者は環境にやさしい商品選択が求められる。

しかし小売業は生産者でも消費者でもない。永井さんは、つかうとつくるの間に「提供する責任」があると語る。「私たち小売業はモノをつくることはできません。だからこそ思いを持った生産者さんと、それを求めるお客さまをつなぐ“ハブ“としての機能を果たすべきだと思っています」。

百貨店として、社会課題解決に向けてインパクトのある活動を打ち出す難しさはある。しかし大丸・松坂屋はそれを逆手にとり、両者を取り持つ橋渡し役を買って出ることに役目を見出したのだ。

いつの間にか環境に貢献できる仕掛け

test

大丸・松坂屋では、商品の仕入れ以外にも“らしさ”を生かしたサステナブルな取り組みを推進している。そのひとつが、2016年から続けているリサイクルキャンペーン「ECOFF(エコフ)」だ。

不要になった衣料品やくつ、バッグを店頭に持っていくと、次の買い物で利用できるショッピングサポートチケットがもらえる。2020年秋までに計9回実施し、これまでの回収点数はのべ285万点、約835tに達している。

「ECOFF」の狙いは、エコなアクションの敷居を下げること。環境意識さえあれば、お店に足を運ぶ延長線上で気軽に環境への貢献ができる。顧客と対面でコミュニケーションを取れるからこそ、次の企画のアイデアを吸い上げる場にもなる。不要品を次の製品へと生まれ変らせるハブとしての役割も有している。

今年は全国の直営店10店舗に博多大丸を加え、合計11店舗で3月から5月にかけて実施される予定だ。コロナ禍の現状を踏まえ、非接触で回収できるリサイクルボックスも設置するという。

test

Photo by 木下誠

また2020年4月には、リサイクルの枠に留まらない活動の推進を目指して「Think GREEN(シンクグリーン)」プロジェクトをスタートさせた。レジ袋有料化に伴い各店舗おすすめのマイバッグの販売や、自宅でできるエコな雑学コンテンツをオンラインで配信。ほかにも買い物を通じた社会貢献につながる仕掛けを企画中だ。

「企業目線で押し付けるのではなく、お客さまと一緒に考え、行動していくことを大切にしていきたい。たとえそれが、小さいことでもです。ともに答えを見つけていきたいと思っています」(永井さん)

目指すは、環境意識の高い人材の輩出

test

Photo by 木下誠

環境に配慮した商品を取り扱い、リサイクルしやすい仕組みを考え、消費者に学びのあるコンテンツを届ける。

エコなアクションを点ではなく線で提供する大丸・松坂屋が次に目指すのは、環境意識の高い人材の育成だ。本社の人間はもちろん、店頭で接客をするスタッフに至るまで、ふだんからの学びを大切にしてほしいと語る。

「企業としてサステナブルな活動は当たり前。従業員一人ひとりが活動していくことが大切です。環境への意識が生活のなかに根付いていることが理想ですね。私自身も買い物時に商品のリサイクル率をチェックするようにしています」(永井さん)

永井さんは「サステナブルな意識や思いは、必ずアウトプットに滲み出る」とも話す。活動を推進している当人たちが環境への意識を自分ゴトに落とし込むために、社内でもマイバッグ推進運動や目のつく場所に環境標語を掲示しているそうだ。もったいないという考えをもっているかどうかで、自然と日々の選択が変わる。思考と行動を変えるためには、日常生活からサステナブルを意識することが大切だという。

生産者と消費者、購入とリサイクル、そして現在と未来。循環型社会のハブになるため、大丸・松坂屋は日々の営業のなかでアンテナを張り巡らせている。「Think GREEN」で掲げる、“楽しくお買い物をして、いつの間にか社会貢献ができる”仕組みづくりを目指して。

Think GREENのイメージ画像

取材・文/ELEMINIST編集部

test

大丸松坂屋百貨店 本社営業企画部部長 永井滋さん

1993年入社後、松坂屋静岡店にて宣伝担当としてマスメディアを中心にディレクション業務を行う。その後販促企画、文化催事企画、装飾、インバウンド担当を兼務し、松坂屋静岡店で販促・宣伝業務全般を経験。2016年、本社営業企画室に異動後、ECOFFを含めた全社プロモーションの企画スタッフを経て、2021年、営業企画部部長に就任。

※掲載している情報は、2021年4月6日時点のものです。

Latest Articles

ELEMINIST Recommends