毎年9月に開催される「SDGs週間」の内容 2021年の開催情報と過去のイベントを知る

透明な地球儀を手に持つ人

「SDGs週間」とは、SDGsが採択された9月25日(Global Goals Day)を含む約1週間、SDGsへの意識を高め、行動を起こすきっかけづくりのため、世界中でイベントなどが開催されている。開催の意義や2021年の開催状況、これまでに開催されたイベントなどを紹介する。

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2021.03.30

SDGs週間とは

SDGs目標4のロゴが書かれた正方形のカード

Photo by Prado on Unsplash

SDGs週間とは、いつを指し、どのようなものなのか。

その前に、いま一度、SDGsとはなにかを簡単におさらいしよう。SDGsとは、2015年の国連サミットで採択された「Sustainable Development Goals」を頭文字をとったワード。日本語では、「持続可能な開発目標」と訳される。

「誰一人取り残さない」を掲げ、貧困や気候変動、差別など世界が共通で抱える課題を解決し、2030年までに持続可能でよりよい世界の実現を目指し、17のゴールと169のターゲットから成り立っている。 

さて、「SDGs週間」だが、世界的には「Global Goals Week」と呼ばれている。開催は年1回、ニューヨークの国連本部で行われる総会で、SDGsが採択された9月25日(Global Goals Day)を含む約1週間がその期間になる。

「SDGs週間」が始まったのは、2016年から。Project Everyone(SDGs達成のために取り組みを行う団体で、世界的脚本家のリチャード・カーティスが創設者)・国連開発計画(UNDP)・国連財団(UNF)が主導している。SDGsへの意識を高め、行動を起こすきっかけづくりのため、世界中でイベントなどが開催されている。

始まった当初は、参加団体はわずか12と限定的だったが、年々増加。国連開発計画(UNDP)在日代表事務所公式サイトによれば、すでに2017年には国連総会中、国連本部のあるニューヨークをはじめ世界中でイベントを開催。ソーシャルメディアやメディアの反応が40億に上り、200万の行動を喚起したと記されている。直近は、企業や市民グループなどのさまざまな団体が100以上名を連ねた。

2020年の「SDGs週間」は9月18日~26日だったが、毎年多少前後する。その年ごとにテーマが設けられており、2020年は事実を意味するFactと積極的行動主義を指すActivismをかけ合わせた造語「Factivism」であった。 

「5つのP」から読み解くSDGsの基本理念 17のゴールとの関係性を知る

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2020年は、本来であればSDGs採択から5年、目標達成まで10年という節目の年だった。しかしながら、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、医療崩壊が起き、貧困格差は広がってしまった。差別や不平などの問題もより深刻化し、SDGsの達成を危ぶむ声が出ている。

スタート以来、認知度を順調に上げてきた「SDGs週間」もまた岐路に立たされた。2020年は、すべてのイベントをオンラインで開催することと決断したのだ。

熱のこもった現場の空気感や人と人とのつながりが実感しずらいものの、ネットでどこからでも参加できるのはメリットだろう。多忙な世界的セレブリティや、影響力の大きなスピーカーらがつぎつぎに登壇できたのもオンラインの効果だろう。

また、これまで距離や時間的な制限を理由に、イベント開催地に足を運べなかった多くの参加希望者が、オンラインでアクセスできるようになった。

その反面、インターネット環境が整わない、インターネットのリテラシーがない人たちが取り残されてしまうという課題も生じることが浮き彫りになった。

2021年の開催状況

各国の代表が集まった会議

Photo by Matthew TenBruggencate on Unsplash

2021年の「SDGs週間」はいつだろうか? 実のところ、現段階で2021年の日程は正式に発表されていない。ただ、昨年はパンデミックのさなかであっても「SDGs週間」は例年通り9月25日の「Global Goals Day」を含んだ日程だった。そのことから、本年も9月下旬になるだろうと推測。

開催形態に関しては、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の状況いかんによるが,
昨年の経験やそこで生まれたアイデアを生かし、オンラインをメインに地域や参加者を制限したオフラインのイベントと混合で開催されるではないかと推測する。 

さて、開催が予測されるイベントをいくつか紹介しよう。前述のProject Everyone創設者で、映像監督・脚本家のカーティス氏は昨年の「SDGs週間」で、自らがプロデュースを手がけた「国家の連合:火急の時への至急の解決策」を初上映した。本週間に主体的なかかわりがあることから、本年も何らかのアクションはあると見るべきだ。 

昨年の「SDGs週間」では、映像作家で俳優のジェレミー・ギリーと日本でも人気の高い俳優のジュード・ロウが「国際平和デー」(9月21日)の普及のため、俳優や音楽家らと連帯し、全世界に向けてバーチャルイベントを放送した。

このように、SDGsへの意識が高い著名人が参加するエンタテイメント性の高いバーチャルイベントが盛んになることも想定できる。 

また、日本で2021年のSDGs週間にあわせてスタートしたプロジェクト「WDGs ~Women Development Goals~」の動向も気になる。本プロジェクトは、2021年3月の「国際女性デー」で精力的に活動しており、「SDGs週間」でもジェンダー平等の観点から、さまざまな課題へポジティブな問題提起をするだろう。

これまでの「SDGs週間」で開催されたイベント

「PASSION LED US HERE(情熱が私たちをここに導いた)」と刻まれた道路

Photo by Ian Schneider on Unsplash

過去の「SDGs週間」でどのようなイベントやフォーラムが開催されたのか。それを知ることで、本年のイベントへのイメージより膨らませやすくなるかもしれない。
ここでいくつかを紹介する。

2018年「ソーシャルグッドサミット2018~ヒラメキが紡ぐ未来~」

開催年
2018年

主な参加者
国連広報センター所長・根本かおる氏、Now Aquaponics! アーキテクト・大久保勝仁氏、株式会社/一般社団法人ピリカ代表・小嶌不二夫氏、UNDP駐日代表・近藤哲生氏ほか 

イベント内容
新しいテクノロジーを利用した社会課題への取り組みを促進する

目的、影響、効果
深刻な世界の課題に対して、新しいテクノロジーやアイディアはどんな役割を果たせるのかを考え、役立てる道筋を考える 

「野望から活動、意志から結果へ(From Aspiration to Activation and Intentions to Outcomes)」 

開催年
2020年

主な参加者
国連事務総長のアントニオ・グレーデス氏、世界的ファッションブランドを手がけるデザイナーのガブリエラ・ハースト氏など
 
イベント内容
Farther(より遠く), Faster(より早く), Together(ともに)というテーマにかんして、各日、経済学者・ファッションデザイナー・CEOといった著名なスピーカーが登壇するフォーラム

目的、影響、効果
テクノロジーがどのように世界的な協力を促進しているか、SDGsを達成するために活動する人々を助けているかを探っていく

「Global Goals Jam Tokyo 2020」

開催年
2020年

主な参加者
世界中のイノベーター、クリエイティブ・アクター、エンジニア イベント

イベント内容
SDGs17の目標のうち、3.健康と幸福、12.責任ある消費と生産、16.平和、正義、強力な制度に焦点をあてたオンラインでの2日間のデザインワークショップ 

目的、影響、効果
「Digital Society School」のデザインメソッドである“JamKit”を用いて、SDGsの中からテーマを選び、社会問題に取り組むのが目的。日本のほか、アムステルダムやバンコク、リオ・デジャネイロなど世界中の参加者とつながることができる。

ローカルとグローバルな視点を持て、問題点や解決へのアイデアを語り合い、形にしていく体験ができる。実際に、メンタルケアに対応するビデオのプロトタイプや、広告制作、SNSキャンペーンなどを協同で創り上げた。

2020年は本邦メディアも「SDGs週間」に注目

NHKのテレビ番組「くらし☆解説」で、「明日からSDGs週間 いちからわかるSDGs」を放送。SDGsメディアコンパクトに署名しているFMラジオ局「J-WAVE」は、特別番組「J-WAVE HOLIDAY SPECIAL FUTURE IS YOURS」をオンエアした。 

国連が認める「SDGs週間」とは別に、TBSは独自の「SDGsウィークキャンペーン」と銘打って昨年11月に地上波テレビ、ラジオ、BSテレビあわせて44の番組でSDGsを紹介した。その積極的姿勢が認められ、国連グレーテス事務総長の単独インタビューも実現させている。

SDGs週間に参加して楽しみながらアクションを

手を重ね合わせせる人々

Photo by Hannah Busing on Unsplash

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は変異株の発生などにより、いまだ収束のめどがつかない。だが一方で、各国でワクチン接種がスタートするなど、明るいニュースも少しずつ聞こえてくるようになった。

そして、コロナ禍によって「Stay Home」や「おうち時間」が増えた。自らや周囲に対してより深く考える、思いやる機会、学ぶ時間が持てた人は多いだろう。
 
政府など高レベルでの取り組みや取り決めは、物事を大きく推進する力になることは間違いないだろう。しかしながら、ひとりひとりの意識変革やアクションが伴ってこそ、はじめて目標の達成は可能になる。

この不測の事態を前向きにとらえ、世界とつながる大切なアクションのはじめの一歩として「SDGs週間」に参加してみよう。さらには、大切な友人や家族を誘ったり、話題を共有したいものだ。ポジティブな輪がますます広がっていくのを実感できるだろう。

※ 参考サイト
国連開発計画(UNPD)在日代表事務所「9月22-29日はSDGs週間」
https://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/presscenter/articles/2018/globalgoalsweek.html 
Global Goals Jam Tokyo 2020
https://fabcafe.com/jp/events/global-goals-jam-tokyo-2020-jpn 
HAPPY WOMANⓇ「SDGs WEEK|SDGs週間 特別企画」
https://happywoman.online/sdgs/wdgs/ 
「A UN GENERAL ASSEMBLY WEEK SERIES ON SUSTAINABILITYFROM ASPIRATION TO ACTIVATION AND INTENTIONS TO OUTCOMES」
https://sustainchainseries.splashthat.com/
TBSテレビ SDGsウィークキャンペーンサイト
https://www.tbs.co.jp/SDGs_week/

※掲載している情報は、2021年3月30日時点のものです。

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