スーパーマーケットに並ぶ野菜やくだものは、色や形などの厳格な基準をクリアしたもののみ。品質は変わらずとも「見た目」が原因で捨てられているのが現実だ。そんな問題に立ち向かう「LLEIG」は、捨てられる作物を無駄なく使い、肌にも地球にもやさしいスキンケアプロダクトを生み出している。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
ふだん私たちがスーパーマーケットで手にしている野菜やくだものは、厳格な陳列基準をクリアした商品のみ。少し傷が付いていたり、基準のサイズに満たなかったりするものは、規格外品として捨てられるケースが多い。ヨーロッパでは、3割以上の園芸産物が基準に満たず捨てられているというデータもある。
そんな状況に危機感を覚えたスペインのデザイナーJúlia Roca Veraさん。彼女は、スペインの歴史あるデザイン学校「Elisava's Degree in Design」の卒業制作で、コスメティックライン「LLEIG」を製作した。
捨てられた1つのオレンジを加工し、4つのプロダクトの開発に成功。果実を絞ったフレッシュジュース、伝統的な手法で抽出したエッセンシャルオイルを使った保湿クリームと洗顔料、そして余った皮は乾燥させ、オレンジのフレッシュな香りたっぷりのポプリへと加工した。
「LLEIG」は古代に行われていた入浴の儀式からインスピレーションを受けているという。
「洗顔で顔を清めたら、付属の土製の桶に水を注ぎ、乾燥させたオレンジの皮を入れて顔をすすぎます。水とオレンジの皮を混ぜるのが重要で、古代の人が入浴後に行なっていたように、水で体に香りをつけることができます。体を綺麗にしたら、保湿クリームが肌に浸透するのを待っている間にジュースを飲みます。古代の人も熱いお風呂に浸かる際は、フルーツジュースを飲んで水分補給をしていたと言われています」(Júliaさん)
Júliaさんは見た目のためだけに資源を無駄にしてしまう現代の消費を批判し、美に対してより全体論的なアプローチを推奨していく考えだ。
「私たちは多種多様にも関わらず、人やものを美しいと醜いのバイナリーコードで分けるようになってしまった。そのような規則はやめにして、見た目より質が大事な世の中になってほしいですね」
誰かが決めた基準で物事を捉え、気づかぬうちにエシカルではない判断をしてしまっているーー。 「LLEIG」は、エシカルな生活を送るうえでの大切な気づきを与えてくれるプロダクトといえるだろう。
参照サイト/júliaroca
https://juliaroca.net/
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